入学
「いったーい……いやー、あの距離から回避をするとはなかなかやるね」
美咲さんは額を摩りながら地面から起き上がる。
「思い切り抱きしめたいところだけど今回は諦めるかー。とりあえず明ちゃんたちの受付を済ませちゃおう」
美咲さんは残念そうな表情をしながら受付へと戻っていったので、高等部へと入学になる私たちは受付を済ませる。
「さて受付を済ませたことだし、これで桜海学園への入学おめでとう。これから君たちにとって良い学園生活となればいいねー。それじゃあ学園のホールで入学式が始まるからそこに行ってね」
美咲さんは桜海学園の学園案内を取り出し、それと座席番号の書かれた番号札を渡してくれた。受付を終えた私たちは入学式が行われる学園のホールへと向かうために移動する。
学園は中等部と高等部の各クラスの普通教室は校舎が分かれていて、二つの校舎の間に食堂や職員室と理科室や音楽室といった各教科で使うための特別教室がある中央校舎がある。今日の入学式が行われる学園のホールはこの中央校舎の最上階である四階にある。
中央校舎へと入り、学園ホールの前に着いた私たちはホールの入り口にあった座席表でそれぞれの番号で自分の座席の位置を確認する。
川瀬くんと光の座席の番号を見ると、どうやら名前による五十音順で決められているようだった。私の名前は『や』から始まるので順番的に後ろの方らしく、私と席が離れることになった光はすごく不満そうにしていた。
座席の位置を確認した私たちは学園ホールの中へと入り、自分の番号札に書かれた席の場所へとそれぞれ移動する。私が座ることになる席へと行くと、その隣には既に本を読んでいる一人の女の子が座っていた。その女の子は眼鏡をかけていて、やや赤みがかった長い髪の一部を右側でサイドアップにしていた。私は席に座るとその女の子に挨拶をするために話しかける。
「初めまして、今年からこの学園に入学する山田明です。これからよろしくお願いしますね」
私が話しかけるとその女の子はこちらを見ると本を閉じて微笑んでくれた。
「こちらこそ初めまして、わたしは村雨綾。中等部からこの高等部への進学組よ。よろしくね」
私は村雨さんとそのまま入学式が始まるまでいろいろなことを話した。
……その間、どこかからすごい視線を感じるような気がするがきっと気のせいだろう。
入学式はまず学園長の挨拶から始まった。学園長は白髪の混じった短髪の顎に髭を生やした目つきの鋭い男の人だ。見た目はやや怖そうな感じがしたが、挨拶での話す雰囲気はすごく落ち着いた印象だった。
学園長の挨拶が終わると、次は生徒会長からの挨拶が行われる。生徒会長は身長が低いようでエリーちゃんと同じくらいに見える亜麻色の長い髪をした女の子だった。
生徒会長の挨拶も終わるとホールでの入学式は終わり、私は光と川瀬くんと合流をする。その後はホールから出て高等部の校舎にて各クラス分けと担任となる先生が発表される。
私は自分の名前がどこにあるのかを確認するとA組のところにあった。私がこれからこの学園で過ごすことになるクラスはA組のようで、担任の先生は水神沙良という名前らしい。自分以外の名前を見てみると、さっき知りあった村雨さんと光の名前があったので同じクラスになれたようだが、川瀬くんの名前はB組にあったので残念ながら別のクラスになってしまったようだ。
それぞれの教室に入り自分の座席を確認すると、最初はやはり名前による五十音順での並び方になっていた。またしても私と少し席が離れることになった光は不満そうにしていたが、同じクラスになれたことにはすごく喜んでいた。もし、これでクラスまで離れていたらどうなっていたのだろう。
とりあえず光と同じクラスになれたことをお互いに喜び合っていると、チャイムが鳴り響くと同時に教室の扉が開き、一人のスーツ姿の若い女性が中に入ってきた。その女性は髪はセミロングほどの長さで背が高く、いかにも真面目で厳しそうな雰囲気のする人だった。恐らくこの人が担任の先生なのだろう。
「はい、全員席に着くように。これからこのクラスで初めてのホームルームを行いますが、その前にまずは私から自己紹介をします。私はこれからこのクラスの皆さんの担任となる水神沙良です。よろしくお願いしますね」
水神先生は教室の黒板に自分の名前を書きながら自己紹介をする。
「それでは早速だが座席の順番で皆さんの自己紹介をしてもらいましょう」
水神先生がそう言うと順番に自己紹介が始まった。




