第3話 英雄復活!? いや腰が死んでるんですが!!
翌朝。
――俺は、動けなかった。
「……うっ、腰……砕けた……」
昨日の中級魔獣との激闘。
そのダメージが、90歳の肉体に直撃していた。
動けない俺を見て、リリアが言う。
「おじいちゃん、今日は絶対休んでなきゃダメよ!
そのかわり、私ギルドに行ってくるね!」
(ギルド……? 嫌な予感しかしない)
案の定、その日の昼。
バアァン!!!!
家の扉が吹き飛ばされる勢いで開いた。
◆ギルドが押し寄せる
「「「英雄様ぁぁぁーーーー!!!」」」
村のギルド員が10人ほど、
土足で突入してきた。
リリアが慌てる。
「ちょ、ちょっとギルドの皆さん!?
おじいちゃんは寝てるのよ!!」
「いやいやいやいや、その“寝てる”がすごいんだ!!」
ギルド長が腕をぶんぶん振りながら叫ぶ。
「昨日の魔獣討伐……村の外まで閃光が見えてな!!
まさしく伝説の冒険者“炎雷のガルド”が蘇ったと!!」
(へぇ……炎雷のガルドって名前だったのか、この身体の持ち主)
しかし俺はベッドの上。
腰に湿布を貼られ、完全にただの老人だ。
俺「あの……蘇ってません。腰やってます」
ギルド長「おおっ!! 蘇った英雄は謙虚だ!!」
(いや話を聞け)
◆意味不明な“復活セレモニー”
ギルド員A「まずは英雄復活の証として、踊りを!」
ギルド員B「宴だ! 酒だ! 肉だ!」
ギルド員C「奥義の披露をお願いします!」
ギルド員D「昨日の技をもう一度!!」
俺「無理ッ!! 腰砕けるわァ!!」
リリア「おじいちゃんは今日休むの!!」
ギルド長「……なるほど、力を温存しているのだな」
(いやだから違うって言ってるだろ)
しかし村人たちは勝手に盛り上がり、
俺の周りで太鼓を叩いたり、
肉を焼いたり、
酒を注いだりしはじめた。
結果。
家の中が半分ギルドになった。
◆ギルドからの無茶ぶり
宴が一段落したころ、ギルド長が改まって言った。
「……実は、英雄殿に頼みたいことがある」
(嫌な予感パート2)
「西の山に、“森王ベヒモス”が現れてな……
討伐をお願いしたい!!」
リリア「無理です!! おじいちゃんは腰痛です!!」
ギルド長「腰痛……? そんなはずはない。
魔獣を雷ごと吹き飛ばす者が腰痛なわけ――」
俺「あるんだよッ!!!!」
90歳なめんな!!
ギルド長「……しかし、英雄殿がいないと村は滅びるかもしれん!」
(うわぁぁぁ……責任重大……)
リリアが俺の手を握った。
「おじいちゃん。無理はダメ。でも……
どうしても倒さなきゃいけないなら、私、ついていく!」
(孫よ……お前は天使か)
だがベヒモスはやばすぎる。
俺「と、とりあえず……明日まで……考えさせてくれ……」
ギルド長「わかった! 英雄殿の明日の“完全復活”を楽しみにしている!!」
完全復活なんてしねぇよ!!
◆その夜
リリア「ねぇおじいちゃん……」
俺「なんだい……腰痛だよ……」
リリア「“若返りの薬草”、探しに行こうよ。
明日、ギルドの人を納得させるために!」
俺「…………え?」
若返る……?
この身体で……?
リリアは笑った。
「だっておじいちゃん、
絶対、中身は90歳じゃないでしょ?」
――!!!!
まさかバレて……?
「言葉とか、仕草とか……
時々“若い”んだもん。おじいちゃんじゃ変だよ」
(……バレてる……!?)
リリアは優しく笑った。
「でも、おじいちゃんはおじいちゃん。
中身が誰でも、私は助けたいの」
(……この孫、尊すぎるんだが)




