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ゲームの世界で第二の人生!?  作者: シェイフォン
第5章 ハーレムの主として
36/55

3P

かなり際どい表現が多数出てきます。

しかし、後悔はしていない。

『お主も災難じゃな』


 テレパシーが使えるイズルガルドの前にはどんなおためごかしも無意味だ。


 案の定、イズルガルドはすぐに俺の置かれた状況を悟る。


「なあ、年長者の知恵として何か良い方法はないか?」


 ここは人生の先輩である老竜――イズルガルドの意見を聞くことにする。


 するとイズルガルドは重々しい様子で意志を伝えてきた。


『諦めよ』


「おい!?」


 真面目な様子だったので耳を済ませていれば出てきたのがそんな一言。


 俺がそう突っ込んでも仕方ないだろう。


 イズルガルドは遠い目を浮かべながら。


『わしはなあ、これでも昔はもてていたんじゃ』


 とか唐突に昔の思い出を語り始める。


『わしはあの里で最も強く、賢く、美しく、正しかった存在なのじゃ』


 相当美化されているような気がしないでもないが突っ込んでも仕方ないので続きを促す。


『そんなわしは最もモテ、里中の雌竜がわしに夢中じゃった』


 自慢話を始めるイズルガルド。


 年寄りというのはどの種族でも共通なのか折に触れてはそのような話をしてくるのだ。しかも性質が悪いことにテレパシーで伝えてくるから聞き流すことができない。


『聞いておるのか?』


「はい、聞いています」


 うう……本当に辛い。


『で、のう。わしはそんなことに興味など無かったものじゃから全く相手にせんでおくと、ついに雌竜達が切れてのお』


 その話をオチが分かるような気がする。


『あれは地獄じゃった。全員が協力してわしから精を絞り上げ、雄竜も血走っている雌竜が怖いから見て見ぬふり。あの時は冗談抜きで死ぬかと思ったのお』


「大変だったんだな」


 その状況と凄まじく似てるがゆえにそんな感想を漏らしてしまう俺。


『だからのお、ユウキ。意中の相手、または気になる者がおるのなら早い所結んだ方がええ。でないとミイラになるぞ』


 あまりに生々しい表現から俺はギクリとしてしまう。


 腕を組み、顎に手を当てて考える。


 気になる相手か。


 そんなこと考えたこともなかった。


 この世界に来てからずっと走り続け、色恋沙汰すら眼中になかったのを覚えている。


「うーん。意中の相手か俺は――」


「もちろん私よね?」


「なあっ!?」


 隣にキッカがいたので俺は驚く。


「き、キッカ!? どうしてここに?」


「空は私の領域よ、だから驚かなくていいじゃない」


 そう言いながらにこやかに笑うが、俺はそれに同調することができない。


「キッカ? 聞き間違いでなければ俺を意中の相手とか言ったよな」


 そう聞くと。


「ええ、その通りよ」


 と、答えたので俺は頭を抱える。


「あのな、キッカもあれか? 俺を狙っているのか」


「もちろんよ、当たり前じゃない」


 いや、当たり前じゃないだろう。


「誤解を解いておくけど、ユウキを求めるのは単に色恋だけじゃないわよ。この竜騎士軍団を維持するには私の血を受け継ぐ者が必要だから、その義務も含んでいるわ」


 確かにイズルガルドから竜を貸し与えられる際そんな約束をした覚えがある。


「だったら身近な相手の方がいいじゃない? そして、ちょうど良い機会だからここで既成事実でも作っておきましょうよ」


 そんなに笑顔で語りかけられても反応に困る。


 キッカは真っ赤な髪と凛々しいその立ち姿から戦女神とも呼ばれて男性はおろか女性にも人気があるのでその申し出は嬉しく思うのだが、突然の出来事ゆえに俺はどう反応していいのかわからない。


「一緒にククルスも呼んでおいたわ。だから3人で愉しみましょう?」


 横を見ると小動物の印象を与えるククルスが顔を真っ赤にしながらコクリと頷く。クセっ毛のある栗色の髪の毛をフルフルと揺れている様子から嗜虐心がむくむくと湧いてくる、が。


