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魔法少女と進める世界征服  作者: 北斗拳士郎
二章 秘密結社 鋼鉄の心臓(アイアンハート)
53/70

明と光アフター 光編

今回は 第33部分 明と光 の光視点によるアフターストーリーです。


二章 秘密結社 鋼鉄の心臓(アイアンハート)編のネタバレを含みますのでご注意ください。





 この日、私は明ちゃんとこの町の港側まで一緒に遊びに出かけた。そして、今は彼女との夕食を済ませてから自分の家へと帰ってきた。

 少し歩き疲れた私は自分の部屋にあるベッドに倒れ込むように寝転ぶと、今日の出来事を思い出しながら仰向けの体勢になる。


「……はぁ。今日の明ちゃん、かっこよかったなぁ」


 明ちゃんは自分の秘密をさらけ出してまで私をナンパ男から助けてくれた。私のために怒ってくれた。怒った明ちゃんは私が知っていた彼女の雰囲気とは違って最初は驚いたが、私は友達が自分のために行動をしてくれたことに喜びを感じていた。そして、大事な秘密である明ちゃんの過去を教えてくれたことも嬉しかった。


 彼女に秘密があるように私にも秘密がある。それは私が魔法少女であること。秘密結社の一員であること。一方的に彼女の秘密だけを知っていることには抵抗があるので、私の秘密も話せれば良かったのだが、さすがにこのことは話すことはできない。それにこんなことを話しても誰が信じてくれるというのだろう。

 とりあえず、目的さえ達成できれば元の生活……いや、普通の生活が送れるはずだ。そうなれば秘密なんて気にせず、友達と遊んだりできるようになるのだから。


 それにしても、今日の明ちゃんはすごくかっこよかった。明ちゃんと初めて出会った時も、いざとなれば私の魔法で人形を操り、偶然通りかかった人のように見せかけてナンパ男たちを撃退するつもりだった。しかし、二度も私が出る幕はなかった。

 彼女との出会いは運命を感じる。同じ時期に引っ越してきたことや出会ったタイミング。『男女』扱いされていたことを気にしている明ちゃんには悪いけど、運命の王子様との出会いがあるとするならば、こんな感じだったのだろうか。


 そういえば、明ちゃんの計画に協力する約束をしたんだった。少なくとも現状で私が知っている明ちゃんは、普段の振る舞いに関しては普通の女の子と変わらないと思う。まぁ本人が隠しているからそう見えるだけなのかもしれないが。それでも十分に可愛いと思うんだけどなぁ。

 とりあえず、まずは外見から変わっていけば明ちゃんも自分に自信がもてるだろう。

 うーん……明ちゃん、どんな服が似合うかな。いろいろな服を着てみてほしいけど、今日の様子だと試着すらなかなかしてくれなさそうな気がする。計画をスムーズに実行するためには、ある程度のイメージは掴んでおきたいところである。


「あ、そうだ!」


 私は一つ、いいことを思いついた。こんな時に役立つのが私の魔法ではないだろうか。私の魔法は物質を別のものへ変換し、それを操作することができる。私は人形や武器に変換することが主な使い方であるが、複雑な構造をしたものでなければ大体のものは再現が可能だ。使い方次第で日常生活においてもとても便利な魔法である。

 そう。明ちゃんが恥ずかしがってなかなか試着をしてくれないのなら、私の魔法で彼女の姿をした人形を用意をすればいいのだ。それならば、少なくともイメージだけは掴めるのだから。

 そうと決まれば私は早速、人形を作るために魔法を発動する。


「――アリス!」


 私は魔法少女としての契約を交した魔獣の名前を呼ぶ。すると黒い猫のような姿をした獣を抱く、銀色の長い髪の一部を三つ編みにし、黒いリボンで結んだ白い肌をした紅い瞳の少女が姿を現す。

 獣ではなく人の姿をしていることから魔獣とは呼びにくいのだが、アリスと一緒にいる黒い猫が獣であるから一応は魔獣という分類なのだろう。


 私の魔法は魔法少女に変身した状態なら魔獣の能力を自分へと引き継がせることで、自分の魔力が続く限りは魔法を自由に扱うことができる。しかし、変身していない場合は魔獣を召喚し、魔獣自身に魔法を発動してもらわなければ魔法を使うことができない。

 一見すると変身した状態の方が便利に思えるかもしれないが、変身した状態だと微々たるものとはいえ変身魔法による魔力の消耗が常についてくる。だが、この状態なら多少の面倒さはあるものの必要な分だけの魔力消費で済むというメリットもある。


 私は変換魔法に使うための素材を取り出すと、アリスを通して変換魔法を発動する。


 まずは人形……それから明ちゃんの姿を強くイメージする。


 イメージが固まると素材となった物質は一度分解されると無数の光の粒へと姿を変える。そして、その光の粒は一点に集まりだすとやがてその形状は一体の人形へと変化する。そう、その姿は今日買った白いワンピースを着ている私の友人である明ちゃんと瓜ふたつだった。


