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第12話「その名はレーザー」

(ヴァ)属性(ヴァージョン)……進、化(アップ)……?」



 チカッ♪ チカッ♪



  『光属性進化(ヴァージョンアップ)

   【光】属性から【光線】属性に、

   進化しますか............Y/N』


 ……こ、これは幻か??

 

 もしかすると、

 激痛と、失血と魔力欠乏で、朦朧とする意識の中でみる妄想なのか?


 だけど……。


(妄想でも、いい)

 ただの幻覚であっても、一度でもいいから、俺に攻撃力を───。


 ぐ、

  ぐぐ、

「ぐぅぉぉぉおおおお…………!」


 目の前に浮かんだステータス画面に、手を伸ばす。



 ふ、

 ふははははははははははははははははははは!!



「進化する(••)か、しない(•••)かだって?」


 そんなもん──────

 そんなもん…………



  伸ばして……触れる。



 ふ、

「ふふふふ、ふふふふふふふふふ」



 そんなの、


「──する(••)に決まってるだろぉぉぉぉぉぉおおおおおおおお!」




 カチャ................「(イエス)




 迷わず「Y」を選択したライト!!

 刹那、ガカッ────!!


 と、ステータス画面が猛烈に輝き、黄金色の光を放ち、痛烈に回転を始めた!!


「ぐううわっぁぁああああああああああああ!」


 な、なんだ?!

 ぐッ…………────目、目が……!


 もはや、目も開けられないほど強烈な光がステータス画面からあふれ出る!


 光魔法なんて比じゃないほどの眩い光ッ!!


 ──ぶわぁぁぁぁああああああああああああああああああああああ!!


「……め、目が、目がぁっぁあぁぁあああああああああああああああっ!」





   …………しゅぅぅう───。





 

 ようやくそれが収まった時、視界の安定したライトの目の前には、黄金のステータス画面が鎮座していた。



  そして──。



    ───ポ~ン♪



属性(ヴァージョン)進化(アップ)しました』


   ブゥゥン……。


 ※ ※ ※


L  v:15

名  前:ライト

職  業:冒険者(下級)

系  統:魔法使い

属  性:光 ⇒ 光線(NEW!)

所得魔法:Lv1灯火(ブライト)、Lv2光球(ライトボール)、Lv3蜃気楼(ブラー)、Lv4光爆発(フラッシュバン)、Lv5聖光(ホーリーライト)、Lv6安息光(サンクチュアリ)、Lv7光学迷彩(ステルス)、Lv8光連鎖(ライトニングチェイン)、Lv9千夜一夜(スターライト)、Lv10流星群(メテオシャワー)、Lv1:レーザー(NEW!)


 ※ ※ ※



「………………は?」


 属  性:光 ⇒ 光線(NEW!)


 ……………………は???


「……こ、」


 こ、光線、属性……?


「なんっだ、これ……」

 光線属性って、

「なんなんだよこれはぁぁっぁああああああ!!」


 また、光?!

 あれだけ大げさに進化を演じておきながら、光に『線』がついただけ?!


 光線って、それが、

 それが、


 ──それがなんだっつーーーーん、だよぉ!!!


 リッチに腹を抉られながらも、かろうじて意識を保っていたライトの目の間に現れたステータス画面。


 そこには、

 はっきりと【属性進化】と【光線】属性の文字が躍っていた!


 しかも、


 光ではなく、

 光線……。


「光線……」

  光線────。

   光線んんんッッ────?!



「ふ、ふざけやがって、………って、これは?!」


 しゅ、取得魔法がある……。

 しかも、これ──。


「……レ、レーザーぁぁぁああ…………?!」



   ウィィィイイン!



 そう詠唱するや否や、ライトの突き出した右手に魔力が集まる。


「うわ! (あつ)ッ────」


 そして、脳が、本能が、属性が告げる!!


 指を織り込み、

 親指を照準器に見立てて、


 人差し指と中指を突き出せと───!!


 出して、

  そして、

   狙って、


    出せ!! 狙え!! そして───



 そして、


  そして


   そして、





       ──ポーン♪




    ……システムが告げる。



    すぅぅ……。



   『──撃てぇぇぇっぇぇぇぇえええええええええええ!』




 う、う、う、う──────……


「うらぁっぁぁぁあああああああああああああああああああああああああ!!」



 ──じゃきんっ!!



 指鉄砲(•••)の先に、リッチの顔面を捉えるライト。

 そしてぇぇぇぇえ、



    …………発射ッ。



 ────ブワッ!!


 直後、放射状に集まった光が一気に収束し──。




   ──カッ!!




    「……死ね。ミイラ野郎」

    『ロァ──?』




  ……──ズキューーーーーーーーーーーーン♪





 刹那、指先から猛烈なエネルギーが迸り、射線上にいたリッチにゼロ距離射撃────!



    ────………………ぼーぉぉんっッ!!



「んな?!」

 驚愕するライト!

 その直後!!


 ……あ、あ、あのリッチが、あのリッチが弾け飛ぶ!!

