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黒の亡霊  作者: 霧島スイ
1/9

1.顔も知らない人

「リン!ぼく、しょうらいリンをお嫁さんにする!やくそくだよ。」


・・・誰?


「リン。俺が絶対お前を幸せにする。約束する。」


あなたは誰?・・・リン?

私はれい!リンじゃない!


「リン。約束守れなくてごめん。悲しませてごめん。」

血まみれで泣きながら抱きしめてくる男の子に私は何も言えず、立ち尽くすことしかできない。


いったい誰なの!

約束って?悲しむってなんのこと?

いいかげん教えてよ!あなたの名前は・・・


―――――――――――――――――――――――


ジリリリリリ

すさまじいアラームの音と共に飛び起きた。


いつのまにか泣いていたみたいで、仮眠室の中1人で大きなため息をつく


「またあの夢・・・いったい誰なのよ・・・」


私黒崎怜くろさきれいはある時から同じ夢を繰り返し見るようになった。

いつも夢の中で私を「リン」と呼ぶ顔にモヤがかかった男の子。

夢はいつも男の子が嬉しそうに私にプロポーズするところから始まり、最後には泣きながら私に謝る夢だった。

いつも誰なのか問いただそうとするが、夢の中では声が出せず、身動きも取れない。

親や幼馴染にも相談したが、どうせただの夢だろうと一蹴されるだけだった。


「妄想だとしたら結婚願望?それとも、あの男の子がタイプってこと?」


そんなくだらないことを考えていると


♪〜〜


仕事用の携帯が鳴りはじめた。


「はい。こちら黒崎。」

『黒崎、日付変わって26:00東京都xx区〇〇でやつらが銃密売の取引を行う情報が入った。3ヶ月ぶりに動いたんだ、何かしでかす気なのかもしれん。西森と早瀬と現場へ向かってくれ。小規模な取引だから下っ端ばかりだろうが捕まえれるならヤツらを捕まえてくれ。くれぐれも無理はするなよ。』

「承知しました。西森は同様に待機のはずなので一緒に向かい、途中早瀬を拾って現場へ向かいます。」

『慎重に頼んだぞ。ヤツらは残酷で無慈悲だ。敵とみなしたものに容赦しないで有名だからな。』

「はい。いい結果を持ち帰れるよう尽力します。失礼します。」


黒崎怜は警視庁公安部第一課所属の立派な5年目の刑事だ。

公安は主にテロ、過激派、スパイ活動などの未然防止や、各種違法行為の取締り、捜査をおこなう警察の一部門。

夢に悩まされるようになってから、眠れぬ時間を射撃訓練に費やし、晴れて公安でテロ専門の事件を追っている。

先ほどの電話は上司の岩下警部からだ。

現在他事件で張り込み中のため、待機中のメンバー、私、同期の西森、2年目の早瀬で向かえということらしい。

早速男子仮眠室にいる西森を起こしに行く。


「西森ー!警部から連絡きた。現場行くよ!」


ガチャ


「リン・・・あいつら?・・・わかった。すぐ顔洗って車回しとく。その間に準備と早瀬への連絡頼める?どうせあいつも呼ばれてるんだろ?」

さすが同期一のエリート。さっきまで寝てたことを微塵も感じさせない洞察力。

西森は女性が好きそうな甘い顔で茶髪の猫毛の見た目をしており、スポーツ万能、頭脳明晰の超絶エリートで、いつも女性からアプローチをされている。

だが、仕事になると冷静沈着、時には脅しも厭わない残酷な一面をもつ。


「ありがとう。早瀬のマンションで早瀬を拾うから電話で出れるよう準備するように伝えとくわ」

「ん。じゃ、駐車場で待ってる」


ひらひらと手を振りながらだるそうに歩いていく後ろ姿を見ながら私は早瀬に電話をかけたのだった。



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