 私は完成した人形にどんな服が似合いそうなのかを考える。いくつかの案が出ると白いワンピースのみを変換し、着せ替えてみる。

 それからいろいろな服を実際に着せてみると、私は楽しくなってしまい時間を忘れてしまっていた。フリルのついた白いブラウス、黒のコルセットスカートを着せると、髪型も普段とは少し違う明ちゃんを見てみたくなり、私がちょうど持っていた赤いリボンで彼女の髪をツーサイドアップにしてみる。


「……かわいい」


 思いの外、自分でもこのコーディネートが気に入ってしまい私は自分のスマホを取り出すとカメラで撮影をする。ちょうど撮影が終わり、撮った写真を確認しようとするとスマホから着信音が鳴り響いた。

 せっかくの楽しい時間を邪魔するのは誰かと思い私は着信画面を確認する。するとそこには私の兄である星野空(ほしのそら)の名前が表示されていた。

 兄から私に連絡があるということは基本的に鋼鉄の心臓(アイアンハート)に関する内容だろう。これを見て現実へと戻された私は軽くため息をつくと、この着信に対して応答をする。


「……こんな時間に何でしょうか。まぁわざわざ兄さんから私に連絡してくるということはなんとなく察しがつきますが」


「あぁ。お前の察しの通り、鋼鉄の心臓(アイアンハート)としての連絡だ。ブラックアルケミストを潰した例の連中だが……ついに動きを見せやがったみたいだ。急な情報ではあるが、どうやら明日の夜にブラックアルケミストの研究データをどこかの組織と取引して売り払うつもりらしい」


「……そうですか。しかし、この情報は罠である可能性はありませんか?」


「罠である可能性はもちろんあるだろうな。いや、明らかにこれは罠だろう。だが、流れてきた情報では確かに本物のブラックアルケミストの研究データの一部だと考えられるものだった。この研究データが本物である以上、どちらにせよ俺たちはこれを手に入れなければならない。取引される相手次第では現状よりも厄介な組織に渡る可能性もあるからな。そして、お袋の体調もこれから先どうなるかわからん……時間に余裕もない以上、研究データを手に入れるしかないのだからな……」


「……確かにその通りですね。わかりました。明日の夜の作戦などは考えてあるのですか?」


「奴らはブラックアルケミストをぶっ潰すような連中だ。悔しいがブラックアルケミストの強化兵より劣る我らの機械兵では奇襲したところで意味はないだろう……なので最初から俺たちで相手の主力と戦う。うまく倒せればそれでいいが、最悪の場合は消耗させたところに機械兵を投入して研究データを奪う。だが、お前がこの前に言っていた相手にも魔法少女がいる可能性についても考えねばならん」


「……いるなら恐らく電気に関する魔法を使う魔法少女でしょうね。もし、本当に魔法少女がいるなら私がなるべくお相手をしますが、万が一兄さんが相手をしなければならない状況も考えて私が対魔法用の盾を変換魔法で作っておきますので、デウス・エクス・マキナに装備させておいてください。相手の実力次第ではありますが、ある程度の魔法は防げるでしょう」


「あぁ、それは助かる。とりあえず作戦は明日に決行する。それじゃあな」


 兄さんはそう言うと一方的に通話を終える。

 電話をする前は明ちゃん人形の着せ替えで楽しい時間を過ごしていたが、今となればそれを再開する気にはなれなかった。私は気持ちを切り替え、明日の夜に始まる作戦のための準備をする。


 それから準備を終えた私は眠りにつこうとする。明日の戦いはきっと私達にとって厳しい戦いになるだろう。組織として不老不死をもって世界を相手に征服しようとしていたブラックアルケミストと違い、私たち鋼鉄の心臓(アイアンハート)は兵器を売ってお金を稼ぐことを目的としている。つまり戦うことに関しての意識はそこまで高いわけではない。実際、鋼鉄の心臓(アイアンハート)の機械兵は兄さんの言うとおり、ブラックアルケミストの強化兵を相手にした場合、勝率はかなり低いものだった。私自身が戦えばそうそう負けることはないのだが、ブラックアルケミストを壊滅させるような組織を相手に無事で済む可能性も低い。

 私はそう考えると、とてつもない不安が襲ってきた。正直に言うと怖かった。


「……明ちゃん、明日の夜は私どうなっちゃうのかな。最悪の場合、約束守れなくなっちゃうよね」


 震えながら私は明ちゃんの人形を抱きしめた。星野光(ほしのひかり)としての普段の日常生活なら明ちゃんが助けてくれる。でも、魔法少女として戦う私を助けてくれるものは誰もいない。不安な気持ちが溢れだし、私はいつの間にか涙を流していた。


「……本物の明ちゃんには守って欲しいなんて言えないけど、せめて人形の明ちゃんには守ってもらってもいいよね」


 私はそのまま泣き疲れ、いつの間にか眠りに落ちていった。



 その翌日。私は鋼鉄の心臓(アイアンハート)の魔法少女として、戦う決意をすると作戦を開始するために自分の部屋を後にした。私たちの目的のため、そして友達との約束を守るため、無事にこの部屋に再び戻ってくることを願いながら……

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