4.囮と反省
ガンッ!!
「リン!」
その時西森が屋上を蹴破って突入してきたところで、私は意識を手放した。
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「リン!リンだけでも逃げろ・・・俺もすぐに後を追うから」
嫌!絶対来てくれないくせに。ウソツキ・・・嘘つき!!!
夢の中の男の子が悲しそうな顔でぎゅうっと抱きしめてくる
「リン。約束守れなくてごめん。悲しませてごめん。俺を許さなくていいから、生きていてほしい。」
涙が溢れて止まらない私をただただ男の子は見つめてくるのだった。
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「うそ・・つ・・・き」
目を開けると白い天井が見えた。
どうやらあの後警察病院に運ばれたらしい。
目立った外傷はない。あんなところで気絶してよく殺られなかったなと我ながら感心していると西森が病室に入ってきた。
「あ、起きてた?2日も起きないから心配した。」
そういえば、こいつも夢の男の子と同じように私のことリンって呼ぶんだよな。
「ん。ごめん、迷惑かけちゃって。・・・青葉は?」
西森は気まずそうに目線を逸らす
「お前が倒れた時にそっちにいっぱいいっぱいで、その・・・」
「逃げられたのね。」
「悪い。早瀬に周囲を捜索させたんだけど、見つけられなかった。」
「西森のせいじゃないよ。私が油断して周囲の警戒を怠っただけ。それにしてもあんな動揺する西森珍しいね?」
「そりゃあ、同期が危なかったら焦るだろ?いいから!お前は安静にしとけって!岩下警部への報告は俺がやっといたからさ。こってり怒られる時は一緒に怒られるし。」
「ん。ありがと西森。」
まあそれもそうか。と思いつつ、ありがたくお言葉に甘えることにして、帰っていく西森の背中を見送る。
組織のNo1ってことは実質ボスてことよね。
青葉を調べたら組織の目的も今後の事件も防げるかもしれない。
明日からしばらく外での捜査は休止して、安静に言われるだろうから、警察のデータベースを漁ってみよう。
今後の動きを軽く決め、目をつぶった。