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トンネルを抜けると魔法界だった  作者: 小松晴
入学編

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11/11

遠足騒ぎ

零「今回は校外学習だね。」

海「いやぁ、行けて良かったねえ。」

鋼「変なことしないでくださいよ。」

海「はーい。」

零「それでは、」

全員「どうぞ!」

「遠足だぜぇ。ヒャッハー。」

海の様子がおかしい。そこまでテンションが上がるものだろうか。

「そんなにハイにならなくて良いでしょう。」

鋼君と同意見だ。そんなに慌てなくて良いだろうに。

「甘いよ。2人とも。」

チッチッチと言いながら、ドヤ顔をする。

「今回はなんと、陽炎の森に行けるんだよ。」

陽炎の森とは、魔法界でも有名な観光地であり、その抽選倍率からほぼ行く事が出来ない場所である。考えてもいなかった行き先に、僕も鋼君もガタッと音を立てて席を立つ。

「「まじで!?」」

その声に周りの人がビクリとする。

「静かに、しーっ。」

海君も口に手を当て、静かにというポーズを取る。

「はーい、今日も授業を始めるぞ。」

蓮さんが冊子を持って教室に入って来た。指の鳴る音

がして、冊子が机の上に転移する。

「授業始めるぞ、と言いたい所だが、今日は社会科見学の説明をする。」

遠足じゃないんだ。

「行き先は〜、陽炎の森だぁ!よっしゃあ!」

教室中がその声を聞いて、お祭り騒ぎになる。

「あ、ちなみに日程は明後日だぞ。」

マジで?


2日後、僕たちはバスに乗っていた。

「いやぁ、まさかうちの学校うちの学校(魔法学校)の社会科見学で人間界に来るとは思わなかったねぇ。」

海はガタガタ揺れるバスの窓から外の景色を眺める。

「本当にその通りだよ。」

鋼君は顔が真っ青になっている。バス苦手だったのか。

「そろそろ着くぞ、準備しろよ~。」

蓮さんがワイワイと騒がしいバス車内に響く声で話す。


「降りたは良いけど、ただの山道じゃん。」

右も左も山、木、岩、マジもんの山奥である。

皆ざわざわする中、蓮さんは近くの木をペタペタ触ったり、コンコン叩いたりしている。

「あったあった、みんな、こっちに集まって!」

なにかを見つけたのか、手を振ってクラスの全員を呼び集める。

「どうしたんだろうねえ。」

海が後ろから背筋を伸ばしたり爪先立ちになったりして、蓮さんの手元を覗き込もうとする。

「それじゃ、行くぞ、陽炎の森に。」

ある老木のへこみに杖を差し込み、右に半回転させる。

周りの景色が歪み、引き伸ばされていく。しばらくすると、ポータルの向こうにまた別の森が見えるようになった。

「そんじゃ、出発!」

蓮さんも浮かれている。

「いいとこだねぇ。」


しばらくして、三人は森の中を歩いていた。

「てかこんな所来てよかったのかな。」

鋼は少しオロオロしている。

「あはは…」

零は2人の後ろを苦笑いしながらついて行く。どんどん日が射さないようになり、辺りが暗くなる。

「しかし、綺麗だねぇ。あ、なんだろあれ。」

海はまだ呑気である。何か見つけたのか。

「気をつけろよ、…え?」

突如、海の頭上に暗い影が出来る。

「なんだよ、あれ。」

よく分からない、わけの分からないほどの数のドラゴンが空に、地面にと向かって来ていた。

「危ないッ!」

咄嗟に零は全員が守れるくらいのサイズの防御魔法を展開する。そこにドラゴンの炎が当たり、すぐに割れてしまう。

「先生に連絡して!」

『師匠に教わってて良かった。無かったら即死だった。』

そうは言っても、この状況で助けを呼ぶことなど出来ない。

その頃、蓮は森に居る人を守りながら、ドラゴンを捕縛し続けていた。

「めんどい、なんだコイツら。」

植物を操るという魔法の都合上、火を吐くドラゴンとはやや相性が悪く、捕縛がし辛い。

『いっそ避難だけに絞るか?でも、もし結界から外にこいつらこいつら(ドラゴン)が出てしまったら、マズイ事に…』

耳の発信機に手を当て、シャドーに援軍を要請する。

「こちら蔦屋、陽炎の森にてドラゴンの異常発生、援軍求む、どうぞ。」

少しして、シャドーの本部から連絡が返ってくる。

『こちら本部、只今各地にて同様の異常発生、現在派遣出来る者無し、どうぞ。』

どうやら異常だったのはここだけではないらしい。

「マジかよ。」

冷や汗をかきながら、捕縛したドラゴンを別のドラゴンにぶつけ、地面に落とす。

そんな事を考えていると、後ろから生徒の声がする。

「あれ、零は?」

蓮は全身の血の気が引いたような感覚を覚えた。

「まさか、な」

遠くで大きな土煙が上がる。

「くそっ。」

自分の失態に気づき、走ろうとするが、何百匹ものドラゴンに阻まれ、進むことができない。

(どうするどうするどうする)

何も出来ない自分にイラつきながら、少々乱雑にドラゴンを植物で捕縛し、投げ飛ばして行く。

遠くに、ボロボロになった三人が走って来るのが見える。

「先生!!」

こちらに気付いたのか、走る速度が速くなる。

「こっちだ!」

蔓を三人の方に伸ばそうとする。

海と鋼はそれを掴み、蓮にキャッチされる。しかし、零に届く事は無かった。

「零!」

急に横から現れたドラゴンに脚で胴体を鷲掴みにされ、空高く飛んでいく。

「黒龍!?」

しかも、そのドラゴンは、数千匹に一体しか居ない、他のドラゴンの比にならないほど大きく、体が黒く輝く黒龍だった。

伸ばした蔓や枝も、まるで藁の様に燃え尽き、近づくことすら出来ない。

そこに、蓮のインカムからノイズが流れ、音声が聞こえてくる。

「蔦屋さん、一人居ました!今から向かわせます。」

「無理だ、たかが一人で…」

半ば諦めながらも、しかし、蓮はこうも考えていた。あの人なら、もしかしたら、



そこに、眩い光が差し込んできた。

「俺の弟子に手ぇ出してんじゃねえよ。」

何処からとも無く人影が現れ、黒龍の顔面を蹴り飛ばす。その影響で脚の力が緩み、零が真っ逆さまに落ちる。すぐさま零を抱え、地面に降り立つ。

「悪い、遅れた。」

「先輩!?」

最速の魔術師、望月満がそこに立っていた。

「海、鋼、2人は零を頼む。」

2人で意識を失っている零を支える。

「蓮、これ。」

竜の方を向いたまま、頑丈な素材のポーチ付きのベルトを懐から取り出し、投げ渡す。

「足場、頼んだ。」

「了解しました。」

蓮はポーチから植物の種をいくつか取り出し、成長させる。今までのものとは段違いに頑丈な、最早木に近い質感のそれは、一瞬で後ろに攻撃がいかないように、一部が壁のように変形した。

「「さて、ドラゴン退治だ。」」








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