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ゲームの世界で第二の人生!?  作者: シェイフォン
第1章 浮浪児として
5/55

魔物退治

すいません。

予告通りの内容にはなりませんでした。

内容が長くなり過ぎましたので二分割します。


 

 カンカンカンカーン!


 ジューー!


「うん、まあまあかな」


 俺は先程製造が終わった青銅の剣にそう評価を下す。


 この武器はキッカが使用するので市販の青銅の剣よりも細くして軽さを上げていた。


 けど、強度まで下げたわけじゃないから。むしろ2倍以上の耐久性がこの軽い青銅の剣に宿っている。


 キッカは「大人と同じ武器を扱いたい~」とか駄々こねていたけど、どれだけ粋がっていても俺達は12歳の子供だからね、大の大人が使う武器を軽々しく振りまわせないから。


「さてと、後はアイラが使うボウガンの矢じりとユキが使うロッドだけか。おじちゃーん、まだ使わせてもらって良い~?」


 俺が店に奥にいる職人にそう尋ねると「あいよ~」という返事が返ってきた。


 良かった、これで今日中に作れそうだ。


 何せクロスは力があるので普通の武器と比べて一回り大きいのを作る予定だった。サイクロプスやキングアリゲーターなど大型モンスターとの闘いを想定した武器で、例え鎧を着ていても、鎧ごと一刀両断するのを作ろうとしたが、それが想像以上に大変だった。


 俺はこの時ほど子供であることを悔やんだ経験は無かった。


 何せ重い。


 ハンマーを打つのにも水で冷却するのにも既存の武器と比べて倍以上の負担がかかる。


 たった2倍程度の負担ぐらいどうってことないと考えた時期が俺にはありました。


 もし、過去に戻れるのならばその時の自分を殴ってやりたいです。


 手を抜くと失敗してしまうから休めません。正直最後の方は意識が朦朧としていました。


 どうやって宿屋に帰ったのか覚えていません。


 気が付いたら朝でした。


 筋肉痛で腕がえらいことになっていましたが、納品であるポーションを作成しなければならないので根性でやり遂げました。


 ちなみに俺が作った『鋼の大剣』をクロスは軽々と振り回していました。


 ……俺は持つことすらできないのに。




 勉強とは大事なものだ。


 それを怠ると最悪死へと繋がる。


 だから俺は心を鬼にしなければならない時がある。


「もう勉強嫌~」


 そう、例えキッカを鎖と手錠で机に拘束させてでも知識を叩きこむ必要があるのだ。


「だから何度でも言っているだろう。字を覚えろと、それが出来なければ何も始まらないぞ」


「字を読めなくても、勉強できなくても死なない~」


「死ぬから言ってんだろうが!」


 俺の一喝が部屋に響き渡った。


「ったく、キッカ以外はすでに魔物特性の勉強に入っているのに、お前だけは机にじっとしていることすらできないよな」


 浮浪児としての生活が長かったのか、最初の内は全員椅子に座っても5分すら持たなかった。まあ、浮浪児として行動しなければ死んでいたのだからじっと出来ないのは大目に見よう。


「放して~、自由にさせて~」


 が、それがいつまでも続くとさすがの俺も堪忍袋の緒が切れそうだ。なので俺は仕置きを兼ねてある紫色の液体を取り出した。


「そ、それは?」


 キッカの動きがピタリと止まり、視線が俺の手に持っている液体へ釘づけになる。


「そう、精神安定剤入りポーションだ。これを飲めばキッカも大人しくはなろう」


 ポーションにリラックス草加えると、飲んだ者を落ち着かせるという効力を持つ。アイラ達にも最初の内は椅子に座らせるためにこれを飲ませていた。


「いやー! 苦いのいやー!」


 ただこの薬、相当苦い。俺も一舐めしたが体が壊れるかと思った。例えるならゴーヤの中身の部分を5倍に濃縮した苦さと言うべきだろうか。


 もしかするとアイラ達が素直に座ったのはポーションの効能なのではなく、二度とこの薬を飲みたくない恐怖観念からゆえだろうか。


「さあ、口を開けておけよ。でないと鼻から入れるぞ」


「た~す~け~て~!!」


 キッカの悲鳴が宿屋中に響き渡った。




 昼前


 外へと繋がる門の前に4人の少年少女が整列し、その前に1人の少女が剣を掲げていた。


 俺、キッカ、アイラ、ユキ、そしてクロスが装着している武器防具は全て俺の手作りだ。




 ユウキ

青銅のダガー

革の鎧

革の小手

布の靴


 キッカ

青銅の剣

プレートメイル

青銅の楯

革の靴


 アイラ

青銅のボウガン

プレートメイル

ガントレット

革の靴


ユキ

ファイアロッド

絹のローブ

革の小手

布の靴



 これだけ装備が充実していれば死ぬことはまずありえないだろう。どんなゲームにも最も装備は重要な位置を占める。装備を侮る者に勝利などありはしない。


 その問いに否と答えるならば序盤から装備を一切変えずにラスボスまで行ってみてほしい。大抵の人は挫折するだろう。つまりそれだけ装備は大事だということだ。


 俺が作った装備のおかげでキッカ達はレベルこそ一だが、そのステータスはレベル10程度にまで引き上げられている。近辺の魔物の生息についても確認したが、レベルが5もあれば集団で襲われても戦えるほどの難易度らしい。これなら負けることはないだろう。


