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宵の月 28日 望月 望
宵の月 28日 望月 望
森の中を歩いていたら、魔法使いの少女に出会った。
狼みたいな動物に襲われているところをオレが助けてやったんだ。
そして、惚れられた。
うるんだ目でオレに感謝している。
名前はサラ・クニークルス。栗色の髪のちょっと俺好みな女の子だ。
しかし、だからと言って手は出さない。俺は紳士だからな。
まだ見習い中だという彼女は、大きなリュックと木の枝みたいな杖を持っている。
いわゆる「魔法の杖」ってヤツだ。
おお、いかにもファンタジーって感じ。
言葉が通じたからいろいろ聞いてみたが、ここはどうやら大陸の南の方に位置するサヤードって国ということだった。
彼女は一人で修行の旅をしているらしい。
オレと話をしているうちに、寂しくなったんだろう。立ち去ろうとするオレの服をつかんで、涙目で「独りにしないで」っていうもんだから。
仕方ない、しばらく一緒についていってやろう。
しばらく一緒に着いていけば、色々と情報が入ってくるだろう。