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最終話 魔法少女、冒険者ギルドで絡まれる

私とルルは、商業ギルドに入る。


受付で聞けば良いのかな......?


私は受付のところに行く。


「あの換金をしたいのですが......?」

「素材換金でしょうか?」

「はい......」

「ギルドカードはお持ちですか?」

「いえ、まだ......」

「分かりました。換金と同時にギルドカードを作成しましょう」

「あの、冒険者になりたいのですが、ギルドカードって......」

「はい、同じものになりますので、冒険者ギルドではこちらで作ったカードを提示してください」

「分かりました......」

「奥の部屋にどうぞ」


私は受付のお姉さんに案内されて、奥の部屋に入る。


「それでは、ここに素材をお出しください」


私は空っぽのリュックを下ろして、蓋を開ける。

このリュックは、突然アイテムが出てくるイリュージョンのカモフラージュのために購入したのだ。

まあ、まだ買ってないけどね......


私はリュックに手を入れて、出ろーー!と頭で念じながら、ドロップ品を1つずつ取り出す。


ゴーレムの魔石。

レッドドラゴンの髭。


ここで、受付のお姉さんの顔が明らかに変わる。


レッドドラゴンの牙。


顎が外れかけている。


レッドドラゴンの魔石。


目玉が飛び出てしまった。

受付のお姉さんは慌てる。


「少々、お待ちください!」


私とルルは部屋に取り残される。


「なんだろう......」

「レッドドラゴンの魔石は作中で最もレアな魔石だったにゃ!」

「もしかして......この世界でもレアなのかな......」

「その可能性は否定できないにゃ!」


受付のお姉さんは、商業ギルドのギルマスを連れてくる。

ギルマスは案外若い。


「あなたがいきなりレッドドラゴンの素材を持ち込んだ問題児?すごく可愛い子ね」


私は可愛いと言われ照れながら俯く。


「少し確認するわね」


ギルマスは、私の素材を手に取って、確認する。


「間違いなく、本物ね!あなたどうやって入手したの?まさか討伐したなんて言わないわよね?」


討伐してしまいました......


答えに困る私に、ギルマスは微笑む。


「入手経路なんて、簡単にはいえないわよね。ごめんなさい、人の商売に口出しするものではないわ」


まあ、討伐しただけなんですが......


「全部買い取らせてもらうわね」

「はい、お願いします......」

「ただ、すぐには用意できないから、少し待ってもらっても良いかしら?」

「待つ......?」

「ええ、あなたの持ち込んだ素材は買い取るとしたら総額1億ゴールドくらいになるわ。さすがに商業ギルドで即金買取したら、破産してしまうわ。だから、買い手がついてから、支払うってこと」

「い、1億......」


さっきの服屋さんの服は一着1000ゴールドくらいだった。

ということは日本の通貨と異世界のゴールドの価値は同じくらい.....?

もしかして、いきなりお金持ち......?


「あの、今、お金を持ってなくて、少しで良いので、先に支払ってもらったりってできませんか?」

「わかったわ、とりあえず、1000万ゴールドを支払うって形でどうかしら?」


1000万ゴールドも......!


「はい、ありがとうございます......」

「じゃあ、ギルドカードを発行するから、この紙に書いてくれる?そっちの子も登録する?」


ギルマスと私はルルを見る。


「お願いするにゃ!」


ギルマスはにっこり笑って、ルルにも紙とペンを渡してくれる。

私は日本語で記入していく。

覗き込んでいるギルマスは何も言わないから、大丈夫なのだろう。

ファンタジー補正、さすがです......。


紙への記入が終わる。


「それで、サクラちゃん、さっきの話に戻るんだけど」

「はい......」

「お金はギルドカードに入金する?それとも、直接、受け取る?」

「ギルドカードに入金したお金は、どうやって使うんですか......?」

「ギルドに加盟しているお店であれば、店主のギルドカードと触れさせると支払えるわ」

「なるほど......」


プリペイドカードみたいな感じかな?


「でも、盗難には気をつけてね。ギルドカードは再発行可能だけど、再発行するまでの間に、お金をザクザク引き出されてしまったというのは、よくある話だから」

「わわわ......」


なくなれーー!って念じて、しまっておけば安心できるかな......


