妖怪と少女の日常
少女は、路地裏を歩いていた。
「・・・夢ならば景色を見ることが出来るのね。でも現実にこんな風景はあるのやら。」
少女は目が見えていなかった。しかし、足取りはしっかりしており目が不自由だとは感じさせない。
少女は浴衣に黒の大きめな目隠しを着けている。例え、目隠しが着いていても少女には目の前の光景が見えていた。
当然普段は目隠しや浴衣など着けておらず、普通の格好である。
目隠しは、勿論着けていない。
「襖?なんでも有りだね。」
少女は迷うことなく、襖を開けて進む。
その先には暗闇が広がっていた。
下には一直線の石畳が敷かれその奥には襖が置かれている。
普通の感性の持ち主ならば戸惑うが、残念な事に少女には、普通の感性を所持していなかった。
迷うことなく、進んでいき襖を開く。だが、流石の彼女も目の前の光景には困惑していた。
目の前に広がっていたのは和風な町だった。
そして、そこに居る人々だった。尻尾が生えていたり羽が生えている者が、楽しげに会話していた。
流石に少女も焦り、元の道に戻ろうとするが
「嘘・・・襖が消えてる?」
困惑する少女は無言で自身の頬を引っ張る。しかし夢から覚めることは無かった。