光と影
こんにちは、佐藤零です。
今、僕は魔法学校に居るのですが…
「ここどこぉ~。助けて〜。」
絶賛知らない人に泣き付かれています。
「初めて学校に来で、地図とか持ってないんだよぉ~」
それは僕もだよ。今探してるんだよ。
そう思いながら、あたふたしていると、
「大丈夫かい?」
優しそうな声で、話しかけてくれる人が居ました。
「だすけてぐだざいぃ~。」
そうすると、僕に泣き付いていた人が、その人にも助けを求めました。
「ボタンがない… そうか、君たちは新入生かい?」
すると、泣いていた子は、首を千切れそうなくらい縦に振った。僕も、少し遅れて頷いた。
「ああ、道に迷ったのか、ここ道がぐちゃぐちゃだもんねぇ。」
そうすると、泣いている子の頭を撫でて、
「もう大丈夫だよ。僕がいるからね。」
と笑った。
「ついておいで、案内するよ。」
「さぁ、着いたよ。」
その人は、僕達を導いて、1年生の教室に連れてきてくれた。
それだけなら良かったのだが…
「ああ、雷 連れてきてくれたのか、ありがとう。」
そこには、ボロボロになった、師匠の姿があった
「何やってんすか師匠。」
思わず声を張り上げてしまった。
「ぇ、師匠?」
連れてきてくれたお兄さんが驚いた顔をする。
「おお、零か、さっきぶりだな。」
「そんな事より、何があったんですか。」
師匠が瓦礫の中から這い出て来る。
「いやぁ、また建物の中でキューブ使っちゃいましてね。」
悪びれる素振りもない。
「またですか、先生。そろそろクビになっちゃいますよ。」
杖を出し、魔法で瓦礫を浮かせ、直し始めた。
「いやぁ、悪いねぇ。」
頭を掻きながら、自分でも魔法で片付け始める。
「これまだ生徒が来て無くって良かったですね。」
泣いていた子は目が点になっている。
「え、本物、マジモン?」
ワイワイ ガヤガヤ
徐々に生徒が集まって来る。
さっきの子が服をつつく。
「ねぇ、あの人って、望月満さんだよね。」
目をキラキラさせながら聞いてくる。
「え、そうだけど…」
困惑しながら答える。
「やっぱそうだよね!いやぁ、まさかあの戦争の英雄に授業してもらえるとは…」
零は目が点になる。
「え、師匠が、英雄?」
零は、今までの訓練を思い出す。
『ああ~、またやってしまった。』
壁を破壊する。
『なんでこんな弱いんだ?』
デカいドラゴンを1秒で丸焼きにする。
『あ、晴れた。』
魔法を放ち、入道雲を消し飛ばす。
ただの破壊神じゃねえか。
「まぁ、英雄、なのか?」
多分なんかやったんだろう。師匠は強いし。
「そうだよ。てか、師匠ってどゆこと。」
「あ、えっと…」
師匠が手を叩く。
「はーい、みんな座って。」
師匠が深呼吸する。
「皆さん、こんにちは、このクラスの担任になりました。望月満です。」
「マジで、」「本物?」「嘘だろ!」
クラスの人たちがざわめく。
「それじゃあ自己紹介を始めるよ〜。」
廊下から足音が聞こえる。
「望月さん。すぐ来てください。」
駆け足でローブを着た人が駆け込んで来る。
「どうしました。」
師匠の雰囲気が変わり、目つきが鋭くなる。
「実は…」
駆け込んで来た人が、耳打ちする。一瞬動きを止めた後、笑顔に戻る。
「ごめん、用事あるから、皆だけでやってて。」
そう言うと、2人は駆け足で出て行く。
「では、自己紹介を始めます。」
メガネをかけた人が前に出て、話し始める。
「私の名前は深見鋼、よろしくお願いします。」
数人が自己紹介をする。
「こんにちは、速水海です。」
あ、さっき泣き付いて来た人だ。
そして、僕の番だ。
席を立ち、前に出る。皆の視線が僕に集まる。
「佐藤零です。よろしくお願いします。」
自己紹介が終わってから、速水君の所に人が集まって来た。
「ねぇ、速水ってあの速水だよね。」
「ほんとにお姉さんに似てるなあ。」
同時に沢山の人から質問攻めされて、あたふたしている。さすがにやり過ぎだろう。
「「ちょっと、困ってるよ(いますよ)。」」
僕と深見君の声が被った。
「確かに、ごめんね。」
「また後で聞くわ。」
困っているのに気づいたのか、人が散って行く。
「あ、ありがとう。鋼君、零君。」
海君がお礼を言う。
「いえ、当たり前の事をしたまでです。」
鋼君はメガネを直し、平静を装って居るが、少しニヤついて居る。
「困ってそうだったから。それだけだよ。」
笑いながら、手を振る。
「そうだ、今から、学校回ろうよ。」
そう言うと、僕と鋼君の手を引き、廊下に走って出る。
嗚呼、僕はまた巻き込まれるようです。
「おい、蓮。今さっき聞いたばっかだぞ。なにがあったんだ。」
教室をでた望月は、とある場所に来ていた。
「すみません、センパイ、実はさっきのとは別件で、
例の団体に動きがありました。」
杖を拭いていた手がピタッと止まり、目つきが鋭くなる。
「良し、分かった。場所はどこだ。蓮。蓮」
蓮の背中にゾクリとした感覚が伝わる。
さすが公安0課公安0課のエース、オーラが違い過ぎる。
「はい、3区の28丁目です。」
杖を仕舞い、手袋をキュッと着ける。
「行くぞ」