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バトル描写を書いていて思ったこと

 生きてます。

 元気に執筆中です。

 嘘です。うまく書けなくて死にかけてます。

 でも、体は元気です。


 拳で殴る聖女の話を書いていますが、書いたり、消したりを繰り返しています。見直すと、盛り上がりがいまいちに見えてしまって、進みません。途方もなく進みません。


 そんな愚痴はさておき、何度か書き直しているうちに、バトルってこういう書き方が盛り上がるかも?というのを自分なりに見つけたのでその話と、拳で殴る物理バトルは書いていて難しいという話です。全体的に愚痴っぽい話です。


 Web小説ではバトルはあまり読まれないとか、端的に書いた方がよいというものも見かけるので、あくまで個人的な書き方と思ってもらえると幸いです。


 簡単にいうと、「弱い方の視点から書くと、相手の強さが際立つ」という、当たり前といったら、当たり前の話です。



 読んでもらったら分かりやすいと思うので、活動報告にあげていたヒーロー VS 護衛&ゴーレムのシーンを例にあげます。



 ■改稿前


 ────

 サラは睡眠薬とポーションを飲まされ、護送用の馬車に乗せられていた。大聖堂までは城から三時間かかる。闇の中を馬がいななく音が響いた。


 道の先に、男は立っていた。


 白い短髪が闇夜の中でも輝いている。マントからのぞく褐色の腕には円と、奇怪な文字が描かれていた。


「ん? 邪魔だ! ひき殺すぞ!」


 御者は叫んだが、男は動こうとしない。男は両手をパンっと合わせて右手を下にした後に、両手を地面につけた。


 ──どごっ!


 轟音と共に地面が盛り上がり、突っ込んできた馬車の御者が青ざめる。


「なんだ!?」


 ──ヒヒィン!!


 いななく音が聞こえ、馬が前足を高くあげる。急停止した馬車は山に激突する前に止まった。


 男は土の山を蹴って、御者の腹を殴って気絶させると、馬車の屋根に飛びのる。


「何者だ!?」


 武装した護衛と、土人間が馬車から出てきた。男はその問いに頭をかきながら、うーんと考え込む。やがて、にっと唇を持ち上げた。


「ヒーロー、かな?」

「はぁ?」


 護衛が驚いている隙に、男は目にも止まらぬ早さで動き、相手を殴って気絶させる。土人間たちが襲いかかってきて、男は乳白色の瞳を細くした。


「よくできてんじゃん。遠隔操作までできるなんて、そこそこの錬金術師だな」


 男は土人間の攻撃をかわしながら、両手をパンとつけて右手だけを下にした。


「エメラルド・タブレット、オープン。No.000243。錬成開始」


 土人間の繰り出す拳を手のひらで受け止め、両手をゴーレムの体の中心にかざす。


 ──バチバチっ!


 閃光が走り、男の手が土の中に飲み込まれていった。


「みーつけた」


 男はゴーレムに仕込まれていた護符を取り出すと、頭文字のeだけをビリっと破る。すると残された文字はmeth──死を意味するものになり、ゴーレムはあっけなく崩れた。


「賢者の石を使ってないから、脆いねぇ」


 軽口を叩きながら、次々と土人間を始末して、護衛は気絶させた。

 あっけなく全員を倒して、馬車に乗り込む。

 寝かされていたサラに近づき、丁重に抱き寄せた。彼女を抱えたときに男の左腕が、みしっと鳴いた。


「……そろそろメンテナンスしねぇとやばいな」


 サラの体躯を軽々と横抱きにして、男は飛躍する。人の気配がなくなると、また虹色の人間が現れた。


「お嬢さんなんだから、しっかり抱えなさいよ」

「へいへい。わかっているよ、かーさん」


 小言をいわれて肩を竦めながらも、男は闇に溶けていった。


 ────


 これはヒーロー視点で書いたものになります。チートすぎて、臨場感がないです。軽い。バトルが軽い!!!!(叫ぶ)

 エメラルド・タブレットとか、ゴーレムの説明とか余計な世界観の説明が入ってバトルに集中できないのも✕。


 この二つの説明は主人公が知ったほうがよい情報。主人公(サラ)が寝ているときにすると、読者から見ると同じ説明を二度読むことになってしまいます。なので、主人公が知るタイミングで説明すればよし。勢いで書くとこういうところが荒くてダメですね。