 そう、まさにライトの眼前であのリッチが、ボーン!! と! 玩具の様にはじけ飛んだのだ!




「………………………………は??」


 バラバラバラバラ──……べちゃ。




  しーーーーーーん




「ま、?!」

 マジ……?


 発射直後の姿勢で硬直したライト。

 その目の前では、



   ジュぅぅぅううう……。



 と、バーベキュー大会のような音が立ち上っている。



「溶け、た……?」


 う、嘘だろ……。

 嘘だろ……。


「うっそだろ、おいぃぃい……?!」

 呆然としたライトの目の前には、倒れ伏すリッチの体。

 頭部は………………ない。


 そして、そのままクタリと力が抜けていくと、チリチリと指先から灰になって消えていく……!


「た、」

 倒した?

「倒したってのかよ……」


 この万年低級冒険者で歩く松明のライトが……?



   マ、マジ?????



「……マジかよー、おぃぃい!」

 一撃?!

「……い、一撃でお釈迦(•••)かよッッ」


 そう。

 まさか、まさかの一撃。


 ライトの驚愕の通り、リッチの頭部がぼんっ!! と弾け飛び──いや、蒸発し。

 ……あろうことか、その先の壁をも貫き、ドロドロと溶かして赤熱させたうえ、ガラス化していく様までもがありありと!!


 いや、おかしい。

 犯し過ぎるし、

「ぅぅ嘘だろぉぉぉおおおおおおおおおお!!」



 おい!?



 こ、これが、

 光線属性


 これが、

 Lv1の……



   ヘルプ、ぽちー



 ぶぅぅん……!


 ※ ※ ※


【光線】属性

Lv1『レーザー』

備考:科学の力で、全てを貫くレーザーを発射。

   魔力の量により、出力の調整可能──。


   攻撃力100000~∞


 ※ ※ ※


 レ、

  レ、

   レ──


「…………レーザーだとぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおお!!」


 レーザー。

 レーザー!


 まさかのレーザー!!


 しかも、最低攻撃力が100000?!

 攻撃力0の光属性から……じゅうまんんんん?!


「ぶぶぶ、いきなり、ぶ、ぶっ飛び過ぎだろうがよぉぉぉおおおおおおおおおおおおお!!」


 だが、その叫びを合図にしたかのように、突如、リッチの統制を失ったアンデッドが一斉にライトに群がってくる!



『『『『『ゴルァァァァ嗚呼!!』』』』』



 まさに解き放たれた獣!

 まさに狂乱!!

 まさに一気呵成!!!


 その数──変わらずの1000!!


 1000体のアンデッド────!!

 トリプルA級ダンジョンのアンデッド軍団!!



 それが、

 しかるのちにぃぃぃぃいい、



 死ぃねぇぇぇええ!

 雑魚ども!!!


 これが、

「──念願の攻撃力だぁぁっぁぁぁあああああああああああああああ!!」



 ──ウィィィィイイイン!!



 ライトの右手に宿る魔力!!

 そして、赤青白い光が玉となって指先に集中し────……あとは!!


「──────撃てぇぇぇぇええええええええええええええええええええ!」


 ──ズキューーーーーーーーーーーーーン♪


『『『ゴァァァ──』』』


 ぼんっ!!


 と、射線上のアンデッドがすべて貫かれて、直撃した上半身が消し飛んだ。 

 さらには実態にないはずのファントムですら、ジュワァ……♪ と消滅。

 あまりに威力に、さすがにアンデッドもぴたりと動きを止めたが、それが命とりだ!!


 ──……そう、命取りなのだッッ!!

 なぜなら!!



「撃てぇぇぇっぇぇぇええええええええ!」

 ──ズキューーーーーーーーーーーーン♪



「撃てぇぇぇっぇぇぇええええええええ!」

  ──ズキューーーーーーーーーーーーン♪



「撃てぇぇぇっぇぇぇええええええええ!」

   ──ズキューーーーーーーーーーーーン♪



「撃てぇぇぇっぇぇぇええええええええ!」

    ──ズキューーーーーーーーーーーーン♪



 ボォォォオオオオン!!


『『『グルァァァアア────???』』』


 ……まるで、まな板。

 モンスターどもは、いまや、まな板の上でジャキジャキと刻まれる野菜でしかない!!


 そう、野菜のごとく、包丁で細かく直線で刻むがごとくアンデッドが消し飛んでいく!!

 あの──あれほど恐ろしいアンデッド軍団が!!


 ランクAAA級ダンジョン、『死霊王の寝所』のアンデッドの軍勢が!!


 1000体のアンデッドがぁぁっぁああああああああ!!


 もはや、

「──残り、半分ッ!」


 そして、ライトは、使用を重ねるたびにレーザーの使い方に習熟していく。

 腕にした少女を掻き抱けば、



 いくらでも撃てる。

 いくらでも殺せる。

 いくらでもレーザー!!


 レーザー、レーザー、レーザー!


