一見親切な人だけど、本当にそうかな?(意味がわかると怖い話)
解説は後書きにて
初めて一人で旅行をしていて、道に迷った。幸いまだ昼間だから時間はあるが、歩き疲れたので早く休みたい。けれど泊まる予定のホテルがどこにあるかわからない。都会は同じような景色ばっかりで自分が今どこにいるのかすら把握出来ていない。
辺りを見渡してキョロキョロしているとある一人の女性に声をかけられた。
「あの……これ落としましたよ」
そう言って手渡してきたのは俺の財布だった。どうやら気づかぬ内に落としてしまっていたらしい。
「ありがとうございます」
お礼を言って、女性が去った後に一応中身を確認する。
良かった。中身は抜かれていないようだ。しかし一枚見覚えのない紙が入っていた。何だろうと疑問に思い紙を開く。
すると俺が泊まる予定のホテルまでの地図が書かれていた。
なんて親切な人なんだろう。
スマホの地図はごちゃごちゃしていて見にくいんだよね。この紙に書かれた地図はシンプルでわかりやすかった。
「またあの人に会えるといいな」
感謝のお礼を言いたい気持ちからそう呟いた。
その夜、ホテルを歩いていると昼間の女性とばったり会った。
俺は偶然の再開を果たし、改めてお礼を言うことができた。
【解説】
男は女性にホテルの場所を尋ねた訳でもないのにホテルを知っていた。
ホテルで再開したのは本当にただの偶然なのだろうか……?