 という反省点を生かして書いたのが改稿後。

 護衛官視点から始まって、バトル描写を細かくしたものです。



 ■改稿後


 ────

 サラはポーションを飲まされ、護送用の馬車に乗せられていた。馬車の行く先は、ここから三時間かかる大聖堂だ。


 広い荷台の上に簡易ベッドが設置され、サラは横たわっていた。苦しげに額に汗をかいて、熱い息を出している。

 ベッドが倒れないように支えていた四人の護衛官の一人が、サラの様子を見て動揺する。


「ご様子がおかしい……ポーションが効いていないのか……」

「いや……傷は塞がっていると殿下はおっしゃっていた。効いているはずだ」


 上官のザックに言われて、護衛官は険しい表情になる。


「しかし……熱が出ています。一度、戻って殿下にご報告をした方が……」

「ええい。黙れ!」


 ザックが歯をむき出しにしながら、声を張り上げた。


「我らの任務はサラさまを大聖堂に送り届けることだ! 引き返すことはできぬ!」


 護衛官は硬い顔になり、口を引き結ぶ。別の護衛官が腰に付けていた携帯用の水筒を取り出した。


「汗を拭いて、水を飲ませましょう。できうる限りの処置を……」


 他の護衛官が頷き、一人がサラの上体を起こす。水筒をだした男が彼女の唇に飲み口をつけた。

 馬車が揺れて、うまく嚥下してくれないが、三人は根気強くサラに水分を飲ませていった。


 緊張が漂う中、外を警戒して窓の近くにいたザックが三人の護衛に声をかける。


「レンドル橋が見えた。大聖堂はもうすぐだ」


 他の護衛官がそろって大きく息を吐き出す。気がゆるんだその時、御者の罵声が聞こえた。


「邪魔だ! ひき殺すぞ!」


 四人の顔つきが引き締まり、二人が窓に顔を付けて外の様子を伺う。二人はサラのベッドを固定しながらも、体勢を低くし警戒する。

 外を見ていた護衛の目に飛び込んできたのは、馬車の前に悠然と立つ人影だった。人影が動き、地面に手をつけると、平たい地面が音を立てながら山のように盛り上がった。


「くそっ……!」


 御者が手綱を引き、馬を止める。いななく声が響き、二頭の馬が頭を振りながら前足を高く上げた。

 反動で馬車が前後に大きく揺れ、サラのベッドを持っていた護衛官はとっさに彼女の体の上に覆い被さる。

 窓際にいた護衛二人も掴める箇所に手をかけた。


 ──がたんっ!


 急停車で車輪は浮き上がり、上下に振動が走る。衝撃に耐えた護衛官の耳に飛び込んできたのは、御者のうめき声。次の瞬間には、屋根に誰かが飛び乗った音が聞こえた。

 ザックは目を見開き唾を飛ばしながら、他の者に指示をだす。


「ローバー! 叩き切ってやれ!」

「はっ!」


 窓際にいたローバーが馬車の荷台から飛び出し、剣を抜いて敵を睨む。


「サム! ゴーレムの用意だ。ジュドーは残りサラさまをお守りせよ!」

「はっ!」


 サムと呼ばれた男が荷台に積んであったゴーレムに駆け寄る。動力源となる護符をゴーレム四体の背中に張り付けた。そして、ローバーと戦闘中の褐色の男を見据え叫んだ。


「ローバー、引け!」


 ローバーが男の顔に向けて真一文字に剣をふる。男が屈んで避けた隙に、サムが叫ぶ。


「ゴーレム、起動せよ!」


 声を合図に、ゴーレムの目が怪しく光りゆらりと動きだした。一斉に男に向かって襲いかかる。男の顔面にゴーレムの鉄槌が振り下ろされた。


「よっと」


 男は呟きながら、鉄槌を食らう前に跳躍する。前屈みになったゴーレムの顔を両足で踏んづけて、さらに高く飛ぶ。月を背景に、男が身につけていた白いマントがはためいた。


「なんだと……」


 あまりの跳躍力にローバーとサムが唖然と見上げる。


 男は空中で翻りながら、両手をパンっとつけて右手だけを下にした。男の肩と腕の模様がエメラルド色に発光する。両手を前にだしながら、男は急降下した。


 ──バチバチッ!


