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4wesome K1ngdom  作者: 藍剣
2/2

1.ゲーム実況者、登録者14人

「再生回数、未だ6回…。んー?今投稿してる人達の中ではかなり上手いと思うんだけど…」


モニターの前で腕を組みながら首を傾げる男。寝癖も直さずジャージ姿で動画サイトのアナリティクスを見つめる。そんなことをしても再生数が増えるとは到底思ってないが、同じ体制のまま動く気配はない。


(…朝ごはんは卵焼きだな)


神妙な面持ちで考え事をしているような雰囲気を出していたが、何も考えていなかった。

大きく伸びをしてリビングへと向かう。


「おはよー母さん」


「ずいぶんと早起きね。あと少しでお米炊けるから待ってて」


バタバタと母親が料理の支度をしている音が聞こえる。ウォーターサーバーから水を汲み、席に座ってボーッとテレビを流し見る。キッチンとは反対方向からもドタドタと騒がしさが増してくると…


「おはよお母さん!あ、お兄もおはよ!今日の朝ごはん何?あ、卵焼きじゃん!てか、そのニュース昨日トレンド入ってたやつ?ってコーヒー切らしてるし。お母さんコーヒーのストックどこー?」


朝からハイテンションな妹が家中を右往左往。引きこもりの俺にはおよそ同じ人間と思えないバイタリティを朝から感じる。


朝ごはんを3人で食し、その後すぐ自室に戻る。机の上にあったお菓子も幾らか拝借していこう。


「お兄それ美味しくないからねー」


「逆に気になるからオッケーだ」


「ここに昼食代置いていくから、ちゃんと食べに行きなさいよー」


「ありがとー母さん」


うちの家族は仲がいい。ニートの俺にも嫌悪感無く接してくれる。恵まれた環境だ、これで今日も心置き無く配信できる!



------------



「ってなことが今日の朝あったんですよー。妹が美味しくないって言ってたお菓子、本当に微妙な味で---」


同時視聴者3人。そのうち1人は俺。こんな配信を見に来る人がいるのか。俺なら見ない。なんて空虚なんだろう。


現在配信しているのは、3日前に発売された注目のVRゲーム『4wesome K1ngdom』、プレイヤーの視点がVR一人称視点で6vs6で競い合うチームバトルゲームだ。


チェスをモチーフにした世界観で、チェスの駒毎に役割が異なり連携が鍵となるゲームになっている。


人気実況者が万単位で、中堅実況者が千単位で視聴者を集める中、俺みたいな底辺実況者を見に来る物好きはそうそういない。


当たり障りのない事を言いながらゲームをプレイし、3時間が経って配信を終えた。


「そもそも見てもらえないと、感想がないから改善の余地もないよなぁ」


すっかり昼時。飯を食いにいくかと重い腰を上げて外出しにいく。

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