第96話 冒険者ギルドの責任②
ユーザニア市を代表する大司教と伯爵の圧により、冒険者ギルドはどう責任をとったのかな?
フランシスコが普段の温厚な喋り方ではなく、厳しい口調で見解を求めると、ギルドマスターは額の汗を拭いながら返事をする。
「我々3人の見解は不正は全くないと判断しました。なのでアリス様……いいえ光の絆の皆様は、前人未到の大偉業を成し遂げられたと認めるというものです」
ギルドマスターの言葉が終わると、解体長と攻略長は首を縦に振って同意だと意思表示をした。
「ほぅ、全てを認めるとしてだ。それで冒険者ギルドとしては、今回の不手際の責任をどのように取るのか聞かせてもらおうか」
「はい……、先ずは受付の者に対しては、今後このようなことが起こらぬように、厳しい再教育を施します。そして冒険者ギルドとしては、アリス様と光の絆への謝罪を公表します」
ギルドマスターが今回の責任の取り方を説明すると、フランシスコは机を強く叩いて厳しい言葉で叱責した。
『バン!』
「そのような内容では全く足りぬわ! 火竜による襲撃の時も同様の失態を起こしていたのだ! あらからろくな日数も経っていないのこの失態だ。そんな生ぬるい責任の取り方など、七神女神教として到底認めることはできん!」
「大司教様の仰る通りだ。ユーザニア市を預かる者として言わせてもらえば、冒険者ギルドはギルドマスターを含めて全ての人事を一新するべきだ」
2人が続けて冒険者ギルドへ厳しい言葉を言い放つと、フランシスコは申し訳なさそうな表情で、冒険者ギルドへの除名撤回を願い出てきた。
「アリス様、私と伯爵が責任を持って、この腐りきった冒険者ギルドの再建に努めます。ですから今回のことで冒険者ギルドから除名することを、撤回をして頂けないでしょうか?」
フランシスコは願いにあとに頭を下げると、伯爵も同時にに深く頭を下げてきた。私の特殊な事情を知る2人に、ここまでされると断ることなんてできないよね。
「2人とも頭を上げてください。今回の件は2人に任せることにしますね。ただ私が卑怯なことをするような者だと、確認もせずに一方的に決めつけられた。そのことは本当に悲しかったんです……」
私が少し悲しそうな表情をすると、その心中を察したゼシカが2人に厳しい処罰を求めた。
「アリス様の心中を察して、筆頭従者として言わせて頂きます。この件に関わった者への甘い処罰だけは絶対にしないでください」
「心得ております。アリス様の心中を察すれば当然のことです。厳しい処分を下してこのような過ちは絶対に起こさせません」
私が屋敷へ戻ったあとも話し合いは続き、冒険者ギルドへの処罰は、大司教様に一任されることになった。
現在のギルドの幹部職員は全員更迭処分になり、問題を起こした受付嬢は奴隷落ちになった。さらに冒険者ギルドの総本部から後任のギルドマスターが派遣されてくるまでの間は、ユーザニア大聖堂から司教を派遣してギルドマスター代理の職に就き、冒険者ギルドの運営を続けることになった。
伯爵は冒険者ギルド総本部に対して、運営の在り方についての注意勧告と、責任賠償として白金貨1,000枚を要求をした。かなりの大金だけどそれを断れば、冒険者ギルドユーザニア支部は閉鎖になるので賠償に応じるしかなかった。
そして、今回の嘆きの地下迷宮の攻略情報から、ダンジョンランクがCからBへと変更された。さらに私達のパーティー光の絆は、嘆きの地下迷宮の最深到達階層を更新したと、全世界に通達されたのだった。
そして月日が経過して、私は10歳を迎えたのだった。
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