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魔法少女と進める世界征服  作者: 北斗拳士郎
三章 復讐のローレライ
60/70

五十嵐風音(いがらし かざね)

 私の新たな学園生活はこうして始まった。

 最後に恥ずかしい思いはしたものの、少なくとも悪い印象は与えていないだろう……とポジティブに考えることにした。


 とりあえず今日は水神先生の言う通り、先程のチャイムで下校となるので私は帰る準備を始めた。すると先に準備を終えた光が私の席に来る。


「今日はもう終わりみたいだけど、この後どうしよっか。もし、明の時間があるならどこか見て回ってみる?」


「私なら今日は特に予定はなかったから大丈夫だよ。この周辺って説明会や受験で来たことがあったけど、ちゃんと見たことがなかったから見てみたかったんだ。エリーちゃんや川瀬くんにも声かけてみよう。そうだ、よかったら村雨さんも一緒にどうかな? 中等部からこの学園に通っているようだからいろいろと教えてくれたら嬉しいと思いまして」


 これから隣の席で同じこのクラスを過ごしていくことになる村雨さんとは是非仲良くなりたいと思った私は、思い切って隣の席で帰りの準備をしていた彼女に声をかけてみた。


「誘ってくれてありがとう。でも今日はこれから図書室に行かないといけない用事があるのよ。申し訳ない、また誘ってくれると嬉しいわ」


「はい、今回は残念だけどまた誘いますね」


「わたしと話す時はそんな畏まった話し方ではなく普通に話してほしい。堅苦しいのは苦手なの。それと君は星野さんだよね。先程のホームルームでの名乗り通り、わたしは村雨綾よ。これからよろしく。このクラスでは高等部から入ってきたのは君たちだけのようだけど、二人は既に友人関係のようね」


「こちらこそよろしくね、村雨さん。確かに私たちは友人関係だけど、ただの友人じゃないの。私と明は親友だよ」


 さっきのホームルームでは普通だったのに、この場では私との親友関係を強調する光だった。


「へぇ、二人はとても仲が良いんだね。おっと、わたしはそろそろ行かないといけないからお先に失礼するわ。あ、そうだ。もし、君たちが苦手そうでないのなら風音に声をかけてみて。本人も言っていたように何かあれば相談してみるといいわよ。多少、変わっているところもあるけど良い子だからさ。それに頼られると喜ぶし面倒見もいいからね」


 村雨さんはそう言うと荷物をまとめた鞄を左手に持ち、右手で私たちに軽く手を振りながら教室から出て行った。

 私たちはこれからどうするか考えようとする。とりあえず村雨さんの言ったように五十嵐さんに声をかけてみるかを光と相談しようとしたところ、その五十嵐さんの方を向いた時、五十嵐さんも何故か私の方を見ていたらしく彼女と思い切り目が合った。

 私と目が合った五十嵐さんはとても嬉しそうな表情でこちらへと近づいてくる。


「あら、あなたは確か山田さんでもう一人のあなたが星野さんでしたわよね。わたくしの名前は先程のホームルームで覚えていただけたかとは思いますが、わたくしのことを知ってもらうにはまだまだ話足りなかったのですわ。それより先程のお二人の自己紹介なのですが、あれだけではお二人の名前しかわからないではないですか。他の方々は中等部の頃から知っているので構わないのですが、わたくしは新しく入ってきたお二人のことをもっと知りたいのです。あと自己紹介の最後で噛んで恥ずかしそうにしていた山田さんは可愛かったですわ。はっ!? もしかしてあのように目立つことで可愛さを印象付けていたというのでしょうか」


 噛んだことは誰にも触れられることがなかったので、このまま流そうと思っていたのにまさかこの場で五十嵐さんに触れられるとは思わなかった。すごい勢いで話し続けていた五十嵐さんは一息つくと、私の顔を見つめながら覗き込むように彼女の顔を近づけてきた。

 彼女の赤い瞳と再び目が合う。近くで見る五十嵐さんのサラサラとした長い銀髪と顔は同性でも見惚れそうになるくらいにきれいだった。そして彼女が近づいてきたことでとてもいい香りがした。

 ……なんだろう。私はこの香りを知っている気がする。どこかで嗅いだことがあるのだろうが思い出せない。でもすごく懐かしいような感じだ。

 私がその場で固まっていると目が合ったままの五十嵐さんは首を少し傾げる。一瞬、考え込むような表情をしたように見えたが五十嵐さんは話を続けた。


「……そう言えば先程、綾がわたくしの名前を出していませんでしたか? 何やら綾に呼ばれたような気がしてそちらを見ていたのですが……そうしたら山田さんと目が合ったのでこうしてお話をさせていただきに来たのですわ。あ、いえ……確かに今回はそれがきっかけではありましたが、お二人とは直接お話をしてみたかったのです」


 五十嵐さんは少し顔を赤らめ、身振り手振りしながら話す姿はとても可愛らしかった。


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