「ちなみに、ギルドカードが使えないお店は多いですか......?」

「そうね、露店は基本、ギルドに入ってなくても、お店を出せるから、ギルドカードを持っていない店主もいるかもしれないわね」

「少しだけ、お金でもらってもいいですか......?」

「そうね、10万ゴールドほど、お金で渡しましょうか?あとで足りなかったら、ギルドにきてくれれば、いつでも、下ろせるから」

「はい......ありがとうございます......」


ギルマスは一旦、部屋を出て、大きな袋を持って戻ってくる。


「はい、これが、10万ゴールド、こっちが、ギルドカードね」


ギルマスは机の上に置いて、どうぞと言ってくれる。


「ありがとうございます......」


私は、10万ゴールドをリュックの中に入れて、なくなれー、と念じる。

次に、ギルドカードを、リュックに入れて、なくなれー、と念じる。


盗難対策バッチシだね......


「ルル、私がギルドカード預かろうか......?」

「お願いしていいかにゃ?」

「うん......」


私は、笑顔で答える。


♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎


私とルルは商業ギルドを後にして、冒険者ギルドに来た。

チャラい男に声をかけられる。


「おうおう、可愛い嬢ちゃんじゃねーか、見ない顔だな!」

「は、はい......」


私は笑顔で突き進む。

別のチンピラ男がやってくる。


「新人か〜!俺のパーティーに入れてやろうか?」

「またの機会があれば......」


もう少しで受付だ。

今度は大きな男が近寄ってくる。


「待てよ、嬢ちゃん!」

「は、はい......」


そのまま、通り抜けようとすると、肩を掴まれる。


ひいい......


「な、何ですか......?」

「冒険者になろうとしてるんだろう?」

「は、はい......」

「お前みたいな貧弱な奴が冒険者だと?舐めるな〜!」


大きな男は殴りかかってきた。


あんなパンチ喰らったら、死ぬ......。

仕方がない、変身する......!


私の体は光る。


♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎


光の試着室の中で体をクルクルっとさせて、衣装を装着していく。

光り輝く、桜吹雪の中、私の変身は完了していく。

腰のリボンが弾けて飛び出し、ぶかぶかの猫耳フードがバサっと私の頭にかかる。

最後に決めポーズだ。


「まじか〜る☆」


♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎


大きな男は私の体が光っても、お構いなしに殴りかかってきていた。

私は、光の中で、伝説の木の枝を握って、最大限の手加減で魔法を打つ。


「水の魔法、出てーー!!」

「ぎゃーー!!」


光の中からいきなり飛んできた水の魔法に大きな男は吹き飛ばされる。

周囲の人も何だ?と注目している。


『何だ、今のは?』

『何が起こったんだ』

『本の中の空想かと思っていたぞ』


光が消えて、私の姿が露わになる。


「お前は何だ?」

「私?」


まだ決めてなかったね......

どうせなら、サクラを弄った名前がいいかな......

ちぇりーぶろっさむ......ちぇりー......


「ふふふ、私は魔法少女チェリーよ」

「魔法少女だと?」

「ええ」

「さっきの子はどこに行ったんだ、おしとやかで可愛かった子は?」


私はカーッとなって照れる。


「何で、お前が照れてんだよ!」

「ゴホンッ!私が瞬間移動で避難させたわ。あの子に何で手を出そうとしたの?」

「弱い奴がギルドに所属していたら俺たちも舐められるからな!お前をぶん殴って、あいつの居場所を吐かせてやる!」


大きな男は殴ってくる。

私はパンチで対抗する。


「まじかる☆ぱ〜んち」


大きな男はギルドの外まで吹き飛んだ。

私のへなちょこパンチは、魔力によって増強され、とんでもない威力になっている。


「悪い人は許さないんだから!!他にやる人はいる?」


周囲にいた冒険者はみんな、首を横に振った。

私は、変身を解いて、おしとやかモードの眼鏡っ子に戻る。

周りの冒険者が噂を始める。


「チェリーって子が消えたぞ」

「魔法の力だろ」

「魔法なんて、ありえるのかよ」

「この目で見ただろ」


きょとんとする私に冒険者が優しく声をかけてくれる。


「受付はあっちだぞ」

「食べ物食いたい時はあっちだぞ」

「依頼掲示板はあっちだからな」

「ありがとうございます......」


私は笑顔で答えて、お言葉に甘えて、いろいろ教えてもらった。

魔法少女チェリーの名は、瞬く間に広がっていった。

完結になります!

ここまで読んでくださった方、ありがとうございます!

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