梟の月 9日 最弱勇者と幽霊伯爵の館 その11
古びれた廊下をサラとルカリオは歩く。
時々振り返ったりしてみたが、前を向いても後ろを向いても同じ廊下が続いているだけ。
これならば、最初に落ちてきた穴をよじ登った方がましだとしばらく歩いてから気づき、戻ってみたものの、その穴はどこにも見当たらず、二人は仕方なく当てのない探索を続けている。
「サラさん、ちょっと待ってください」
ルカリオは、ナイフを取り出すと壁の一部に切り傷をつけた。
傷を目印とし、この廊下がどうなっているのかを探ろうというのだ。
果たして、しばらく廊下を進んでいると印をつけた地点にたどり着いた。
「これは、方法を考えないといけないですね」
「そうね・・・ルカリオはここでちょっと待てて」
サラは先に向かって走り始めた。しばらくすると、サラが走り去った方向とは逆の方からサラが現れる。
「・・・これは!」
ルカリオは驚愕に目を見開いた。駆けつけてきたサラは・・・二人になっていた。
「「ちょっと、これはどうなっているのです!?」」
二人のサラは、向かい合い同時に叫んだ。動きも何もかも瓜二つ。まるで鏡に映った虚像と対峙しているようなものだ。
「「ちょっと、あなたは黙っているのです!」」
「ふむ、これはなかなか面白い現象ですね」
「「ルカリオ、面白がっている場合じゃないのです!」」
「ははは、二人ともごめんごめん」
二人に責められ流石のルカリオもやや引き気味になった。魔法でつながっているとは考えたものの、まさか二人になって帰ってくるとは考えていなかった。
考えが甘かったとしか言いようがない。
「「そうだ!」」
サラは、何かを思いついたかのように、自分が現れた方向に向かって走って戻っていった。
「いや、サラ・・・あんまり軽はずみな行動は・・・・・!」
待つことしばし、
「「「「なんなんですかこれは!!?」」」」
次に現れたサラは・・・四人になっていた。




