探偵はバーにいるものだろう
「とりあえず山田さんの件についてはわかった。じゃが鋼鉄の心臓に関する問題は幹部と思われる二人以外にもある。奴らのアジトやボスの所在とかじゃな。幹部だけを倒せてもボスが存在している限り、鋼鉄の心臓はまた復活してくるだろう」
鋼鉄の心臓との戦いに備えての作戦会議をしているが確かに現状では直接こちらに戦闘を仕掛けてきた二人のことしか話していなかった。鋼鉄の心臓の目的を止めるためには総統の言う通りアジトやボスまで無力化しなければならない。
「それについては情報収集役の俺から話そう!」
普段の様子を見ていると情報収集担当だと言うことを忘れそうになるマスターが話を続ける。
「鋼鉄の心臓は以前に俺達が倒したブラックアルケミストとどうやら繋がりがあったようなんだ! 鋼鉄の心臓のことを調べながらだが、ブラックアルケミストの残党がまだ何かを企んでいるという噂もあってな! そのことを個人的に調べていたのもあって今回は色々と関係性を知ることが出来たというわけだ!」
「ブラックアルケミスト……ですか?」
マスターの話を聞いていると初めて聞く言葉が出てきた。『ブラックアルケミスト』とは何だろうか。話の内容から恐らくは別の組織名のようだ。
「ああ、すまない! そういえば山田さんにはまだブラックアルケミストについては話していなかったな!」
マスターは私が眠れる獅子のメンバーとなる前に敵対したブラックアルケミストのこととマスターの過去を簡単にだが話してくれた。
秘密結社ブラックアルケミストとは主に科学、特に医学や薬学と生物学に優れ、肉体を強化された改造人間や動物の遺伝子操作などによって生み出した怪人を戦闘員として構成された組織。
ブラックアルケミストの目的は不老不死の研究とそれによる永久的な世界の支配を企んでいた。
マスターは現在ではカフェを経営しているが、当時はブラックアルケミストを追っていた探偵だったらしい。
ブラックアルケミストは表の顔は病院として活動していた。この病院では入院者が突如行方不明になったり、見慣れない怪しい団体が大きな機械を運び込んだりしていると言った情報が出回っていて、その行方不明者の中にマスターの関係者がいたことが探偵としてブラックアルケミストを追うことになった理由だそうだ。
「ブラックアルケミストについて簡単に説明するならこんな感じだ! 詳しい話をすると長くなってしまうから今回はこれくらいにさせてくれ!」
「はい。何となくはわかりました。それにしてもマスターが情報収集役をしていたのは元探偵だったからなのですね。でもカフェやバーの経営をしながらでは情報収集も大変そうですね」
「ははは! 確かに大変だが探偵はバーにいるものだろう!」
「……それはどちらかと言うとお客さん側なのでは?」
私は笑っているマスターにツッコミを入れた。