 ただ……


クロス   

鋼の大剣

鋼の鎧

鋼の楯

鋼のすね当て




はい、1人だけ別格がいます。


おそらくクロスのステータスはレベル15にまで引き上げられています。


一度キッカがクロスを羨ましがって鋼の楯を装備してみたけど、腕すら上げられない有様でした。


本当にクロスは俺と同じ12歳かと疑ったよ。


クロスが12歳と言うのは俺以外全員が主張していたけどね。


ああ、それとユキは魔法の才能があるらしいので魔法の扱い方について多少レクチャーした。


まだ火の玉が出る程度だけど、この辺りの敵だとそれで良いだろう。


ユキはもっと火力を望んでいたが、危ないので教えなかった。




ちなみに俺の現在のスキル。


剣  6

魔法 5

斧  7

採取 8

弓矢 5

料理 8

鍛冶 10

調合 15

裁縫 10


ポーション調合やら草採取やら武器作りやら4人に戦い方を教えるやらでこの半月の間に相当上がりました。


裁縫がこんなに高いのは俺が毎晩簡単な服を作っているからだ。作成した服は4人を通して無料で配って歩いている。


これは利益度外視で行っている。


裁縫というのは後々になってから重要になる。


極論を言えば剣や魔法などよりも重要。


何せ状態異常を防いでくれる防具を作ろうと思えば裁縫が必須だからね。


裁縫をめんどくさがって上げなかった俺は後でどれだけ苦労したか。


1ヶ月ぐらいずっと裁縫していた記憶がある。


おかげで学校の家庭科でSを取りました。


「皆、装備は持ったわね?」


 一番張り切っているのが剣を掲げているキッカ。


 聞くところによると昨日は興奮して眠れなかったらしい。


 アイラとユキが眠そうに目を擦っている。


「ユウキ、ポーションは大丈夫?」


 確認することは良いことだが剣を俺ののど元へ突き付けるな。万が一があったらどうする。


「ポーション、ポイズンボトル、パラライアウト、スリープブレイクなど近隣のモンスターが使う状態異常に対する対策は整っている」


「そう、上々ね」


 キッカが当然とばかりに頷くがこれらは高いんだぞ。


 もし俺が作った薬を一式買おうとすれば300Gは普通に飛ぶという事実を忘れてはいまいか。


 と、ここでユキがクイクイと俺の袖を引っ張った。


「……お弁当は?」


「全部ユキの好物にしている」


「ん」


 俺の答えに満足したのかユキは満足そうに頷いた。



「思えばここまでの道のりは長かったわ」


 外に出た俺達はキッカを先頭にして進んでいると、不意にキッカがそう口火を切った。


「この瞬間を私はどれだけ待ち望んでいたか」


「感動するのは勝手だがキッカがちゃんと俺の教えた通りにしていればもっと早かったぞ」


 今は青銅のダガーしか装備出来ない俺だが、前のデータの時は剣術もレベル93あった。だからその経験を生かして戦いの基本を教えていたのだがキッカは全然聞いてくれなかった。


「あんな型に嵌った動きじゃ意味無いわよ」


 このクソガキめ。


 アークドラゴンやジェネラルオークなど一級モンスターを相手にしていた俺に言うか?


 畜生、少年の体が憎い。


 そうこうしている内に近くの草むらが動き、ついでモンスターが飛び出してきた。


 相手はワームやビッグアントなど雑魚モンスター。


 これといった特殊攻撃も無いので落ち着いて対処すればいいのだが、いかんせんこちらは初めての戦い。


 クロスも顔がこわばって大剣が震えていた。


 仕方ない、ここは経験者である俺が先手を出てや――。


「うりゃあ♪」


「――ふっ」


「……ファイアボール」


 俺がクロスを案じている間にすでに戦闘は始まっていたようです。


 それにしても内の女性陣は容赦無いなぁ。


 キッカは喜々としてモンスターに斬りかかり、アイラは冷静にモンスターの目など急所を射抜いている。そして感情の表現の乏しいユキでさえ正確に魔法を詠唱・発動していた。


 モンスターも抵抗とばかりに攻撃を仕掛けてくるが俺の作った防具に阻まれてダメージどころか足止めにもなっていない。


「ふっ、口ほどにもないわね」


 最後のモンスターを切り捨てたキッカが軽く決めポーズを取った。


「俺の出番はなしですか」


 俺は呆れ調子で呟く。


 これならばもう少し装備を弱くしても大丈夫なのではないだろうかと考えてしまうほど一方的だった。



 その後は祭り状態に近かった。


 モンスターを発見すると俺を除く全員が突撃してあっという間に息の根を止める。


 それが単体だろうが集団だろうがお構いなしに突撃して刈って刈って狩りまくった。



「見て見て! 『剣』のスキルが5よ。随分上がったと思わない?」


「私は『弓矢』が6ですけどね」


「何で私よりアイラの方が上なのよ!?」


「私の武器はこれですからね、当然です」


「ボウガンは卑怯よ!」


 モンスター狩りに一息ついた俺達は持ってきた弁当で昼食を取っていた。


 キッカとアイラはお互いのレベルについてやいのやいの言い合っている。


「本当に彼女達の元気は底なしだなぁ」


 クロスがそんなことを言うが、あんな重装備で軽装備の俺達と同様の運動量にも関わらず、息一つ乱さないというのはどういうことだ?


「……美味しい」


 具が気に入ったのだろう、黙々と弁当を食べるユキ。


 その様子は小動物みたいで可愛らしい。


「ほら、これも食べろ」


 だから俺は自分の分から一つおかずをユキに差し出す。


「……くれるの?」


 するとユキは目を輝かせて俺に尋ねてきたので「ああ」と答えると。


「……ありがと」


「って、おい!?」


 あろうことかユキはおかずでなく俺の弁当箱をひったくった。


 アハハハハハ


 草原に軽やかな笑い声が響いた。

 


次こそがクロスが主人公にお願いする場面です。

約束を破ってしまい、申し訳ありませんでした。



魔物退治についてどうして子供達が魔物を相手にできるのか説明が不足していたため追加しました。

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