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宵の月 29日 望月 望、サラ・クニークルス

師匠。もう、あの男は最低なのです!

昨晩は、あの男のせいで野宿になってしまいました。

心細いから、怖いからと言って私に抱き着いてきたのです。

情けをかけてやっているのに、その恩を忘れ私に襲い掛かるなんて最低なのです!

問答無用で「睡眠」の呪文をかけてやりました。

まったく、油断も隙もありません。

そのままにしておくのも可愛そうなので、「虫除け」と「獣入らず」の結界は張っておきましたけど。

「困っている者がいれば、手を差し伸べろ。それがたとえどんなクズでも!」

この男と一緒にいると、いつもこの言葉が頭をよぎります。

この男を吹き飛ばしてやりたい!

何度も杖を振りかざしかけたことか!

私は堪えます。堪えて見せます。これが修行なのです!


道中、ノゾーミが私に色々と話しかけてきました。

この男は妄想男です。

自分は違う世界から来たと言っています。

確かに服装はちょっと変わっていますし、変な光るカラクリ板をいつも触っています。

このカラクリ板にはちょっと興味が湧いたのです。

なんでもスマホーとかいうケイタイデンワらしいです。

どこかの高名な魔導士が造られたものかと思われるのです。

触らせてもらうと、光っていたこの板は、すぐに光を失ってしまったのです。

でも、かすかに雷の精霊の力を感じたのです。

その他にもいろいろと聞いてきたので、私はこれも修行と自分に言い聞かせて、丁寧に教えてあげました。

この男は、頭が悪いです。

地名やこの世界の事を何も覚えていないようでした。

きっと野党に襲われた時に、頭を強く打ちでもしたのでしょう。

考えてみれば、可愛そうな男です。

今度は、少し優しくしてあげようと思いました。

そうえいば、ノゾーミが変なことに興味を持っていました。

もう少しで「緑の丘」の街に到着の予定なのですが、その道しるべにとても興味を持っているみたいでした。

何度も「緑の丘」の文字をゆっくり読んでくれと言ってくるのです。

読めているのに読んでくれとは?

何度か無視していましたが、仕方なく読んであげました。

ゆっくりと丁寧に!

するとこの男は、すごくびっくりした顔で何度も「アルン・ハイド(緑の丘)」と呟いていました。

それにしても、この男のなまりはひどいです。

今度しっかりとした発音を教えてあげないといけません。


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