第73話 邪神徒拡大
予想以上に邪神徒の拡大が早い。この調子ならば我の完全復活の日も近いだろう。
貧しく苦しい生活を送る者たちを堕として、我を信じさせるのは簡単だった。辺境の地の小さな町を1つ堕としてからは、噂が広がり平民だけではなく、やがて領地を持たない極貧貴族までが邪神徒となり、完全に邪神教と言っても過言ではなくなった。
どのようにして大都市に邪神徒の拡大を図ろうかと思っていると、極貧貴族の子息女たちが学園なる所へ通っているらしい。その学園というものは王都などの大都市にあるというのだ。これは僥倖で学園へ通う子息女たちを、我の手駒として使い大都市での邪神教の拡大を図ることにした。
辺境の地から王都にある学園へ通う、極貧貴族のダニエル.ファーム男爵令息は、貴族の者として最も熱狂的な邪神徒であるダンカン.ファーム男爵の長男だ。ダンカンに天啓を告げて邪神教の素晴らしさと、信仰の証となる黒く輝く石の欠片を、手紙とともにダニエルの下へ送らせたのだ。
§ダニエル視点§
親父から手紙が届いた。領地を持たない貧乏貴族なので、手紙を送る金すら惜しいはず。それなのに手紙をよこすなんて、身内に何か起こったのかと思い慌てて封を開けた。
封を開けると、そこには手紙だけではなく黒い石が入っていた。一瞬、宝石かと思い売れば金になると思い喜んでいたが、手紙を読むと邪神教という宗教の信仰の証らしい。
七神女神ではなく邪神ジャミア様を信仰することで、痩せた土地が豊かになり、食う物に困っていた極貧生活が少しずつ改善して、生活環境が劇的に変わったという内容だった。そして最後に『お前も邪神ジャミア様を信仰しろ。その石を常に身に着けて、毎日祈りを捧げれば天啓が下るだろう』そんな言葉が記されていた。
辺境の地出身の貧乏貴族と、周りのクラスメイトから冷遇されても七神女神は救ってくれない。それなら親父の言う通り邪神ジャミアというものを、信じてみるのも悪くはないと思った。
「物は試しだ。この石を身に着けて何かが変われば儲けものだ。邪神ジャミア様、今の俺の環境が少しでも良くしてください」
親父の手紙を受け取ってからは、1日の終りの時に必ず黒い石を握り締め、邪神ジャミア様へ祈りを捧げる日を送るようになったのだった。
『ふふっ、ダニエルよ貴様の願いを叶えよう!』
※祈りを捧げ続けたダニエルに天啓が下り、英傑学園に通う生徒から邪神徒第一号が誕生したのだった。
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