嵐の前の平穏
私の魔法少女特訓は始まってから予定通りとなる三日後まで続いた。ドクターとマスターにみっちりと鍛えられた特訓を終えた私は疲れ果て、自分の部屋にあるベッドに倒れ込むようにして眠っていた。
翌日の朝になっても私はそのまま眠り続けていた。すると枕元に置いていたスマートフォンが突然鳴り出した。耳元で鳴り続ける音に起こされた私はスマートフォンを手に取ると寝ぼけ眼でその画面を確認した。するとそこには光ちゃんの名前が表示されていた。
私は慌ててそれを手に取ると光ちゃんからの電話に出る。
「あ、急に電話してごめんね。もしかして寝ていたのかな?」
「うん……少し疲れていて寝ちゃってたんだ。で、今ちょうど起きたところだよ」
「明ちゃんの予定が大丈夫そうなら会えたらいいなって思って連絡したんだけれど……疲れてるのなら次の機会にしたほうがいいのかな」
電話越しでもわかる程、光ちゃんの残念そうな声が聞こえてくる。確かに起きるまでは疲労感はあったが光ちゃんの声を聞くと私は何だか元気が出てきたような気がした。
「大丈夫だよ。ちゃんと寝ることは出来たから。それに私もまた光ちゃんに会いたかったんだ」
私がそう言うと光ちゃんの声が少し明るくなった。
「それなら良かった。今日は港側にあるショッピングモールに行ってみたくて連絡したの。よければ一緒に行かない?」
この町は海と山に囲まれている。私と光ちゃんが住んでいるのは山に近いエリアで、他には私たちが今後通うことになる桜海学園がある中央のエリアと港側のエリアがある。今回光ちゃんが行きたがっている港側は工業地、ショッピングモール、漁港と市場、水族館、ホテルなどといった施設があり、この町の中で最も活気のある場所となっている。
私はこの町に来てからまだ一度も港側には行ったことがなかった。一度は行ってみたいとは思っていたが、人が多そうで土地勘が全くない上に、ショッピングモールのようなオシャレな場所に今まで行くことがなかった私は一人で行くことに抵抗があった。なので光ちゃんが誘ってくれたのは私にとってもありがたいことだった。
「うん。私も一度行ってみたかったんだ。迷いそうだったりで一人で行くのは不安だったから誘ってくれて嬉しいよ」
私は光ちゃんからのお誘いを受けることを伝え、この後に繁華街にある駅前で待ち合わせをする約束をするとベッドから起き上がり、外出するための準備を始めた。
そして準備を終えた私は自分の部屋から出ると、アパートの駐輪場から自転車に乗って光ちゃんと待ち合わせをした繁華街の駅へと向かった。




