表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女と進める世界征服  作者: 北斗拳士郎
二章 秘密結社 鋼鉄の心臓(アイアンハート)
52/70

眠れる獅子の世界征服活動 後編

 翌日、眠れる獅子の世界征服活動会議ということで、エリーちゃんからそれぞれのメンバーに招集がかかった。


 私はドクターの部屋からエレベーターを起動させ、地下にあるアジトの作戦会議室に入るとそこには既に何人かのメンバーが席に着いていた。集まっていたのはエリーちゃん、光とお兄さん、そしてドクターとアプリコットだった。

 私は光の隣の席が空いていたのでそこに座る。すると今回の招集をかけたエリーちゃんが話を始める。


「お姉さんが来たようなので、とりあえず今回の作戦会議はこれで全員集まりましたね。総統、マスター、銀河博士は用事があって今回の作戦会議には参加できないとのことですので、このメンバーでお話を進めていきたいと思うのです」


 エリーちゃんは席から立ち上がると、作戦会議で使用しているホワイトボードに文字を書きながら話を続ける。


「それでは早速なのですが、新しいメンバーもいるので改めて説明をさせてもらうのです。我々、眠れる獅子は世界征服をしつつ世界を平和にすることが目的なのです。敵対する組織や、世界の平和を脅かすような組織と戦って無力化することも時にはありますが、それ以外は平和的な征服活動を行っているのです」


「質問してもいいか?」


 エリーちゃんの説明の途中で光のお兄さんが挙手をする。それに対し、エリーちゃんはどうぞと言うと光のお兄さんの発言を待つ。


「世界を征服するのに平和的とかあるのか? 征服するだけなら他の組織のように武力行使するのが手っ取り早いだろう」


「我々は世界の平和を目的としているのにそれを脅かすようなことをしては元も子もないのです。それに征服される側からすれば、いきなりわけのわからない奴らに無理矢理征服されれば不信感や反発を招きます。しかし、平和的な活動で徐々に征服していけば、いざ征服活動が完了しても征服される側から余計な反発などは出にくいと考えられるのです」


「……そうか。それも確かに一理あるかもしれんな。俺としても余計な争いはない方がいい」


 エリーちゃんの説明を聞くと、光のお兄さんは納得したようだ。


「それではここから本題とするのです。今回の平和的征服活動なのですが、繁華街で魔法少女ショーを行います」


『……え?』


 エリーちゃんの発言に集まったメンバーは一同に声を揃えて驚く。あのドクターでさえも驚きの声をあげる。


「……すまない。もう一度質問してもいいか?」


 少しの沈黙のあと、光のお兄さんは再び質問をしようと挙手をする。それに対して、エリーちゃんも再びどうぞと言うと光のお兄さんの発言を待つ。


「まず、魔法少女ショーと聞こえたんだが……なぜ征服活動が魔法少女ショーなんだ?」


「ふふふ。お兄さん、いい質問なのですよ。魔法少女はアニメのジャンルとしても人気のあるコンテンツだと思います。そして、我が結社には珍しいことに魔法少女が二人もいるのです。このことをうまく利用してファンを獲得し、将来的にファンの皆様には我が結社の支持者となってもらうことで、その後の征服活動が円滑に行えるであろうという計画なのです。時間は多少かかるかもしれないのですが、確実に征服することができるはずなのですよ」


「そ、そうなのか……言われてみれば確かに有効な作戦のように感じるな……」


 エリーちゃんの返答に光のお兄さんは困惑気味に反応をする。もちろん、突然の魔法少女ショーをすることになる私たちも理解が追いつかず困惑していた。


「では、魔法少女ショーを行うにあたり配役を決めたいわけなのですが……魔法少女のお二人にはもちろん魔法少女役をやっていただきます。悪の戦闘員は人形使いのお姉さんの魔法で人形を作成と操作をしてもらいましょう。そして、ドクターとお兄さんには悪の幹部役をやっていただきたく思います」


「あらあら。なんでアタシが悪役なんてしないといけないのよん。それに魔法少女ショーって客層は女の子を対象にしているわけでしょう? アタシにはメリットもないし、お断りするわ」


 ドクターは征服活動への参加を断ると席から立ち上がろうとした。


「ふふふ。ドクター、甘いのですよ。昨今の魔法少女人気は女の子だけではなく、成人にも及び、男女関係なく幅広い人気となっているのです。それを踏まえてドクターに一つ提案があります」


 エリーちゃんは立ち去ろうとするドクターに悪役を引受させるために何かを提案するようだ。


「……あら。何かしら?」


「魔法少女ショーだけではなく、特撮ヒーローショーでも悪役は観客の中から人質役を選ぶのが定番の流れとなるのです。そこで

ドクターが悪役をやってくれるのであれば、ドクター好みのイケメンを人質役にしていいのですよ。普通なら子供が選ばれるところなのでしょうが、それはもう一人の悪役であるお兄さんにお任せすればいいのです」


「あらあら。そういうことなら協力してもいいわよん。どんなアタシ好みのイケメンと出会えるかしら。今から楽しみだわん」


「……ちょろいのです」


 一人で盛り上がっているドクターには聞こえないような小声でエリーちゃんがこう言ったのを私は聞いてしまった。


「うふ。そういえば、山田ちゃんたちは魔法少女としての名前がなかったわよね。この際だけれど、以前にアタシが言ったマジカル♡ヤマダでどうかしらん?」


「……それはお断りします」


「うふふ。名前で思ったのだけれど、山田ちゃんの山の読み方を『さん』に変えるとサンダーみたいになるわよねん。雷魔法との相性もすごくいいみたいだし、何か関係があったりするのかしら?」


