エリーちゃんの作戦
「うふふ。アタシも平和な世界は好きよん。世界は愛で満たされるべきだもの。まぁみんなの気持ちを再確認出来たところで話を進めましょうねん。今回こちらに戦闘を仕掛けてきたのはこのアタシ好みのイケメン幹部と人形使いの魔法少女の二人。この二人は確実に戦うことになると思うわ」
「はい。なのでこの二人に関しては私に考えがあるのです」
ドクターの発言に続き参謀のエリーちゃんが立ち上がり、作戦会議室のホワイトボードに何かを書きながら話を始めた。
「まずはドクターのお気に入りである幹部のお兄さんは見たところ武闘派のようでしたので、マスターにお相手してもらおうかと思っていたのですが……ドクターが余りにもしつこくイケメンは自分のものにしたいと言うことなので、私としてはとても不本意ではあるのですがここはドクターにお任せしようかと思うのです」
「うふ。イケメンの相手は誰にも譲るつもりはないわよん」
ドクターの鋼鉄の心臓のイケメン幹部への執着は、碌でもない理由を知らなければ自分が作ったアプリコットを壊されたことに対しての報復の様に見える。その気持ちももちろんあるのだろうけれど、それ以上にイケメン幹部を捕まえ自分のものにしたいらしい。
「とりあえず、イケメンのお兄さんとドクターのことはこの際はどうでもいいのです」
エリーちゃんは特に気にしていない様子でドクターの話をバッサリと切りながら話を続けた。
「問題なのは人形使いの魔法少女さんなのです。恐らくではありますが、戦闘になれば幹部のお兄さんより手強いかと思われるのです。本当なら魔法には魔法でドクターに対応してもらいたかったのですが……この様子なのですみませんが、魔法少女には魔法少女と言うことで人形使いの魔法少女はお姉さんに対応してもらおうかと考えているのです」
エリーちゃんがそう言うと、私よりも先に総統が反応した。
「少し待つのじゃエリー! 山田さんは喧嘩は強いようじゃが魔法少女としての実戦経験はまだないのじゃぞ!」
確かに私は『男女』と呼ばれるようになるくらい喧嘩ばかりしてきたので物理的な戦いだけならば対応は出来るのかもしれない。しかし魔法少女としての戦いとなれば別の問題だ。私は総統の言う通り魔法少女になって日が浅い。対して相手となる人形使いの魔法少女はアプリコットの映像を見るに自分の魔法を使いこなしている。魔法を使いながら戦うことになればこちらが圧倒的に不利となるのは火を見るよりも明らかだった。
「それについては考えがあるのです。実際に鋼鉄の心臓と戦闘になるまでには少し時間があるので、その間に物理的な戦闘はマスターに。魔法による戦闘はドクターにお姉さんを特訓してもらうのです」
「えっ!?」
マスターは色々と必要なら協力してくれそうな気はするが、今のドクターはイケメン幹部のことしか考えていなさそうだったので魔法の特訓をしてくれることに私は少し意外に感じた。
「うふふ。本来はアタシ好みの男以外に特訓なんてするつもりなんてないわよん……でもイケメンとのお楽しみタイムを人形使いの魔法少女に邪魔させるわけにはいかないから山田ちゃんには頑張ってもらわないといけないのよ。だから仕方なくだけれど、山田ちゃんを利用……協力してあげるわねん」
「今、利用って言いましたよね?」
やはりドクターはイケメン幹部のことが最優先のようで堂々と私を利用して邪魔されない状況を作りたいらしい。
「ははは! ドクターから山田さんの蹴りは強烈だったと聞いていたから一度手合わせをしてみたいと思っていたんだ! まぁ格闘面はそれ程特訓することはないかもしれないがよろしく頼む!」
「はい。ドクターは相変わらずですが……マスター、特訓よろしくお願いしますね!」
マスターとドクターによる私の魔法少女としての特訓が決まり、エリーちゃんのイケメン幹部と人形使いの魔法少女への対抗策の話はこれで一度終わった。




