【永 遠】(一)
【永遠】は挿入するかどうか悩みましたが、彼女の描写がないといまいち物語が伝わりづらいと思い書きました
なくてもいいかもしれませんけれども……
ぶっちゃけこの時点でネタバレになってるんですよね
愛する彼女を殺してしまった。
彼女の白い肌が、美しい髪が、緋く、深く、罪の色に染まってゆく。
何よりも気高い貴女が。
誰よりも孤高な貴女が。
粛然たる威光を纏い、犯しがたい神々しさを体現した貴女が――
永遠に物言わぬ、屍体になってしまった。
振り返ると、一人の幼子が立っていた。
立つことを覚えたばかりであろう、まだ物心もついていない小さな子供。
泣きもせず、笑いもせず、血濡れたわたしたちを見つめていた。
――見られた。
殺してしまおうと思った。
汚れた血が混じった――あの女との間に生まれた子など、殺してしまおうと。
剣を払い、首を刎ねる――それだけで終わるはずだったのに。
その瞳が。
彼女と同じ鳶色の瞳が、わたしの心を強く射貫き衝き動かした。
逃げるように、わたしはその子を抱えて部屋を飛び出した。
百合のつもりで書いていますが、作中ではっきりと女性に愛情を抱いているのは数人だけなんですよね
いや、『数人だけ』っていうのもおかしな話ですが