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魔法少女と進める世界征服  作者: 北斗拳士郎
二章 秘密結社 鋼鉄の心臓(アイアンハート)
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鋼鉄の心臓(アイアンハート)

「何から話すべきかな……まずは鋼鉄の心臓(アイアンハート)について……から話すね。鋼鉄の心臓(アイアンハート)のボスの名前は星野銀河(ほしのぎんが)。名前でわかっちゃうと思うけど私達のお父さんだよ」


 鋼鉄の心臓(アイアンハート)は光ちゃんのお父さんをボスとしていて、光ちゃんやお兄さんが機械兵たちを使っての作戦指揮を行ったりする家族で作られた組織らしい。


「家族で構成された組織だということは……もしかして組織としての目的はみんな同じってことなのかな?」


「……うん。鋼鉄の心臓(アイアンハート)の目的は星野海(ほしのうみ)。お母さんを助けるための組織だよ」


 光ちゃんは鋼鉄の心臓(アイアンハート)の目的を詳しく話してくれた。

 彼女のお母さんである海さんは身体が弱いらしく光ちゃんが幼い頃から入退院を繰り返していた。そしてある時、海さんの容態が急変しずっと入院し続けているらしい。


「お母さんね、特に心臓が弱くて移植手術が必要なの。だけどドナーがずっと見つからなくて手術が出来なかった。そこでお父さんは考えたの。それならお母さんに合う心臓を作ればいいと。まだこの時は鋼鉄の心臓(アイアンハート)としては活動はしていなかったけど、これが後に鋼鉄の心臓(アイアンハート)の組織名の由来と私たちの目的になったんだよ」


 光ちゃんのお父さんは元々機械工学に秀でた人物で、多くの生活に役立ちそうな機械の発明をしたり大学や企業で講義を行ったりしていたことを教えてくれた。


「でもね、機械で作られた人工の心臓ではお母さんの身体には合わないことがわかった。諦めきれないお父さんはその後も研究と開発を続けたの。だけど研究を続けるにはどうしてもお金が必要だった」


 最初は今まで発明してきた機械で資金は調達は出来ていた。しかし次第に研究が行き詰まり、光ちゃんのお父さんは限界を感じ始めていた。

 そんなある時、光ちゃんのお父さんの機械に関する知識や技術の噂を聞いた二つの組織が接触してくる。

 その内の一つが鋼鉄の心臓(アイアンハート)と協力関係にあったブラックアルケミストだった。医学などに優れたブラックアルケミストは、彼らの目的である不老不死の研究に必要な機械を提供すればその見返りとして、光ちゃんのお母さんに研究の成果による治療をすることでの協力関係を求めてきたのだった。


「私たちがブラックアルケミストの研究成果を欲しがっていたのは、お母さんの治療に使えそうなまだ手に入れていない情報があるかもしれないから。でもまさか、ブラックアルケミストを倒した組織に明ちゃんがいるなんて思わなかったな」


「私が入ったのは最近だから……ブラックアルケミストと戦った頃にはまだ入ってないよ」


 私がそう言うと、光ちゃんはそうだったんだと言いながら苦笑いをすると再び話を続けた。


 ブラックアルケミストとは違う、鋼鉄の心臓(アイアンハート)に接触してきたもう一つの組織が主に武器や兵器を取り扱い、争いを利用しお金を稼ぐ武器商人たちによって作られた組織だった。

 その組織は新たに強力な兵器の開発を機械に優れた光ちゃんのお父さんに高額で依頼を持ちかけてきたようだ。


「この頃からお父さんは変わっていった……組織としての鋼鉄の心臓(アイアンハート)が明確に活動を始めたのも、兵器開発の依頼を受けたことから始まったの。もう気付いていると思うけど、戦う前に私が言っていた、鋼鉄の心臓(アイアンハート)が争いを利用してでもお金を稼ぐ理由……それは兵器開発で得たお金でブラックアルケミストの研究に必要な機械を作り続けるためだよ。鋼鉄の心臓(アイアンハート)の機械だけではお母さんを救えない……でも、お互いの利害が一致していれば他の組織と協力することで希望が見えたの……それが鋼鉄の心臓(アイアンハート)が活動する目的だった」


「……うん、光ちゃんが鋼鉄の心臓(アイアンハート)で活動していた理由と目的はわかったよ。自分のお母さんを助けるためだったんだね……」


「だけどそれもここまで……かな。ブラックアルケミストは倒され、私たちも負けて鋼鉄の心臓(アイアンハート)はもうお終い。明ちゃんと仲良くなれて嬉しかったけど、私の正体を知って幻滅したよね……お母さんも助けることが出来なかったし……私、もうどうしたらいいかわからないよ……」


 光ちゃんは話しながら涙を流す。今までお母さんのことや、鋼鉄の心臓(アイアンハート)のことで大変な思いをしてきたのだろう。彼女は私に話しをすることで少しずつ、今の状況を自分なりに受け入れようとしているのかもしれない。


「驚きはしたけど……幻滅は別にしないよ。私は今の話を聞いても、光ちゃんのことを大事な友達だと思ってる」


 私は光ちゃんにそう言いながら、泣いている彼女を前回のようにならないよう、力加減に気を付けながら優しく抱きしめた。

 すると彼女は完全に感情を抑えられなくなったのか、私の胸の中で思い切り泣き出した。


 それから少し時間が経ち、光ちゃんは思い切り泣くことで落ち着いたのか彼女は泣きやんだ。


「明ちゃん、ありがとう。一度泣いたらちょっとスッキリできたよ。お母さんのことは振り出しに戻っちゃうけど、別の方法を考えてみるよ」


「うん、それならよかった。あのさ、光ちゃんのお母さんのことなんだけど……一度ドクターに相談してみない? ブラックアルケミストの研究データを持っているっていうのもあるけど、あの人の知識や技術は頼りになると思う」


「ドクターってさっきの人だよね。でも協力してくれるかな?」


 ドクターの知識や技術は確かに頼りになるとは思う……しかしあの人の性格上、自分にメリットがない限りそう簡単には協力してくれない気はする。

 ドクターの協力を得るには彼の喜びそうなことで交渉をしなければいけない……それを考えた私は一つの案を思いつく。


「私たちがただ頼むだけなら多分だけど、すぐには協力はしてくれないかもしれない。でもドクターのお気に入りである光ちゃんのお兄さんの頼みなら聞いてくれる可能性はあるかも」


 ドクターは自分好みのイケメンにはきっと弱い。ただ光ちゃんのお兄さんには悪い取引になる可能性があるかもしれないが。

 とりあえず私たちはドクターに相談をしてみることにする。


 こうして光ちゃんと今後について決めた次の瞬間、ドクターのいた部屋から突然、悲鳴のような叫び声が聞こえた。


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