第34話 後始末
ジャミアを葬り終えてルミナスの森へと戻り、お茶でも飲みながらひと息つこうと思った。
私がサロンのソファに腰を下ろして、シオンにお茶とお菓子を頼んで『マッタリ』と寛ごうとした時、マリアンヌが申し訳なさそうに声をかけてきた。
「アリス様、非常に申し難いのですが……」
「ん? どうしたの?」
「はい……、合同演習の最中なんです」
「あっ……」
そうだった……。英傑学園の合同演習中にダニエルたちの襲撃を受けて、そのままの流れでジャミアを葬ったのだった。余りにもの衝撃的な出来事が続いたので、合同演習のことなんて完全に忘れていた。外は既に日が昇って明るくなっていて、本当なら拠点へ戻らなければならない頃だ。残った隊のメンバーは無事に乗り切ることができたのかな? そして、5年生と私たち5人が行方不明となると、隊のみならず合同演習の参加者全員に、捜索などの迷惑をかけているはずだ。
「完全に失念していたよ。普通に考えると大問題になってるのかな? 今から拠点へ戻って、関係者に事実を話したところで誰も信じないよね」
「それは間違いないでしょうね。事情を説明したところで、アリス様が七神女神様全員の加護を持っていること、邪神徒だったダニエル先輩たちから襲撃をうけて返り討ちに、そして勢いそのまま邪神ジャミアを葬ったなんて、絶対に信じてもらえませんよね」
騒動のことを説明しても、誰も信じることはないと判断した。適当に口裏を合わせるにしても、ボロが出て誤魔化すことは難しいだろう。フランシスコも私と同意見のようだった。なかなか難しい状況にあると悩んでいると、並列思考が拒絶を使うべきだと進言してきた。
『アリス様は世界の唯一神となられます。このまま学園へ通い続けるのは無理だと思います。拒絶を使って在籍した全ての記憶を抹消するべきです』
この世界の唯一神となり、これからは私の思う優しい世界を創ることになるし、神様が一般の生徒に混じって学ぶなんてことは、普通ではありえない。個性豊かなクラスメイトとの交流はなかなか面白いものだったけど、正直言って学園で学ぶことはほとんど無い。最初から居なかったことにするってことは、なかなか良いアイデアだと思った。私と従者のことは良いけど、マリアンヌはそう簡単にいかないと思った。
「並列思考の言う通りかもね。でも、マリアンヌは家族のことを考えると難しいね」
「そのことですが、私はアリス様の傍に仕えると決めています。なので、学園での在籍と家族の繋がりも消して頂きたいと思います。私の永遠の家族はルミナスの森に居るのですから」
思いは杞憂だった。マリアンヌは私に仕えると決めた時点で、俗世との縁を断ち切る覚悟はできていた。その言葉には迷いなど全くなかったので、学園に在籍していたことと共に家族との繋がりも全て無かったことにした。
後始末は終わった感じなので、これからは本格的に優しい世界創りに邁進しようと思った。
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