「ちょっと待て、やるってここでやるのか?」


「もちろんよ、当たり前じゃない?」


 何を当然なことを聞いているんだとばかりの態度に俺は目をむく。


「安心して、ここで一回やれば他の場所じゃ物足りなく感じちゃうほど刺激的よ」


 確かにこの一歩間違えれば落下という状況は命の危険が感じるほど刺激的だろうな。


「ユウキ様、最初の一回は私も恐怖を感じましたが、それ以降は結構愉しいですよ」


 ククルスよ、さり気なくカミングアウトするな。


 誰もお前とキッカがそういう関係なんて知りたくない。


 まずい。


 逃げようにしてもキッカとククルスの2人が挟み撃ちにのように立っているためどこにも行けない。


「そうだ! ギール、お前はいいのか? 誇り高き竜の背中で情交に励むのは間違っているだろう」


 キッカのパートナーであるギールに叛意を促す。


 キッカがいくら乗り気でもさすがに竜が反対すれば無理だろうと予想したのだが。


『知ってるか? キッカとククルスの嬌声で飯は3杯いけるぞ』


 このエロ竜が!


 何で下等種族と呼んでいる人間の営みに興奮するんだよ!


『ギールよ、そなたも男になったなあ』


 何かイズルガルドが感動しているし!


 おかしいだろう、色々と!


 そんなことを考えている間にじりじりと2人が迫ってくる。


「安心して、気持ち良くさせるから」


 万事休す。


 ここで終わりなのか。


 と、考えた瞬間下から竜巻が出現し、イズルガルドごと俺を飲み込む。


「あ……」


 とっさの出来事で反応できなかった俺はうっかり手綱を放してしまい、落下する。


 見る見るうちに地上が近づき、空中に浮いているような錯覚に囚われる。


 ああ、ここで終わりなのか。


 これまでの走馬灯が蘇ってきた。


「さよなら、皆。こんな死に方は末代までの恥になるから俺の名は残さないでくれ」


「……何を言っているの?」


 地面まであと数メートルという地点になると急激に落下速度が弱まったので俺は怪我することもなく地面に足を着くことができた。


「た、助かった……」


 安堵のあまり腰を抜かして膝をつく俺。


 2、3回深呼吸を繰り返していると俺に影がかかったので顔を上げると、そこにいたのは。


「ユキ……そしてミア」


 魔導騎士団『火』のナンバー1とナンバー2がそこに立っていた。


「驚いたよ、何せ突然ユキが竜巻を起こすからね。どうしてそんなことをしたのか聞こうとしたらユウキ様が落ちてきたんだ」


 ミアが苦笑しながらこれまでの経緯を話してくれる。


 ミアはその社交的でボーイッシュな様子から男女問わず人気があり、特に女子から人気がある。しかし、キッカが「お姉さま」ならミアは「王子様」と評されるように微妙にターゲットがずれている。


