第2話 勇者選び
「勇者の選定はどうする!もう時間がないぞ!」
『そんなこと言われても知りませんわ?そもそもあなたが選んだ勇者が適合できなかったのが悪いのでしょう?』
「うるさい!とにかく次の候補を探せい!」
「「適合者の中からくじ引きで決めるのはどうでしょう?」」
「アホか!適合者でも適合できずに存在が消滅する者が多いんだぞ!くじ引きで決めていいものか!」
『私は賛成ですわ。もう時間がないですもの。しかし、万が一くじ引きで引き当てた者が適合できなかったらどうしますの?』
「「心配には及びません。20名をくじ引きで選び5名適合すれば成功です」」
「おまえは人の心を持っておらんのか、、、!」
「「私たちは人間ではありませんから、、、笑」」
「「あなたはどう思いますか?さっきから黙っていますが」」
ひとり、黙っていた者がいた。
「良いんじゃない?勝手にしなよ」
彼はその場から去り、配下を呼ぶ。
「あの件、進捗は?」
『はい、やっと適合者が見つかりました。魂、肉体、属性共に適合率が高い可能性があります』
「そうか笑 おもしろくなるね笑」
彼は不適な笑みを浮かべた。
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「さて、今日もやるか」
箕輪はギルドへ向かう。
即席のパーティ募集やクエスト依頼一覧はスマホアプリで閲覧・申請できる。
今日はC級で簡単な薬草採取のクエストを受けることになっている。目的の薬草はゲート内の森林奥地にあるとのこと。
ギルドに到着する。
『ここ最近、急に消える冒険者が増えてるらしいぜ』
『しかも同じタイミングで強力なスキルを追加で獲得したと豪語する冒険者たちもいるらしい』
『一体なにが起きてんだろうなーゲートに潜るの怖くなってきたわ』
ここ最近、不可解な事件が発生しているらしい。
(俺も気をつけよう)
パーティメンバーと顔を合わせ軽い挨拶を終えるとゲートへ向かう。
今回のゲート内は広大な森だ。
途中で魔物に遭遇したがそんなに強くなったので難なく森の奥まで進めた。
「そろそろですかね?先に進んで魔物の状況を確認してきますね」
そう言って俺は隠密を使用し、先に森の奥へと進んだ。
目的の薬草があった。辺りに魔物は、、、いない
魔物がいなさすぎることに違和感を感じつつも俺は仲間にOKの合図をした。
仲間と薬草を採取していると、地割れのような振動と共に大きな咆哮が聞こえた。
『な、なんだこれ!やばいぞ!』
地面が裂け、地中から巨大な植物が現れた。
(なんだよこれ、、、初めて見る魔物だ)
植物のような魔物は動く気配がなく何かを守るように防御体制に入っていた。
仲間の1人が攻撃を試みるが全くダメージが通っている感じがしない。
『ちくしょう!なんだこいつ』
仲間は攻撃を諦め、メンバーに撤退するか否かの判断を仰ぐ。
目的の薬草が採取できていないのと植物の魔物が動かないことを理由に撤退に反対する者もいたが、大多数が撤退に賛成したので撤退することに。
しかし魔物に背を向けたその瞬間、
急にゾッとするような感覚になった。仲間たちも同じ感覚になっているようで身動きがとれなくなっていた。