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プロローグ
俺の名前は田中悠斗、20歳。
就活に失敗し、バイトに追われる平凡な青年……だった。
――そう、“事故”で死ぬまでは。
気づけば、白い空間。どこかで聞いたことのある声が響いた。
「うっかり転生させてしまいました。すみません」
え、神様!? おい、ミスで転生ってなにそれ。
「お詫びに、あなたに新しい人生を……ただし、ランダム枠です」
ランダム!? 嫌な予感しかしない。
眩い光に飲まれ、次の瞬間、俺はベッドの上で目を覚ました。
――全身が痛い。腰がギシギシ鳴る。
そして鏡を見ると、そこには……
「……だ、誰だよこのシワだらけの顔!!」
白髪、腰曲がり、皺だらけの肌。
どう見ても 90歳の老人。
いやいやいやいや……!
神様、ランダムってこれかよ!!
しかも、部屋のドアが急に開いた。
見知らぬ少女が目を丸くする。
「おじいちゃん! 生き返ったの!? 魔法が効いたのね!」
魔法? 生き返った?
いや俺は転生してきただけなんですが!?
異世界の家族に囲まれ、俺の第二の人生が――
まさかの 在宅90歳スタートで幕を開けた。




