第80話 現人龍神となる
嘆きの地下迷宮のラスボスだったディアボロスは、私の大好物といえる魔物だったみたい。余りにも呆気ない終わり方に、従者やマリアンヌは目を丸くして驚いていると、両耳のピアスからイリスとクリスが姿を現した。
「「わぁ〜、アリス様凄いよ〜! 龍神を簡単に倒しちゃった」」
「なんか呆気なかったね。次に戦う時は光輪を封印してみるよ」
「んー、もう現れないよ? その宝箱の中で龍玉になっちゃったもん」
「えっ、そうなの? とりあえず宝箱を開けてみるから、みんなも見においでよ」
「「かしこまりました」」
イリスはディアボロスが龍玉になって、目の前の宝箱に入っているみたいなことを言ったので、本当にそんなことがあるのかを確認するために、みんなの目の前で宝箱を開けることにした。負のオーラの集合体だったディアボロスの龍玉は、きっと禍々しい物なんだろうと思いながら宝箱に手をかけて開けてみる。
『パカッ』
宝箱を開けると、中には葡萄飴のような小さな物が一粒だけ入っていた。
「「飴みたいですけど?」」
私が言う前に従者たちが『ポツリ』と言葉にした。確かにその通りで、龍玉なんていうから立派な宝玉だと思うもんね。それがこんな飴玉みたいな『ショボイ』物だとそう言うよね。
「これが古龍ディアボロスの龍玉なの? ただの飴玉にしか見えいけど、一応は鑑定をしてみるね」
【龍玉】神にも等しい力を有する古龍の力が凝縮された宝玉。龍玉を吸収した者は、その力を我がものとすることが可能になり、古龍を召喚することが可能になる。
本当に龍玉みたいで、吸収することで古龍の力を手に入れることができるみたい。そのことをみんなに説明すると、みんなは目を『キラキラ』と輝かせながら私のことを見つめた。
(こんな物騒な物を吸収しろというの?)
「えっと……、そんな目で見てるけどさ、こんなヤバそうな物を吸収しないからね?」
「なにを言われるのですか! アリス様以外の者が間違って吸収したら世界が破滅してしまいます。どうか世界のことを考えて吸収してください」
「「ゼシカ姉様の言う通りです!」」
「世界のてめって……、大袈裟過ぎない?」
『いいえ、アリス様以外の者にはこの力を制御することは不可能です。吸収されることをお勧めします』
従者だけではなく並列思考まで龍玉を吸収するように言う、世界のためとか言われると断りきれないので、龍玉を吸収することにした。
「判ったよ。吸収するけどさ、とりあえず飴を食べる感じでいいのかな?」
なんて言いながら龍玉を口の中に放り込むと、見た目通りの飴玉と同じ甘い味がした。私はゆっくりと舐める派ではなく噛み砕く派なので『ボリボリ』と砕いて一気に飲み込むと、並列思考が嬉しそうに語りかけてきた。
『おめでとうございます。龍玉を吸収したことで、現人神から現人龍神になられました。そして神としての格は七神女神を超える存在へと昇華されました』
驚くことに現人龍神なんていう存在に昇華して、七神女神様たちを超える存在になったのだった……。
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