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ゲームの世界で第二の人生!?  作者: シェイフォン
間章 ブラッディーXの効果
22/55

魔女と呼ばれたユキ

今回は短めです。

いや、キッカとアイラが濃すぎたと言うべきか……

 魔導騎士団団長――ユキ=カザクラ


 それが今の私の肩書。


 キッカ率いる竜騎兵軍団には敵わないけど、それでも戦の花形として持て囃される存在だ。


 今振り返れば本当に色々なことがあったと思う。


 あの時、私がユウキからパンを奪わなければ今頃はただのユキとして過ごしていたのかもしれない。


「どうしたんだい? 団長」


 どうやら深く考え事をしていたみたい。


 魔法学園時代からの知り合いであるミア=キャストウイッチ=ヴァルレシアが私の目を覗き込んで心配そうに言った。


 彼女はミドルネームがある通り貴族で由緒正しいヴァルレシア侯爵の長女だ。


 身長ははすらりと長く、ボーイッシュな顔立ちで金色の髪を肩まで切り揃えている。気さくで活動的なのはキッカと一緒だけど、ミアはその動作の一つ一つに気品が溢れているのが大きな違い。


 何をしても絵になるというのはミアのみが持つ才能だろう。


「気分が悪くなったのなら言ってくれよ、ボクはユキが心配なんだから」


 その男勝りな口調なのは親が自分を男のように育てた結果だと言っていたっけ。


 学園時代からその口調と容姿が相まって王子様と呼ばれ、男子よりも女子からの告白が多いという難儀な人だった。ミアは「可愛い物を愛でるのは好きだけど百合百合しい雰囲気はねえ……」とよく苦笑していたのを覚えている。


 そんなに嫌なら態度と口調を改めればいいのに思っているのだけど、ミアは幼少の頃からこれで通していたからついつい出てしまうらしい。


 私は魔法学園の生徒会長だったけど、それはミアの尽力が大きい。彼女が私を全面的に支援したから私は生徒会長になれた。


 で、それだけならよかったのだけど、何故かミアも副会長に立候補していた。


「やっぱりユキ一人にそんな重責を背負わせるわけにはいかないからね」


 ミアはそう嘯いていたけど、実際は私と一緒にいたかったんでしょう。


 私を生徒会長に推薦したのは他ならぬミアだし。


 でもまあ、本当によく生徒会長として1年間勤めきれたと思う。


 選民主義に凝り固まった魔法学園において史上初の市民での生徒会長になった私は、それはもう酷い仕打ちを受けた。


 苦情や弾劾は当たり前。酷い時には私の命令に従えないと学園事業をボイコットされかかっていた。


 生徒会長を辞めたかったけど、今度は市民出の教師陣から辞めないでくれと懇願される始末。


 八方ふさがりになったこの状況をどう打開すればいいのかわからなかった私はユウキに手紙を送ると、後日に大量の薬瓶が送られてきた。


「……ブラッディーX?」


 聞いたことのない薬品だ。色は真っ黒で毒々しく、私の本能がそれは危険だと訴えていたと思う。


 だって説明文を見ると。


『これを飲むと潜在能力を解き放つ代わりに人間が終わっていく副作用があるから気を付けるように』


 ……人間が終わるって何? 相当碌でもない未来しか思い浮かばない。


「……けど、これしかない」


 今のままだと私は貴族からの非難と生徒会長としての責任から壊れてしまう。


 全てを失うくらいなら人間を失った方がまだ活路があるのかもしれない。


 そう考えた私は覚悟を決めてそれを口に含んだ。




「ユキ、ボクはたまに君がとんでもなく恐ろしく見えるよ」


 冷や汗交じりにそう呟くのは生徒会室で仕事をしているミア。会計や書記等の3人はまだ来ていない。


「それはボクも彼らがうっとうしいと感じていたさ。いなくなっても構わないとまで思っていた。けど、実際に退学させることはないんじゃない?」


「……私から逃げる?」


 小首を傾げてそう尋ねるとミアは首をぶんぶんと振る。


「いや、ここまで来たらもう引き返せない。リーンやルナ、イータと同じ様に最後まで共にいるよ……何故なら――」


 苦笑しながらミアは続けて。


「『魔女』に意見を述べられる立場を捨てようとなんて思わないね」


 魔女――そう、私はそう呼ばれていた。


 あの薬を飲んで最も変わった点といえば悪知恵が回るようになったことだろう。


 人を眺めているだけで、私はその人を貶めるにはどのようなことをすればいいのかを瞬間的に閃くようになった。


 私は生徒会長としての権限とミアの人脈をフルに使い、敵対する生徒を社会的に抹殺していった。


 ある者は原因不明の暴行に会い、ある者は女子の下着を盗んだとして学園を去っていった数は30人に上り、その中には教師も含まれている。


 学園の皆はそれが私の謀略よるものだということが周知の事実。


 しかし、そこまで畏怖されているにも拘らず私の評判はすこぶる良い。


 それはそのはずで追放した生徒は学園の問題児ばかりであり、彼らがいなくなったことで学園内に類を見ないくらい平和な時が訪れているからだ。


 彼らが消える前に必ず生徒会役員からの忠告があるのも大きい。


 生徒会役員に逆らわなければ魔女に目を付けられることはない。


 それが魔法学園全生徒の共通意見だった。


 そんなわけで私は見事1年間生徒会長を務め上げることができた。


 私の代の生徒会交代式は他と違って惜別の他に安堵が加わって教師を含む全員が泣いていたっけ。


 ……まあ、やりすぎてしまったのは認めるしかない。


 で、そこでミアと別れたのだけど、すぐに出会うことになる。


 ユウキが創設する魔道騎士団の団員を集めてほしいと言われ、私はまずミアのもとへ向かった。


 キッカ達以外で最も長く接していたのはミアだったので彼女以外の副団長はいないとまで考えている。


 案の定、ミアは2つ返事でOKを貰った。


 けど、ここで問題が一つ。


 ミアはヴァルレシア侯爵の跡取りなのでおいそれと抜けるわけにはいかない。


 事実ヴァルレシア家の当主は首を縦に振らなかった。


「どうする、ユキ?」


 さすがのミアも不安げな様子で私に尋ねるけど、私はなぜ無理だと感じているのかわからなかった。


 私は魔女と畏れられた謀略の使い手。


 綺麗な身の生徒ならともかく叩けば埃が出る貴族に要求を呑ませることは造作もない。


 私は早速行動に移すためアイラに連絡を取った。




 ヴァルレシア家の当主が快くミアを送り出したので、私は次に誰を誘うべきかミアと相談する。


「うーん、そうだなあ……生徒会役員の3人は加えるとして、他は調べてみるから少し時間をくれないか?」


 火急の用事じゃないので急ぐ必要はどこにもないから頷くことにする。


「うん、ありがとう。シマール国最強の魔道騎士団の創設のために人材を選りすぐってみるよ。だから交渉はユキに任せる」


 名門出かつ社交的な性格のミアは私と比べ物にならないくらい交友関係が広いのでこういう時は頼りになる。


 軍の花形である魔導騎士団。


 ユウキの期待に応えるためにも私は頑張らないといけないなと心に決めた。


 後日――魔導騎士団総数50名をユウキの前に連れて行くことができたわ。

次はクロス。

ブラッディ―Xの副作用はどうしよう?

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