「それはさすがに偶然……というか強引すぎるのでは。まぁ名前はもう普通に自分の名前だけでいい気がする」


「とりあえず、これより魔法少女ショーで征服作戦を開始するのです。場所は繁華街のイベントスペースを使いましょう。台本などは既に用意済みなので各自、目を通しておいてください。それでは今回の会議は解散なのです」


 この時は魔法少女ショーをすることになるという、あまりにも予想外な内容だったことにより勢いで押されてしまった。今から思えばツッコミどころの多い征服活動会議であったが、この日はこうして終えたのでした。



 ‐‐そして、その数日後。


 私たちは眠れる獅子の世界征服活動として魔法少女ショーをするために繁華街にあるイベントスペースへと来ていた。


 今回の作戦は初めてのお披露目イベントということで本格的な活動ではなく、簡単な内容となっている。その内容は光のお兄さんとドクターを幹部として、光の物質変換魔法で作り出した戦闘員の姿をした人形たちが悪役となって観客の中から人質を選ぶというもの。そして、その人質を助けるために魔法少女へと変身した私と光が悪役を倒す流れとなる。

 簡単な内容というだけあって、今回は派手な仕掛けやアクションはなく、ただ単に悪役を倒すだけだ。なので今回の魔法少女ショーは特に問題もなく終わるはずであった。しかし、我々は一つ忘れていた。予定通りに動くはずのない人物が一人いることに。


 魔法少女ショーが始まると、光のお兄さんは予定通りに女の子とそのお母さんを人質役として選ぶ。光のお兄さんはドクターが執着するだけあって確かにイケメンだ。なので今回の魔法少女ショーを見に来てくれた若い奥様方から注目を浴びていた。観客の人数は少ないものの、ファンの獲得といったエリーちゃんの計画はここまでは順調に進んでいるように思えた。

 しかし、この後からが問題だった。続いてドクターが人質役を選ぶため、観客として来ていた成人男性の中から自分好みのイケメンを探す。ドクターも見た目だけならかなりいい。そう、見た目だけは。ドクターもまた、その見た目から女性客から注目を浴びていた。この点に関してはファンの獲得へと繋がるだろう。


「うふふ。あなた、なかなかのイケメンじゃないのん。決めたわ。アタシはあなたを人質にするわねん」


 ドクターは自分好みの人質役を見つけると、抱きつくようにして拘束する。

 悪役である二人が人質役を決めたことにより、私と光は魔法少女ショーのメインとなる悪役との戦闘アクションのために表に出ようとする。

 

 それは私と光が表に出た瞬間のことだった。ドクターは抱きしめた人質役にキスをしていたのだ。この光景を目撃したイベントスペース内の観客だけでなく、私たち自身もこの場の空気が凍りつくのを感じた。


「……え? なんでこんなことになっちゃったの!?」


 私と光は予定外のドクターの行動により、理解が追いつかず、二人してその光景を呆然と眺めることしか出来なかった。しかし光よりも先に我にかえった私は、この状況から元の魔法少女ショーの台本通りの展開へと戻すため、身体強化魔法を全力で発動させると、ドクター目掛けて飛び蹴りを放った。その蹴りは見事にドクターの脇腹に命中すると、彼は衝撃から羽交い締めにしていた人質から手を離し、ぶっ飛んでいった。そしてイベントスペースの壁に激突すると、どうやら気絶でもしたのか大人しくなる。

 これを見ていた光も我にかえると、物質変換魔法で作られた大きな猫の手をモチーフにしたようなハンマーで彼女のお兄さんをフルスイングでぶっ飛ばした。光のお兄さんもまた壁に激突し、ドクターと同様に気絶し動かなくなった。


 悪役の二人を倒し、人質を解放することで強引にショーを終える。しかし、あまりの急展開が続いたことにより、人質役だけでなく観客も理解が追いつかずその場にただ立ち尽くしていた。関係者の私たちですらこうなるとは思わなかったので当然の反応だろう。

 私と光は気絶しているお兄さんを回収し、この最悪な魔法少女ショーとなった全ての原因であるドクターだけをこの場に放置して、足早にイベントスペースから去った。




 それから逃げ帰るように私たちは眠れる獅子の地下アジトにある作戦会議室へと戻ってきていた。


「……まさかドクターがあのような行動に出るのは予想外だったのです。中身はアレですが、見た目だけはいいのと多少激しい攻撃をしても問題はないだろうということで、悪役にはちょうど良さそうだったのですけどね」


 ドクターに関しては、以前に山小屋で光のお兄さんと二人きりの時にキスをしていたのは目撃してしまっていたわけだが、この時はあくまで部屋で二人きりでのことだったので、私もさすがにこんな多くの人目がある場所で堂々とキスをするとは思わなかった。


「……ドクターに出演させたことは反省するのです。とりあえず、今回のことは忘れましょう」


 エリーちゃんは失敗に対する反省はしっかりとしつつ、今回のことは早々に忘れてしまいたいらしい。それについては私も同じ気持ちである。


 こうして今回の魔法少女ショーで征服作戦はドクターの暴走により失敗となり、私たちはそれぞれの家へと帰ってこの日は終わりとなったのでした。




 そして後日、このドクターの行動がSNS上で一部の人々の間で話題となり、本来とは違う意味でのファン獲得に成功したのはまた別のお話。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