第29話「ギルドでも知ったことか!!!」
「レーザー叩き込んでやらっぁぁあアアアアアア!!」
「んだぁぁぁあ、おらぁぁあ!」
ガンッ!! と負けじとライトの突き出す指先に頭突きをかますアグニール。
レーザーの恐ろしさを知らないアグニールからすれば、当たり前の反応だ。
ライトの属性はいまだに光だと思い込んでいる証左で、
いっそブチかましてこいと言わんばかり!!
(いいだろう……)
すぅぅぅ、
「ぶちかましてやるぁぁぁああああああああ!」
「レーザーだぁぁ?」
光属性ごときが、
「──かなうけねぇだろうがぁぁぁああ!」
ゲハハハハ!! とゼロ距離で笑うアグニールに対して、ライトは!
「だったら……」
ジャキンッ!!
「──だったら、試してみろぉぉぉおおおおおお!」
ィィィィッィィィイイイイイイイイイイイイン──────!!
大量の衆目のなか、ライトの指先が光り輝き────アグニールの醜悪なその面に!!
「発射ぁぁぁあ!」
ドキューーーーーーーーーーーーーーー……
「……ちょわぁぁあ!?」
ぱぁん!!
反射的にライトの腕をカチあげるメリザ!!
その間0.5秒──!
ギルド職員の勘というか、何というか────。
とにかくやばい気配を感じて、とっさの動き!!
それが良かったのか悪かったのかはさておき、
情け容赦ない一撃をアグニールにぶち込もうと、魔力を放出したライトのレーザーが、
……ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン♪
と余韻を残して、天井に一直線!!!
そのまま、
ズドォォォォォオオォオオオン……!
と大爆発し、
オゾンの香りとともに、周囲にむわぁぁ! と高温を振りまいた!
その威力!!
威力たるや──。
「な、な、な、なななんん……!」
ドスン……と、腰の抜けたアグニール。
ギリギリと直撃を躱せたらしいが、かすったレーザーが前髪と頭頂部を焦がして……いや、溶かして、禿げ頭に! しかも、残る側頭部は、アフロ状態……!
「な、なん、なにをしたぁぁああああ!」
遥か高空。
ギルドの天井の大穴を開けて、昼下がりの青空には、レーザーが立ち上っていった不自然な雲が一筋渦を巻いている。
差し込む昼の陽光がサンサンとアグニールの禿げを照らし出し、一種神々しくも見える光景。
腰の抜けたアグニールと光る頭頂部、
さらに、指先からキラキラとレーザーの残光を纏うライト。
まるで一枚の絵画のごとくそれ!!
「ち……外したか」
最大出力でぶっ放したため、ライトの魔力は枯渇寸前だ。
もっとも、それでも十分に高威力のレーザーはまだまだ撃てる。
で──……?
「何をしたかってぇ?」
は!!
レーザーぶっぱなしたに決まってんだろうがぁぁぁあああああ!!
──ジャキィィン!!
「トドメぇぇぇえ!」
逃がすかボケ!!
一発で終わりと思ったら大間違いだ。
「ヤミー!」
「ん?」
酒場の料理の匂いにつられていたヤミーが、ポケ~っとライトを振り返るが、差し出される手に気付くと満面の笑みでそこに飛び込む。
ライトの手の先が自分の居場所とばかりに!
「──あとで、好きなだけ飯おごってやるぜ!!」
「うん!」
いい子だ!!
そして────……!
「お前らは悪い子だよなぁっぁああああああああああ!!」
人様をダンジョンに置き去りにしておいて、のうのうと報告してんじゃねーーーよぉぉぉおお!!
レェイザァッァアアア────発射ぁぁぁああああああ!!
ジャキンッ!!
目標捕捉!!
標的、アグニールとその取り巻きが二匹!!
「そのまま死に晒せぇぇえええええええ!」
ウィィィイン!!
「ちょ!!」
「や、やばいわよ!!」
「な、何か知らんがまた来ますよ!!」
バ、バ、バ、
「「「バリアーーーーーーー!!」」」
ブゥゥン!!
魔術師系統の汎用スキルその2!!
魔法障壁!!
魔力譲渡と同じく、魔法使いなら誰でも使える対魔法障壁だ!!
これがあれば、魔術師の攻撃を防ぐことができるうえ、注ぐ魔力で、その対魔法防御を向上させるある意味上級者用のチートスキル!!
ソイツで、上級パーティの威力を見せてやるとばかりに、ライトの攻撃を防ごうとする!!
「はっはぁぁああ!──どうやら、光魔法に攻撃魔法が加わったらしいな、ライト!!」
「やるじゃない?! 光魔法を鍛え続けたのは、多分歴史上、アンタで最初で最後よ!」
「そう、最後です!! こんなギルドのど真ん中で敵対しようなんてまね────!!」
まかり通るはずがないです!!
「「「バリアー全開!!」」」
Aランクパーティの実力を見よ!!
アグニール達の魔力の合計、3000!!
当然魔法防御力も3000……────ドキューーーーーーーーーーーーーーーーーーーン♪
バリィィィイイイン!!!!!!
「どわぁっぁあああああ!」
「あっちぃぃいいいいい!!」
「ぎゃぁぁあああああああ!!!」
指先だけを突き出したライト。
最初の位置から一歩も動かずアグニール達を狙撃。
そのまま、レーザーの残光を灯した指先に「ふっ」と息を吹きかけると、言った。
「レーザーの攻撃力は100000だっつの」




