第94話 冒険者ギルドの失態
またまた冒険者ギルドがやらかします……
本当にアリスと冒険者ギルドは相性が悪いですね。
馬を購入したあとは、冒険者ギルドへダンジョン攻略の報告へ向かった。
ギルドに到着すると、クエスト完了手続と表示されているカウンターで、嘆きの地下迷宮の攻略完了の手続きをしてもらう。
「こんにちは、私はサリナです。こちらではクエスト完了の手続きを行ってます」
「こんにちは、光の絆のアリスです。嘆きの地下迷宮を攻略してきたので、完了の手続きをお願いします」
「はい、こちらの書類に攻略内容をご記入と、魔物の討伐証明となる部位については、こちらへご提出して下さいね」
私は渡された書類への記入を終えると、サリナへ書類と討伐部位を渡そうと思ったけど、討伐部位が不明な魔物が結構いたので、丸々持って帰ったものは大き過ぎて、ここでは出せないことを伝える。
「あの〜、結構下の階層へ行ったので、討伐部位が不明な魔物が多かったから、そのまま持って帰ってきたのだけど、ここでは狭すぎて出すことができない場合は、どうすれば良いの?」
私の言葉と提出した書類を見たサリナは、眉間にシワを寄せると、急に態度が豹変した。
「はぁっ? この嘆きの地下迷宮20階層にあるボス部屋の攻略? 25階層にあるボス部屋の手前までのマップ作成? 出現した魔物情報とかってふざけてるの?」
サリナは提出した書類を見ながら『イラッ』した様子で、周りに聞こえるような大声で言い放った。当然、その声は建物内に響いたので、周りは騒々しい雰囲気になり、全ての視線が私達に集中するが、私は嘘を書いても言ってないので、目の前のサリナに対して毅然とした態度で応える。
「ねぇ? 実際に確認をすることもせずに、あなたの一方的な思い込みで否定するのはおかしくない? 提出した魔物の討伐部位を見ればさ、20階層まで行ってることは判ると思うんだけど?」
カウンターには討伐部位が判明している物は提出しているので、20階層まで進んでいることは理解できるはず。それを考慮すればさらに進んでいる可能性を否定できる訳が無い。
「ふん、どうせ幼女好きにおねだりでもして、攻略の手柄を自分の物にしたんでしょ?」
サリナは、私の言葉を聞いても信じようとはせず、私が卑怯な手を使って手柄をあげたと言い出したの。流石に『イラッ』としたので直ぐに反論する。
「ねぇ、あなたが言ってる言葉は、冒険者ギルドの発言と考えるけど良いのかな?」
「なんなの? 冒険者ギルドへ楯突くつもり? 我々を怒らせると冒険者ギルドから除名処分が下されて、活動ができなくなる可能性があるって理解してるの?」
全く話が噛み合わない相手に完全に頭にきたので、冒険者ギルドなんで辞めようと思った。
「では、除名の手続きをしてもらうから、ギルドマスターを呼んでくれない?」
「ふん、見た目だけのバカ女のようね。あとで泣きことを言っても知らないからね!」
顔を真っ赤にしたサリナは、ギルドマスターを呼びに上の階へと走って行った。
暫くすると、サリナがギルドマスターを連れて戻って来たけど、私の顔を見たギルドマスターの顔からは、完全に生気が消え失せて画面蒼白になっていた。
「あっ、ギルドマスターさん、冒険者ギルドから除名処分をして欲しいの。その前に、嘆きの地下迷宮へ行ってきたからさ、攻略完了の手続きだけは済ませてくるかな?」
「あ、あの……、私はこの現状が掴めてないのですが……?」
目が虚ろになったギルドマスターは、なんとか声を振り絞って私に説明を求めた。
「そこのサリナさんが、嘆きの地下迷宮の攻略の件で、幼女好きな人を使って不正したとか言って、攻略完了の手続きを拒否したの。前回の火竜の討伐もそうだけど、こんな冒険者ギルドは信頼できないからさ、今回の攻略を最後に冒険者ギルドは辞めようと思ったわけ。判ったら早く手続きしてくれない?」
私の言葉を聞いたギルドマスターは、サリナを凄い形相で睨みつける。サリナもこの状況は流石に不味いと判ったようだけど、もうあとに引くことはできないんだよね。
「あの、取り敢えず場所を移してですね。そちらで手続きをしたいと思います。誠に申し訳ないないのですが、私の部屋までご足労お願いしても宜しいでしょうか?」
「うん、手続きしてくれるならいいよ」
私達は上階にあるギルドマスターの部屋へ案内されて、攻略完了の手続きが終わるまで待つことになった。私が紅茶を飲みながら寛いでいると、ギルドマスター・解体長・攻略長が揃って部屋に入ってきた。
提出した書類と討伐部位を確認しながら、私達が20階層へ到達したことは理解したみたい。
次に、私達が倒した20階層にあるボス部屋の魔物を見て驚愕した。更に25階層にあるボス部屋手前までのマップや、魔物の情報を見る頃には、3人は精魂尽き果てていた。
「キメラにワイトキングなんて……」
「ダンジョンRankはB以上だろ……」
「前人未到の偉業達成されたのか……」
なんか3人が『ブツブツ』言っていると、ノック音とともにドアが開けられると、よく知った顔の2人が現れたのだった。
この作品を読んで【なかなか面白い】【続きを読みたい】と思われた読者様へのお願い。
・ブックマークの登録
・リアクションをポチッと
・評価の星をパパッと「★★★★★」
上記3つをして頂けると、作者のモチベーションが上がりますのでよろしくお願いします。




