第33話 邪神の最後
「残念だったな? 我も消滅するがお前も消滅するのだよ!」
私は『こいつバカなの』って思ってしまった。だって、勝利することが絶望的となり、私たちを道連れにしようと自爆を選択した。それなのに神核のことを口にするんだから本当にバカだよね。最後の切り札である神核の存在が判ってしまえば、拒絶で防ぐことなんて簡単なことだ。
そしてジャミアは、この世界を消滅させるなんて言いながら、心の奥底では創造した世界を失いたくないのかと思ってしまった。まぁ、元々は全知全能の唯一神だったわけだし、自分の過ちに気づいて懺悔をしてるのかも知れない。だからって、許してあげようなんて思っていないけどね。
「あっ、そうなの? 教えてくれてありがとう。私はジャミアの神核が消滅しても、この世界が消滅することを拒絶する」
「しまった……。わ、我はどうして……」
「あれじゃないの? 一応、自分で作った世界だからさ、心のどこかでこの世界を失いたくないと思ったんじゃないの? お前が暴走した時のために、拒絶という神話級スキルを用意していたのかもね」
「我がこの世界を? 暴走した時のために拒絶を……、ふっ、その通りかも知れんな。もぅ、万策尽きた。我を消滅させるがよい」
ジャミアの表情が清々しいものとなり、目を閉じ両手を広げながら消滅することを望んだ。そう、許しを請わなかったのだ。これから始まる新しい世界には、自分は不要なのだと理解してるみたい。『悪意ある者は同じことを繰り返す』というのが私の考えなので、更生の道は与えずにこのまま消滅してもらう。
「OK、私は邪神ジャミアの存在を拒絶する。ねえ、転生や転移があるのなら、きっと来世というものがあるのだと思う。だから、来世では真っ当に生きるんだよ?」
「ふっ、そんなことは来世にならねば判らんさ。もし次があるのなら絶対に負けんぞ」
私が拒絶を唱えたあと、冗談っぽく来世があるならと声を掛けた。するとジャミアは、徐々に消え行きながらも最後まで悪態をつくように返事をすると、最後は『ニヤッ』と笑みを浮かべながら消えていった。
「ふぅ〜、なんか呆気なく終わったね。さぁ、ルミナスの森へ帰ろっか!」
「「かしこまりました」」
元唯一神にして全知全能の神だった邪神ジャミアはこの世界から消滅した。世界をどうこうする前に、とゆっくりと休憩したいと思ったので、みんなと共に私の家であるルミナスの森へと帰ったのだった。
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