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トンネルを抜けると魔法界だった  作者: 小松晴
入学編

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10/11

あいきゃんふらい

「では、本日の授業を始めます。」

そう言って教壇に立っていたのは、蓮さんだった。

教室にいる全員がザワザワし始める。

「あ、私は蔦屋蓮と言います。詳しくはコチラをご覧ください。」

そう言って指を鳴らすと、黒板に映像が映し出された。

『えー、聞こえてますか?』

教室がざわめく。

「「「先生?!」」」

画面の向こうの先生は全身包帯ぐるぐる巻きで、顔は見えなくなっていた。

『すまん、皆、昨日箒で事故ってこんなになっちまった。治るまで、蓮に任せる。それじゃ。』

そう言うと映像は消えた。

「それじゃあ、今日は箒で飛ぶ練習をしよう。」

満面の笑みで箒を取り出す。

「「「ちょっと待って」」」

担任がボロボロになった姿を見せた後にすぐ練習させようとするのはあまりに鬼畜ではないだろうか。

「あの、ほんとに大丈夫なんですか?」

一人の質問に、全員が首を蓮さんに向ける。

「大丈夫、大丈夫。先輩が絶望的に出来ないだけだから。それじゃあ、始めよう。」

指をパチンと鳴らすと、全員が外にテレポートしていた。

「それじゃあ、右手を出して。」

皆場所が変わった事に戸惑いつつも、言う通りにして、並べられた箒の近くに立つ。

「それじゃあ、みなさんご一緒に、『来い』」

「『来い』」

蓮さんの言った後に、皆バラバラに唱える。すると、蓮さんと数人の箒が吸い付く様に手に飛んで来て、手に収まる。

「あ、出来た。」

鋼君も出来た様だ。ちなみに、僕はまだ浮いていない。

「『来い』」

今度は僕も出来た。2回3回やって、全員が出来てから蓮さんは箒にまたがった。

「それじゃあ、飛んでみよう。」

その後、三十分ほど練習すると、皆たどたどしくも飛べる様になった。




「先輩、大丈夫ですか?」

病室の前、先輩の名前が書かれたドアを叩く。

「はーい」

そう声が聞こえたので、ドアを開けてから、見舞いの品を机の上に置き、椅子にすわる。

「酷え有り様ですね。」

「面目ねぇ。」

そう言うと頭を掻こうとするが、痛みに顔を歪める。

「どれくらいかかるんですか。」

置いてあった診断書を見ながら話す。凄えな、全身折れてやがる。

「3ヶ月から半年だってさ。」

「まぁ並の人間ならそうでしょうね。」

だが先輩はそうでは無い。多分頑張れば一瞬で治せるだろう。

「どうして治さないんですか?」

「いや此処普通の病院だからね。ただの人間が一瞬で治ったら怪しまれるでしょ。」

そういえばそうだった。此処は人間界で、魔法は使えない、というか、バレてはならない。

「あと、今の内に有給消化しなきゃだしね。」

背伸びしようとするが、また痛みで悶えている。

「そういえば、前のやつの解析、もうすぐだそうです。」

紙を1枚取り出し、見えるように置く。

「あ、はいはい、分かった。」

役目を終え、椅子から立つ。

「もう帰るんか。」

意外そうな顔で私を見る。

「はい、ちょっと忙しいんで。」

そう言うと、手を振りながら病室を出る。






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