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魔法少女と進める世界征服  作者: 北斗拳士郎
二章 秘密結社 鋼鉄の心臓(アイアンハート)
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雷光の魔法少女

 光ちゃんの暴走した魔力は一度収まったかのように見えたが、再び溢れ出そうとしていた。しかしその魔力は先程とは違い、ただ溢れだすだけではなく光ちゃんと変身する前の普段の私の姿をした人形を中心にして魔力が竜巻のように荒れ狂いながら人形へと流れ込んでいく。


 近づくだけでも魔力同士のぶつかり合いになるだろうというこの状況で、光ちゃんを気絶させるのはこちらも加減が出来る余裕があるとは思えない。もしかしたら光ちゃんを傷つけることになってしまうかもしれない。


 暴走を止めるために光ちゃんをなるべく傷つけず気絶させる方法を考えていると、やがて人形に流れ込んでいた竜巻のような魔力は全てその人形の中へと入っていった。

 嵐が過ぎ去った後を思わせるような急激な静けさを思わせたが、光ちゃんの様子は変わらずにいた。


 静かとなった今なら光ちゃんに私の声が聞こえるかもしれない。

 もしも私の声が聞こえれば暴走を止められるかもしれない。

 止めることが出来なくとも何らかの反応は得られるかもしれない。


 それならば光ちゃんを傷つけないで済む可能性があるのだから。


「お願い光ちゃん! 私の話を聞いて!」


 暴走する光ちゃんに大声で呼びかけるが、反応をしている様子はなく、私の声が聞こえているのかいないのかすらもわからない。

 不気味さを感じるこの静けさの中、暴走状態のままの光ちゃんにこちらから積極的に動くのはどんなことになるのかわからないから正直怖かった。

 くそ……もう少し暴走状態についてドクターに聞いておけば良かった。通信魔法も使うには自分の魔力を消費する。今はどんな状況になるか予想も出来ないから少しでも魔力は無駄にはしたくない。完全に自分の力だけではどうしようもなくなるまでは一人で何とかしないといけない。

 とりあえず、何らかの反応を確認するために私はもう一度声をかけようとする。様子を見ながらさっき声をかけた場所より少しずつ近づこうと距離を詰める。


「来ないで! 来ないで来ないで来ないでっ! お願い明ちゃん私を守って!」


 近づく私を拒絶するように光ちゃんは普段の私の姿をした人形に泣き叫ぶようにしがみつく。その様子はどうやら暴走状態となったことで私と人形の区別がついていないようだった。

 光ちゃんの守れと言う命令に人形は反応をする。暴走し流れ込んだ魔力が人形から放出される。そしてその人形は私を見据えるように身構える。

 私もまた人形の動きを警戒するために身構えた次の瞬間、人形は私目掛けて一直線に飛びかかる!

 その動きは幼い少女の人形よりも速く、私の頭上から鋭い角度で飛び蹴りで襲いかかる。


「速い!?」


 私は身体強化魔法を使い回避行動を取る。私に攻撃を躱され地面に穴を開けるも人形は休む間もなく、更に追撃をするために低い姿勢からアッパーで殴りかかってくる。

 その攻撃もまた鋭く、回避した態勢では再び回避することが出来そうに無かった。私は大鎌の柄で咄嗟に防御する。しかしその防御をすることによって生じた衝撃は長い髪の少女の人形よりも重い一撃だった。手が痺れるような感覚とともに体に衝撃が伝わる。

 長い髪の少女の攻撃はまだ耐えることは可能な範囲であったが、これを何度も防ぎ続けるのは危険だ! それに先程までの戦いでの身体強化魔法で多くの魔力を消費しているこの状態では尚更だ。


「くそっ! 人形二人を同時に相手をしていた時よりキツイ! これが光ちゃんが言っていた分散していない全力の魔力ってヤツなの!」


 アッパーを防御した衝撃で私は空中へと飛ばされる。人形はこの隙を逃すまいと追いかけてくる。


 このままやられたままでいられるか!


 私は一度身体強化魔法を解除する。そして私の本来の魔法である雷魔法へと魔力を込めるイメージをする。


「地上でだったら今の私の実力じゃ当てられるか不安だったけど……空中なら回避することは出来ないよね!」


 相手が素早く動き回れるであろう地上では正直当てられる気はしなかった。しかし空中でなら話は別だ。空を飛び回れるような魔法や姿をしていたなら回避されたかもしれないが、どう見ても変身する前の私と同じただの人間の姿なら回避は出来ないはずだ。


 私は大鎌を左手に持ち替え、右手を上げると手の平に魔力を集中させる。


 ――そのイメージは槍のような雷光。


 以前ドクターと魔法少女の契約をした時、彼はこう教えてくれた。イメージだけでも魔法は使うことが出来ると。しかし魔法に詠唱や名前があるとより強いイメージや効果を引き出せると。


 ――その名前は……ケラウノス!


 ケラウノスはギリシャ神話の主神であるゼウスの使う武器の一つで、全宇宙を破壊できるほどの雷を放つらしい。

 もちろん私にそんなことを出来るほどの魔力はない。しかし今の私がこの人形に勝つためにはそれくらいの強気にならなくてはいけない!


「我が手に持ちたるは神の雷――」


 詠唱をすることでより強く魔力と雷魔法をイメージする。そして魔力は眩く輝く雷光となり私の手の平に集まりだす。


「その雷光は一筋の槍となって――」


 手の平に集まった雷光は投げ槍のような形状へと変化する。


「全てを貫け! ケラウノス!」


 私は確実に命中させられるであろうこのチャンスに全ての魔力を込め雷光の槍を放つ!

 その雷光の槍は私の姿をした人形に命中すると、空と地面を繋ぐ激しい稲妻となった。人形は激しい稲妻に貫かれ、地面に叩き落とされる。その姿はまるで地面に磔にされているようだった。


 やがて稲妻が収まると、そこには体の半身以上が壊れ、ボロボロとなった私の姿をした人形が倒れていた。

 私は人形を跡形もなくぶっ飛ばすつもりで残りの魔力を全力で使ったけど、光ちゃんの魔力による強化効果なのか完全には破壊することは出来なかった。


「魔法少女としての経験に差があるのはわかっていても少し悔しいかも。それより人形とはいえ、自分の姿をしてるものを壊すのは正直いい気分じゃないな……」


 私は壊れた人形から視線を逸らすと光ちゃんを見る。


「そ……そんな? 明ちゃん! 明ちゃん!?」


 光ちゃんは壊れた私の人形へ向かって走り出す。私は人形へ近づこうとする光ちゃんの腕を掴むとそのまま抱きしめる。


「離して! 明ちゃんが!」


「光ちゃん! 私ならここにいるよ! あれは人形なの! 本物の私をちゃんと見て!」


 私は光ちゃんを強く抱きしめたと同時に魔力を使い切った影響からか変身魔法が解除される。光ちゃんは普段の姿に戻った私を見る。


「……え? 明ちゃん?」


 どうやら変身が解けたことによって光ちゃんの様子が少し落ち着いたようだった。


「光ちゃん……やっと私のこと見てくれたんだね……あはは、よかった」


 私は安心したのか光ちゃんを抱きしめた腕につい力が入ってしまう。


「あ、明ちゃん! う、嬉しいんだけど! そ、それ以上抱きしめられると少しくるし……ぐぇ」


 私に強く抱きしめられた光ちゃんは気絶してしまった。

 ……あれ? もう気絶させる必要なさそうだったのに結果的に気絶させちゃった?

 ……とりあえず、結果的に暴走を止められたから良かったよね? うん。


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