「ああ、そうだったのか。少々やり方が強引だったが、窮地を救ってくれたんだ。お礼を――ってユキ? 俺をどこに連れて行く気だ?」


 ユキが俺の袖を引っ張って強引に王宮の中へ入れようとする。その理由を聞いても一言「……行く」だけなのでいまいち容量を得ない。


 ユキは今回と同じように万事において口数が少なく、必要なことでさえ言おうとしない。


 かなり失礼なのだがそれでも仕方ないと苦笑できるのはやはりユキが持つ個性ゆえだろう。


 天然無口系であるユキは背が低く、17歳とは思えないほど幼い容姿であることも相まって小さな子を見る保護者の様な気分に陥ってくる。


 そういえばキッカとミアがずいぶんユキのことを気にかけていたのは2人は精神年齢が高いから母性愛が働いたのだろうと推測する。


「あー、ユキ? 理由を説明した方が良いよ」


 そのミアの言葉でようやくユキは立ち止まって俺の方を向く。


「……セクロス」


「っぶ!?」


 突然の言葉で吹き出しても仕方ないだろうな。


 そしてユキはもう伝えたとばかりに再度俺の袖を引っ張り始めた。


「いやあ、本当にユキは正直だね」


「何を笑っているミア!? というか止めろ! そのための副官だろうが!」


 苦笑しているミアを俺は必死で呼び止めるのだが、ミアは止めようとする素振りすら見せない。


 それどころから俺の反対側の腕を取る。


「な、何の真似だ?」


 ミアにそう聞くと。


「何ってお手伝い。一応ボクも女の子だからさ、そういうのに興味があるんだよね」


 紳士然とした対応をしながらもその瞳の奥に欲情の光が見えるのは気のせいだろうか。


「色々と可笑しいだろう! 大切な瞬間を誰かに見られるというのは恥ずかしくないのか?」


「……別に構わない」


「恥かしいけど、ユキの瞬間も見られるのだったら文句はないね」


「駄目だ! こいつら!」


 頭を抱えたいが両腕をがっちりと押さえられているため身動きすら取れない。


「王宮のこの場所だったらボクの部屋が近いからそこに行こう。ユキ、頑張ってね」


「……ミアも一緒」


「うん、もちろん」


 ミアとユキによって連行されていた俺だが、何度目かの曲がり角を曲がると、2つの集団が道をふさいでいた。


 よく見るとその集団は魔導騎士団の面々。


 2つに分かれているのは男性と女性に分かれているからだ。


「ユキ団長! 俺達は大馬鹿者です!」


 男性の集団がそう叫ぶ。


「そうです! 私達はミア王子の幸せを素直に願えない愚か者よ!」


 続いて女性の集団が後に続く。


「……どういうこと?」


 ユキが首を傾げるのも納得だろう、俺もよくわからない。


「あー……つまりボクとユキがユウキ様と結ばれることが納得いかないと?」


 この中で理解力が高いミアが唯一彼らが何を伝えたいのか分かったようだ。


 魔導騎士団の面々はミアの言葉に頷きながら。


「そう、ユキ団長には永遠に純潔を貫いてほしいのです!」


「ミア王子は誰の者でもないのよ!」


 涙ながらに訴えてくる魔導騎士団。


 おい、お前らは冗談抜きで大陸トップレベルの魔導騎士団『火』のメンバーだぞ。たった一人で100もの人間を薙ぎ払うことができるお前らがこんな低レベルな争いをしていて良いのか?


 余所の国の者なら笑えるかもしれないが、残念ながら責任者である俺にとっては笑いよりも頭痛の方が大きい。


「……邪魔するの?」


「っ!」


 そんなバカなことを考えていると隣のユキの魔力が膨れ上がり、凍て付く空気があたりに充満する。ユキの強さは尋常でなく、あまりの強さからユキ一人で1000人の軍隊を凍り付かせることができるというのが専らの評判だった。


「やれやれ、ここは一つお灸を据えないとね」


 ミアも好戦的な笑顔を丸出しにして威嚇する。普段は団長を務めるユキの代わりとして魔導騎士団を統率し、さらにユキが強すぎるので目立っていないが、ミアも一騎当千な魔導師で小さな村一つ程度ならすべて焼き尽くせるだけの魔力と技量を持っている。


「ひ、怯むな同志よ!」


 2人の臨戦態勢によって彼らは委縮するもすぐに持ち直す。


「そうよ、私達の結束力を見せるのよ」


 魔導師というのは集団でこそ威力を発揮するので、個々の力量よりも団結することの方が重要である。


 たった一人で軍隊や村を殲滅できる2人が異常なのだ。


 ユキもミアも戦闘状態に入ってしまい、すでに俺のことなど眼中にない。


 いい機会だ。


 逃げさせてもらおうか。


 抜き足差し足忍び足で移動する俺。


 駆け出して行った後、後方から爆音が響いてきたのでおそらく戦闘に突入したのだろう。


「修理費は魔導騎士団の予算から引いておくか」


 物が壊れる音をBGMにしながら俺はそんなことを考えた。

ミアって実はかなりエロエロでした。

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