第72話 男子達、乙だね
§セイレーン視点§
週末になると私とマリアンヌは、アリスの家でお泊り会をするのが恒例行事となった。双子の兄マルクセスは週末になると『羨ましい』を連呼している。普段はクールなのに、アリスが絡むとクールの欠片もなくごく普通の少年になってしまう。
そんな私もアリスのことが大好きで、もしマルクセスクの恋が実れば、義姉妹になれるかも知れないと思い応援することにした。
私はアリスと同じ十傑ということもあって、マリアンヌを通してかなり親しくなることができた。そこで兄に色々な情報を持ち帰って、兄に役立てもらおうと頑張ったの。
「アリスって好きな人はいるの?」
「やっぱり、ゼシカ・アナ・リューネの3人は特別かな? 従者だけど私の感覚としては姉妹みたいな関係だと思ってるよ」
「えっと、気になる異性は居ないの?」
「居ないね」
即答されてしまった……。自習中の雰囲気からしてそんな感じだとは思っていたけど、全く悩むことなく即答されると、男子陣には『ドンマイ』と言いたくなったの。気になる異性は居なくても、好みのタイプを知れば参考になるかと思い聞いてみることにした。
「じゃあさ、好みのタイプとかってあるの?」
「好みねぇ~、自由気ままに楽しく過ごさせてくれるっていうのは絶対条件かな?」
「そうなんだ。じゃあ王族や皇族には全く興味はないって感じなの?」
「あぁ、絶対にないかな? だって、権力の象徴みたいじゃない? 少しはマシになったけど昔のリオネルなんて本当にウザかったもん」
自由気ままになんて言われると、皇族である兄やそれ以外の男子陣はノーチャンスということになる。これは必死に頑張る彼らには、残酷な答えを聞いてしまったと思った。まぁ、アリスの気が変わるかも知れないので、このことは黙っておくことにする。
好みの話はこれ以上しても仕方ないので、欲しい物とかあればプレゼントで優位に立てるかと思ったけど、これに関しては無理だと思った。だって、周りにある物全てが逸品揃いで、国宝級かと思える代物がゴロゴロしているの。ルミナス商会という商会を起ち上げて、どんな物でも手に入れることができるみたい。
自由気ままに生活をしながら、欲しい物は何でも手に入るなんて、これ以上望むものはないと思えるので、アリスを振り向かせることができる男なんて、この世に存在しないと思えたのだった。
(うん、男子陣達、乙だね……)
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