第86話 大偉業達成
大偉業を阻もうとする魔物たちとの激戦に終止符が……、アリスは勝利するのか見届けてください。
キメラの牙が私の左腕を掠める……
『シュパッ!』
「っ……」
「「アリス様!!」」
私が傷を負ったことで動揺した従者が声をあげたけど、ちょっと掠っただけなので心配ないと伝えておく。
「大丈夫、問題ないよ! それよりも自分の身を守ることを優先するのに変わらないからね」
「「くっ、はい……」」
心配そうな2人だけど、私にはアネモネ様の加護により〘超速再生〙があるので、この程度なら傷ならすぐ治る。死靈王は直接攻撃は仕掛けてこずに、スキル〘死霊召喚〙で死靈を召喚するだけなので放置。死霊は従者に任せておいて、私にダメージを与えたキメラを先に片付けるために、光魔法を放った。
「先ずは1匹目ね。〚光刃〛!」
『シュパッ!』
光の刃がキメラの頭部を捉えると、獅子の頭を簡単に切断して葬り去る。私すぐに残ったキメラと死靈王が直接に並ぶ場所へと移動してから、光魔法を放って一網打尽を狙ってみる。
「そのまま動かないでよ? 〚天使の輪〛!」
『キュイーン』
私の頭上から光り輝く光輪が現れて、直線上に並ぶ魔物へ向かって光輪を放つ、光輪に気づいたキメラが咄嗟に回避することに成功したが、その直線上にいた死靈王は、光輪を躱すことができずに直撃する。
『シュパッ!』
悪霊にとって弱点である光属性の攻撃が当たったので、有無を言わせずに一瞬で浄化され消滅した。
残る魔物はキメラ1体と死靈王が召喚した死靈が8体だ。私はキメラに向かって双刀を構えて身体を回転する。そこへ風魔法を加えて超高速回転にして突撃する。凄まじい回転でキメラの体に当たると、身体硬化なんて関係なくキメラ胴体を突き抜けて、風穴を開けるとそのまま消滅した。回転を終えて死靈の方を確認すると、既に従者の手によって倒した後だった。
「ふぅ〜、やっと終わったね。しかし、あの3体は流石に強かったねぇ〜」
戦いが終わってゼシカ達に声をかけると、ゼシカが慌てて駆け寄ってきて声をかけてきた。
「アリス様! 腕のお怪我の方は大丈夫なのですか?」
「うん、私には超速再生のスキルが有るからね。ほら、傷跡すら残ってないよ!」
ゼシカに傷を負っていた左腕を見せると、元の綺麗な腕に戻っていたのを確認すると、驚きながら返事をした。
「さ、流石はアリス様ですね」
「じゃあ、宝箱を回収したら21階層へ降りて、セーフティエリアで休憩でもしようか? もぅ、頑張ったからお腹がペコペコだよ……」
「「かしこまりました」」
こうして私達のパーティー光の絆は、数多の冒険者達が果たすことが出来なかった、20階層のクリアという前人未到の大偉業を成し遂げたのだった。
§リューネの想い§
アリス様が前人未到となる20階層のボスを倒された。ゼシカ姉様とアナ姉様は、全く貢献することができなかったと、肩を落としてかなり落ち込んでいた。
私は2人の姉様ほどの落ち込みはなかった。だって、アリス様の華麗な勇姿に見惚れていたんだもん。それ程に戦場を駆け抜けるアリス様は強く美しかった。
今はまだまだ力不足だけど、いつかアリス様の隣に並び立って強敵に立ち向かうため、日々の鍛錬に励むことを私の女神であるアリス様に誓ったの。
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