 そして、そして、そしてぇぇっぇええええ!!

「そして、レェェッェェェェエエイザァァァッァアアアアア!!」



 ウィィィィイイン!!



 指に集まるエネルギーを感じつつも、照準をアンデッド軍団の左端にピタリと向けると、


「……発射ぁぁっぁあああああああああああ!」


  ──ズキューーーーーーーーーーーーーン♪


「かーーーーらーーーーーのぉぉぉぉおおおお」


  ──ジジジジジッッッ♪


 そして、そのまま維持!!

 維持!! 維持!! 維持──しかるのちに、


「──薙ぎ払えぇぇえ!」


  ──……ビュワンッ♪


 赤光を放つレーザーの刃が、ダンジョン最奥のBOSS部屋を横に薙いだ!!

 次の瞬間ッッ!


『『『グル──』』』


 ボシュゥゥゥゥゥッーーーーーーーーーゥン!!


 一声上げて一矢報いんとしてすべてのアンデッドを焼き放ってしまう!!


 まるでギロチン!!

 横に薙ぐようなギロチン!!


 その威力たるや……! たるや!!

 たるやぁぁぁぁぁあああああああ!!


   ポーン♪


 ライト・ハミルトンのレベルが上昇しました(レベルアップ)

  ライト・ハミルトンのレベルが上昇しました(レベルアップ)

   ライト・ハミルトンのレベルが上昇しました(レベルアップ)

    ライト・ハミルトンのレベルが上昇しました(レベルアップ)

     レベルが上昇しました(レベルアップ)レベルが上昇しました(レベルアップ)レベルが上昇しました(レベルアップ)レベルが上昇しました(レベルアップ)レベルが上昇しました(レベルアップ)レベルが上昇しました(レベルアップ)レベルが上昇しました(レベルアップ)レベルが上昇しました(レベルアップ)レベルが上昇しました(レベルアップ)レベルが上昇しました(レベルアップ)レベルが上昇しました(レベルアップ)レベルが上昇しました(レベルアップ)レベルが上昇しました(レベルアップ)レベルが上昇しました(レベルアップ)レベルが上昇しました(レベルアップ)レベルが上昇しました(レベルアップ)レベルが上昇しました(レベルアップ)レベルが上昇しました(レベルアップ)レベルが上昇しました(レベルアップ)レベルが上昇しました(レベルアップ)レベルが上昇しました(レベルアップ)レベルが上昇しました(レベルアップ)レベルが上昇しました(レベルアップ)レベルが上昇しました(レベルアップ)レベルが上昇しました(レベルアップ)レベルが上昇しました(レベルアップ)レベルが上昇しました(レベルアップ)


「──おぁぁっぁああああああああああああああああああああああああああああああ!!」


 まさしく全てのアンデッドを、

 まさしく一瞬にして消滅させるほどのぶっ飛んだ威力!! 威力!!


 まさしく、威力!!


 そう。威力ぅぅぅぅぅぅうううううううううううううううううあああああああああああああ!!


「ああああああああああああああああああああああグニーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーール!」


 そして、ライトは止まらない!

 止まってなるものか──────……。


 腹から溢れる血をものともせず、

 左手が動かなくとも、

 自分の魔力がとっくに空になっていても、



 じゃきんっッ!!



 ──ウィィィィイイイイイイイイン!!


 魔力を垂れ流すほどに垂れ流し、自らの器に収まる魔力をすべてその一撃に叩き込む!!

 少女の魔力の底知れなさに、そら恐ろしい(••••••)ものを感じつつも、


 ライトは────……。


 斜め上、天井に向けてぇぇぇええええ!

 レィザァァ────



   「そこにいるんだろ?」

    ……アグニール!!



 だったらよぉ!!

「────発射ぁぁぁぁっぁぁあああああああああああああああああああああああああああああ!!」




  ──ズッッッギューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンンンンンン♪




 バゥ!!


 恐ろしいほどのエネルギー量!!

 恐ろしい! 恐ろしいまでのエネルギー量!!


 エネルギー、エネルギー、エネルギーがぁぁあ!



 ──ゴォォァァァアァアアンンン!!!



 周囲の壁がドロドロと溶けてガラス化するほどの熱量で、すっさまじく太ッッッッッッい赤光が天井に向けて発射!!


 それは、強固なはずのダンジョンの壁をあっさりと貫いて、貫いて、貫いて──外へ!!



       カッ!!



  ──ドゴゴォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!






 そして、ダンジョンを貫通し、

 地上の陽の光をこの地の底へと導いた。



「…………ぁ、ひ、かり──?」



 その時には、ライトはすべての魔力を使いつくし、意識を失っていた。

 正真正銘、最後の力を振り絞った復讐の一撃。

 その刃が、届く届かないなんて考えていない。命中するとも思っていない。


 だけど、アグニールに対する宣戦布告を高らかに宣言し──……意識を手放した。




 ……あの少女が、

 眩しそうに、その光を眺めていることにも気が付かず────。

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