 男の手がゴーレムの顔にめり込み、閃光が走った。


「まさか……」


 護衛官、全員が声を失った。

 閃光をだしながら男の手はゴーレムの頭を砂にしていく。ぼろぼろと砂になって崩れる様を、全員が口を開いて見ていた。


「みーっけ」


 男は軽い声を出して、護符をもぎ取る。空になった砂人間を蹴り飛ばして後ろに下がると、護符の一部をビリッと破いた。


 ザラザラと砂ぼこりを立てながら護符を取られたゴーレムが崩れ、護衛服だけが地面に残る。

 開いたままの口を閉じて、サムが生唾をのむ。渇いた喉を唾がひっかかりながら落ちていく。


「そんな、バカな……」


 男は二体目のゴーレムも心臓をえぐるように護符を取り出し、一部を破り捨てて砂にしてしまう。あっという間に倒されるゴーレムにサムが足を一歩、後ろに下がらせた。


「何をしとる! サラさまをお守りしろ!!」


 上官の怒号が飛んで、ローバーは鞘を両手で握りなおして駆け出す。


「はぁぁぁぁ!」


 最後のゴーレムを倒した男は、ローバーの剣を難なくかわし、両手首を片手で握って彼の動きを封じる。男は体を反転させながら、ローバーのみぞおちに拳をめり込ませた。


「がっ……!」


 ローバーが白目をむいて倒れる。男は体勢を低くしたまま、唖然としているサムに近づき、足払いをした。倒れたサムの背中にのって肩の間接を外す。

 痛みにのたうち回る彼を捨てて、ザックに視線をうつす。


「き、貴様……何者だ!!」


 声を上滑りさせながらザックが叫ぶと、男は乳白色の目を丸くした。腕を組んで、考え込むしぐさをする。

 小バカにした態度にザックは青筋を立てて、顔を真っ赤にさせる。頭から湯気がでそうだ。


「貴様!!」


 ザックが馬車を飛び出した。男に向かって剣をふるうが、飄々とよけられてしまう。男の純白の髪が切られて散らばるが、捕らえられない。


「ちょこまかとっ……!」


 剣を高々と持ち上げて、振り下ろす。大振りをひょいとかわされ、剣が地面にめり込んだ。

 ザックが目を血走らせると、眼前に男の拳が見えた。


 ──バキッ!


 脳みそが潰れるほどの衝撃を受けて、ザックが倒れる。

 男は、にっと口の端を持ち上げた。


「たぶん、ヒーローかな?」


 男が馬車に乗り込もうとすると、鉄製の矢が馬車の中から飛び出してきた。男は片手で飛んできた矢じりを持ち、ポイッと捨てる。

 馬車の荷台から、クロスボウを構えた最後の護衛が出てくる。額に汗をかいて、男の頭を狙っている。


「貴様みたいな奴に聖女さまは渡さない……救援を呼んだ。逃げられないぞ……」


 いつの間にか馬車の片方の窓が空いていた。道沿いに生えていた木に炎がつけられて火の粉を撒き散らして燃えている。木の幹には何本かの矢が刺さっていた。火矢を作って、手近な木を燃やして救援を求めたのだろう。


「大聖堂は近い。第三隊が気づいてすぐに駆けつけ──!」


 最後まで言葉をいえずに護衛官は口を大きく開く。男は目にもとまらない早さで動き、護衛官の腹部に拳を突き上げていた。

 護衛官の手の力がなくなり、男の頭を掠めながら、矢が馬車の天井に突き刺さる。


「救援か……悪いけど、おれの方が馬より早い」


 そんなバカな……と思いながら、護衛官の意識は途切れた。


 ────



 まだまだですが、ここまでが改稿したもの。ちょっとは、臨場感がでているといいな。


 でも、これでもベストではないのですよね。

 今回、体術なので、体の動きがイメージしづらいというのがあります。


「ファイヤああああ!!」


 ドゴン!


「サンダああああ!!」


 バチバチっ!



 魔法を詠唱して、効果音つける方が分かりやすいといえば、分かりやすいです(遠い目)


 体術は漫画だと映えてひたすらかっこいいのですが、文章だと難しいと感じてしまいます。


 そんな感じで苦戦しながら書いています。


 という、オチのないしめたかで終わります。



 追記。


 振りかえったらあまりに実りのない話だったので、バトル描写について追記。バトルは動画を見て書くと、体の動きがわかってよいよという記事を見かけました。なるほどと思い、武術系の動画を見ています。


 面白かったのが、躰道(たいどう)

 動きが異次元すぎてポカンとしました。

 興味があるかたは動画を検索してみてください。

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― 新着の感想 ―
[一言] バトル物難しいと私も思います 一つ思いついた事としては 攻撃をする場合 ①パンチ(キック)の速度が速い場合→砂埃や草がパンチの風圧で巻き上がる、相手の皮膚が切れる 物が切断される ②パンチ(…
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