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あなたはわたしのドアをノックした

作者: つこさん。


 何度も何度も手を洗った。

 食べるだけ食べて吐けるだけ吐いた。

 サウナと水風呂を往復した。

 ブレインジャックとかいう怪しいタイトルのCDを夜昼聴いた。

 わたしはなにも変わらずに惨めだった。

 こんな状況のままあなたに会いたくなかった。

 それでも時間は過ぎて行って、あなたはわたしのドアをノックした。


 少しでも痕跡を消したかったの。

 わたしが愛されたかったこと、愛してもらえなかったこと、あなた以外の人に出会ったこと、なにもかも失ったこと。

 少しでも笑顔で迎えたかったの。

 あなたになにも知られたくなくて、気づかれるのが怖くて、わたし以外のドアへ向かうこと、気が狂いそうになる。


 あなたがわたしを見つけてくれるまでに、わたしいろいろなことがあったのよ。


 なにもかもがくだらなくて、わたしは平気でいられなかった。

 これまでのことを消さなくちゃ。

 なにも知らないわたしに戻って。

 消せなかった瑕疵は覆って後ろ手に隠そう。

 あなたの目に触れてしまわないように。

 

 こんなわたしのままあなたに会いたくなかった。

 少しでも笑顔で迎えたかったの。

 それでも時間は過ぎて行って、あなたはわたしのドアをノックした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 昔何があったんだろうって、色々と想像してしまいました(;´∀`) いいですね、こういうシンプルな作品。
[良い点] い、一体何が!? やけにリアルな気がしましたぞ!?
[良い点] リアルだと思いました。 過去のトラウマを乗り越えてなどと簡単には言えないのがリアルかと。
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