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黒の亡霊  作者: 霧島スイ
5/9

5.嵐の前の静けさ


次の日早速警視庁の自分のパソコンから組織について調べた。


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組織の名前は『雲外青天うんがいそうてん

日本の四字熟語では雲外蒼天と書くのが通常のため、中国系マフィアの可能性あり。

メンバーは30人ほどで協力者を含めると300人にも及び、

幹部5名はそれぞれ一種の能力に秀でている。

現状把握している能力は聴力拡張、怪力、洗脳となっているが、原理はつかめていない。

トップの名前は青葉。本名、年齢、出身地は謎に包まれており、推定20代後半、身長180cm、中肉中背の男性

全身黒の服装でいるところを多々目撃されており、好んで着用しているものと思われる。

また、組織の幹部はみな赤い糸で編まれた中国結びのタッセルピアスをつけており、青葉のみが青のピアスを使用しているものと思われる。


2025/10/〇〇:

黒崎怜巡査と西森隼人巡査が組織のトップと自称する男に接触。名前は青葉と名乗り、耳に青いピアスあり、特徴から青葉本人と考えて相違ない。

青葉と思われる男は、黒崎巡査に6月に銃密売一斉捜査により、組織の取引を妨害されたことの報復だという趣旨の話をしており、西森巡査が駆けつけた際にはビル屋上から何かしらの方法で脱出したと見られている。手段は未だ不明。青葉特有の能力を使用したと思われる。


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「う、んがい、そうてん。普段、岩下警部が奴らとか組織とか言うから改めて見ると変わった名前よね。四字熟語・・・か」

聞き馴染みのない言葉に眉を顰め、スマホで組織の名前の由来を検索する。

「意味は雲の向こうには青い空が広がっているという意味。中国の古典文学から広まる。日本では雲外蒼天うんがいそうてんだが、中国では雲外青天うんがいせいてんと呼ばれる・・・か。

確かにピアスといい、組織の名前といい、中国系の可能性もあるわね。でも、青葉と接触した時はかなり流暢に話してたから日本人なように思えるけど、何か中国にこだわる理由があるのかしら。」


うんうんと考えていたら青葉に屈した時のことを思い出し、頭痛がジンジンとしてくる。

「っっっつ!あいつ・・・次会った時は1発打ち込まないと気が済まない!


痛む頭を抑えながら、他に情報がないか調べてみるが、似たような情報ばかりでこれといったものはない。


「大した収穫は無さそうね。やっぱり本人に接触して、尻尾を掴むほうが早いかな。」


それから半年、組織の活動も青葉の目撃情報も出てこなかった。

私は岩下警部が追っていた詐欺集団を捕まえるため、詐欺集団が経営しているというビルに突入することになった。


今日も婦警さんからチヤホヤされていた男に無線を飛ばす

「西森?今日、このあと誰と予定があるのか知らないけど、早瀬のフォローしっかりお願いね。前回も早瀬を置いてこっちに走ってきたせいで早瀬1人で残りの奴らを片付けるはめになったらしいじゃない。」

「心外だなあ。俺はリン一筋だって言ってるのに?それに早瀬の件はあいつの実力を見込んで任せたの。現にあいつ一人で制圧したじゃん。」

「はあー。はいはい。今回は早瀬とペアなんだから早瀬から離れないでね。」

「黒崎先輩。騙されないでください。西森さん、美人婦警で有名なマドンナ佐々木さんにご飯誘われて鼻の下伸ばしてOKしてました。」

「報告ありがとう早瀬。西森、プライベートがあるからって仕事手抜かないでよ?逃したらただじゃおかない。」

「てめ!早瀬!リンに余計なこと言うなよ。俺はリンと行きたいけど、どうしても嫌ってつれないから仕方なく、だよ。し、か、た、な、く!」

「あんたとご飯なんて行ったら、あんたを狙ってる婦警さんたちにどんな目で見られるかたまったもんじゃないわ。ただでさえペア組んでるせいで目つけられてるのに。」

「西森先輩みたいなチャラ男に黒崎先輩は渡せないので、代わりに私が先輩と行ってきます。あいたっ!」

「こら!西森!早瀬に乱暴しない!」

「やだな。口がすぎたからこづいただけ。ペアとしてスキンシップの一部さ。」

「こら!お前ら。無線で遊ぶんじゃない。そろそろ突入開始だ。」

「「「承知しました。」」」


岩下警部のピリついた声で私たちも気合いを入れ直す。

今回の作戦は腕っぷしのある西森と早瀬がエレベーターで正面突破、射撃専門の私は岩下警部を補佐しながら、非常階段を登って7階へ突入する予定だ。


目的の7階非常階段に辿り着くと岩下警部に目で合図し、ドアをゆっくり開ける。

一見普通のオフィスの廊下のように見え、話し声や電話の音が聞こえてくる。


今日の作戦は相手にはバレてないようでホッと一息つく。

「黒崎、油断するな。西森たちが正面からフロアのメインルームに入ったのを確認したら、私らはその間に他のルームで証拠と元締めの捜索だ。」

「承知しました。射撃が得意な私が前に出ます。」

「ああ、危なくなったら私が近接戦闘する。」


そして、定刻通り、西森たちが警察手帳を片手にメインルームへ入っていくのを見届けると

私は社長室と書かれた部屋のドアノブをゆっくり回した。

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