第3話 適合
恐る恐る振り返ると、植物の魔物がパカッと開き、中から真っ白な人型の何かがヌルッと出てきた。
しばらくの沈黙の後──
「走れ!!!!」
俺の叫び声で全員がダッシュで逃げる。
しかしその瞬間、全員が地中から出てきた棘に串刺しにされていた。
痛みに悶えながら後ろを振り返ると、人型の何かがニタァッと満面の笑みを浮かべていた。
(死にたくない、死ねない)
そう思いつつ箕輪の意識は遠のいていった。
「おっと、これはまずい。早くやらないと手遅れになっちゃうねぇ〜」
「かしこまりました。では早速『現世転生の儀』を行います」
遠のく意識の中、二人の男女の声が聞こえてくる。
「君のはとっておきだから楽しみにしててね。気難しいやつだけど君ならきっと大丈夫」
「では行きます。3…2…1」
その瞬間、箕輪の頭上にドス黒いオーラを放つ実体のない柱が現れた。
柱は箕輪目がけて降りてくる。やがて箕輪を包み込むと、彼の身体は徐々に消滅を始めた。
完全に消滅した後、再度箕輪の身体が一から構築されていく。
『適合成功』
『適合率120%』
『魂の復元完了』
『肉体の復元および強化完了』
『スキル《明けの明星》獲得』
『適合者と力の源泉者共にスリープ状態』
『自動迎撃モードに入ります』
自動アナウンスが流れた。
さっきの魔物が興味深そうに見ている。
魔物は再度地中から棘を出すが、箕輪はそれを悠々とかわした。
魔物は驚いている。
いくつもの棘を出すが全てかわされる。箕輪はまるでそこに攻撃が来ると知っていたかのような動きをしている。
箕輪は魔物の方に向かった。魔物は身構えるが、箕輪は魔物がいない場所を攻撃していく。
魔物は箕輪の行動に拍子抜けした。
箕輪は相変わらず魔物のいない場所に攻撃を続ける。
魔物はニヤリと笑みを浮かべ、箕輪に攻撃を仕掛けた。箕輪はそれをかわし、今度は魔物に当たる位置に攻撃をする。
魔物はそれをかわす──が、しかしとてつもない衝撃と共に魔物は吹っ飛んだ。
魔物は何が起きたのか理解できないでいた。
再度、箕輪が攻撃を仕掛ける。
魔物はそれをかわす。
かわしたはずなのに、またもとてつもないダメージが魔物を襲った。
「おお、さすが適合率120%だね〜」
「もう《明けの明星》を獲得してるじゃないか」
「箕輪くんはね〜、君の未来の行動が全て見えてるんだよ。それに君の未来の行動に対して攻撃しているんだよね〜。驚いたでしょ?」
「あーごめんごめん、お前誰だよって感じだよね〜」
「この銀河の管理人の一人、リプシーだよ〜笑」
「次の一撃で君は死ぬよ。避けても攻撃されるし避け ないと普通に攻撃されちゃうね」
魔物は声にならない声で叫んだ。
箕輪は魔物にトドメを刺す。
『迎撃対象の殲滅完了』
箕輪はバタッと倒れる。
「じゃ、頑張ってね箕輪くん。期待してるよ〜」
リプシーは満面の笑みで光の中へ消えていった。