妖怪と少女の出会い
「あの、そこの方…」
「あっ私ですか!?」
いきなり声を掛けられて驚きつつも少女は振り替える。
そこには笛を持った女性が立っていた。
「もしかして、外からいらっしゃいましたか?」
「外?多分そうだと思います。路地裏を歩いていたら此処に…」
少女が答えると女性は手招きし、近くにあった居酒屋に入っていった。
戸惑いつつも、少女も居酒屋へ入る。
居酒屋の中には女性の他に、角が生えた四十代程の男と銀色の狐耳と九本の尻尾を持った女性、
少女のように白の目隠しを着けた青年が居た。
「おや、見ない顔だね。新入りかい?」
「銀狐さん此方の方は迷い人かと思われます。」
少女はペコリと、取り敢えず頭を下げる。
「迷い人?久々に見るなぁ。まぁ立ってないで
座りなよ。」
角を生やした男が手招きをするので、
椅子に座る。
(この人、鬼?角生えてる…。銀色のお姉さんも
人じゃない。怖いし従っておこう…。)
「あーあ、酒屋鬼の顔がイカツイせいで、黒布の子が怯えているよ?」
白の目隠しの青年がクスクス笑いながら角の生えてる男性に言う。少女は慌てて
「シテナイデスヨ!」
「ごめんね!?おじさんの顔が怖かったね!?
だから片言止めて!?おじさんのガラスハートが崩れちゃう!」
恐怖の余りに、うっかり片言で答えてしまい、それを聞いてオロオロしだした鬼にポカーンとする。
「きしょいねぇ。ところでアンタ、行く宛あんのかい?おっと、帰る選択肢は無しだ。来たからには、此処から出られないよ。」
「出られない!?」
「はい。此処から出た者は誰も居ません。外に干渉するのは迷い人が入ってくるだけです。よって入ってきた者は、此処に住む必要があります。」
静かに笛の女性は真実を少女に教える。
「まぁでも新入りは歓迎しないとね?
一度入れば脱出不可能な、ようこそ妖怪町へ!」