観察エリーちゃん
「えっ!? エリーちゃんいつからそこに!?」
「お姉さんとドクターがこの部屋に来る前からいたのですよ」
「全然気付かなかった……って、お姉さん!」
今まで誰かに『お姉さん』と呼んでもらえたことが無かった私は『お姉さん』と呼ばれたことがとても嬉しかった。
「エリーちゃん! 今の『お姉さん』って私のことだよね!?」
「え? あ……はい、そうなのです」
今まで落ち着いた様子しか見ることのなかったエリーちゃんが明らかに困り顔になっていたので、これは少し引かれたなということを私は感じた。
「えっと……部屋の隅に寄せられている机の物陰に隠れていましたので。ドクターやおじいちゃんがお姉さんを勧誘したことなのですが私は別に構わないのです。でも私自身はお姉さんのことをまだまだ知りませんので観察していたのですよ」
「確かにそうだよね。私まだエリーちゃんとあまり話せていなかったし。そう言えばここにいるのにエリーちゃんって呼んでも参謀と呼ぶように言わないのね?」
「呼び方はまぁ……今はいいのですよ。今は参謀の服を着ていない普通のエリーですので。それとメンバーのことを知るのは眠れる獅子の参謀として当然なのですから。今後の作戦などを考える為にですが、まずは杖だけではない魔法少女の能力が知りたいのでドクターが魔石を持って戻ってくるのを待つのです」
「うふふ、ただいまー。あら、今アタシの名前が聞こえた気がしたけれど何かしら?」
エリーちゃんがそう言い終わると同時にドクターが部屋の扉を開け入ってきた。
「あら。エリーちゃん。机の物陰で寝ちゃっていたみたいだったけれど起きたのねん」
「ね、寝るなんて……そんなことはないのです……」
「エリーちゃんってば魔法少女のアニメとかが大好きだから山田ちゃんが本契約するところとか興味があって見たかったのでしょうけれど、早くここに来すぎて寝ちゃってたみたいなのよ。さっき山田ちゃんに変身した姿を見せる為にスタンドミラーを運んだじゃない? その時に寝ているエリーちゃんが見えちゃったもの」
ドクターに寝ていたことをバラされたエリーちゃんの顔は恥ずかしかったのか少し赤く染まっていた。
「うぅ……ドクターはバカなのです! 元はと言えば私が魔法少女になりたくて杖の開発とか頼んだのに勝手に魔法男の娘設定にしたりしたのが悪いのです! なのにこのお姉さんは杖と仮契約出来ちゃうしでわけがわからないのです!」
「あらヤダ! バカって何よ! 失礼しちゃうわね! 山田ちゃんに関しては事故のようなものよ。だってアタシも想定外だったんだもの。まぁ杖に選ばれちゃった以上は仕方ないわよん」
私は事故扱いですか……
魔法少女になれたのは嬉しいけれど、魔法男の娘設定で選ばれたのは今でも私は納得出来るはずはなかった。
「あの……ドクター。エリーちゃんの為にもう一つの杖は作れませんか?」
「そうねぇ。杖なら作ってもいいけれど、本契約で魔法を使いたいなら他の魔法の国の者に頼んでちょうだい。さすがのアタシも何人とも契約するのは大変なのよねん。アタシ好みの男の子なら多少は無理もしちゃうのだけれど。山田ちゃんは仕方なく特別として、アタシはこれから魔法男の娘と契約しなくちゃいけないのだから」
「とりあえずエリーちゃん! ドクターが杖は作ってくれるみたいだから!」
「はい……わかりました。今はそれでよしとします」
「あ、そうそう。忘れるところだったわ。はい、山田ちゃん。これがさっきの魔石を加工した指輪よん。さぁさっそく装備するのよ」
ドクターはそう言うと指輪に加工した魔石を私に手渡した。




