表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終わりのない終わりに。  作者: 時をかけたい少女
6/15

恐れに立ち向かうのは勇気か蛮勇か



「ぁああぁあああぁ!!!」


「んんんんんんんん!!!」


自分と「なにか」が叫ぶのはほぼ同時だった。

しかし、叫びの意味は真逆だったに違いない。


すぐさま背中を預けていた扉からとびのいて離れるが、恐怖で腰が抜けてしまい四つん這いでバタバタと遠ざかることしかできない。


そのまま急いで振り返り扉確認すると、「なにか」は扉の板を突き破り、そこから上半身を突き出していた。

まるで()()()()()()()()かのような姿だ。


「んぁあぁ、、、」

その異様な光景を唖然と見つめていると、漏れ出るような声とともにゆっくりと扉が開いていく。


「なにか」がこちらに近づいて来ているのだ。


「ひ、、く、くるな!くるんじゃねぇ!」

腰が抜けたまま、腕の力だけで必死に反対の壁側へと後ずさりしていく。


「なにか」はその様子を見て「ひゃぁ、、、ひひぃ、、、」と愉快そうな声をだしている。

その声がまた不気味で、どうしようもなく恐怖を煽った。


そして「ドンっ」という音とともにいよいよ壁際に置いてあった台まで追い詰められる。

すぐ右手には外へと通じる扉が見えているが、足に力が入らずとてもそこまでいけそうにない。


視線を正面に戻すと、「なにか」はその不自然に折れ曲がったくの字の体制のままにこちらへと手を伸ばしている。


ここで初めて気づいたが「なにか」は顔を上に向けたいわゆる()()()()姿()()でこちらへと迫って来ていた。


当然、伸ばされた手も手のひらが上を向いている。


もはやその状況は理解の範疇を超えていた。


「やめろ、、、やめてくれぇ、、、!」


とんっ、とんっ、と一定のリズムでゆっくりと近づいてくる「なにか」に対し、届くとも思えない懇願を続ける。


そして、「なにか」の指が一色の首元へと伸びていく。


近くで見れば、その手は異様なほど()()()()

爪は5cm以上も伸び、ところどころひび割れ黒い垢がこびりついている。

指の何本かは折れているのか間接とは逆に曲がり、あかぎれのような血の跡が無数に刻まれていた。


触られただけで病気になりそうなその手がゆっくりと一色の首を捉え、締め付けていく。


やばい、、、こいつ、、、このまま絞め殺す気だ、、、!


徐々に強くなっていく力になんとか抵抗しようとするものの、締め付ける手は万力のような力でびくともしなかった。



「ぐっ、、、げぇ、、ぁあ、、、」

キーン、という甲高い音が耳の奥から響いてくる。

頭の血管が千切れそうなほど膨張しているのがわかった。


意識が、、、飛ぶ、、、


薄れゆく意識の中、「なにか」の顔を見るとその真っ黒な穴が歪に歪んでいる。

恐らく笑っているのだろう。


そんな「なにか」の様子を感じとり、一色の中の何かが切れた。



「、、ぐ、、ざけん、、、なっ、、、このやろぉ!」


首を締め続ける「なにか」の腕から手を離し、()()()()()()()()()

そしてそこに置いてある赤錆びた包丁の柄を掴んで思い切り「なにか」の腕へと振り下ろした。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