第68話 ブレない男
私はアルフォンスに感謝の言葉を伝える。
「アルフォンスありがとうね」
「気にしないでくれ、平等と言いながら王子の権威を使ったことが恥ずかしいよ。それよりもリオネル! お前はアリスに近づくな。もし、仲良くなりたいのならば、付き人なんて連れずに1人でこい」
「なっ……」
「当然のことなのです。第一王子とはいえ学園内ではただの生徒なのです。その辺りを理解できないのならアリス様に近づくべきではないのです」
メグはアルフォンスのあとに続いて『ズバリ』と伝えると、従者たちも『ウンウン』と頷いたの。流石のリオネルもこれだけのことを言われれば、堪えたようで無言のままだった。
そんな話をしていると、アナがカフェにやってきたんだけど、よく考えるとミネバに連絡しに行っただけにしては、やたらと時間がかかっている気がした。
「ただいま戻りました」
「結構な時間が経ってるみたいだけど、なにかあったの?」
「いえ、このカフェは初めてなので、少し迷って遅くなっただけです。申し訳ありません」
遅いと思ったのは道に迷ったからみたい。学園での生活が始まったばかりで、どこになにがあるかなんて、全部を覚えきれないのは仕方ないと思った。
「そっか、アナも何か食べる? このカフェのケーキは凄く美味しいんだよ!」
「いいえ、次の機会にします。あまり遅いと馬車で待っているミネバに悪いですから」
「あぁ、そうだね。じゃあ、私たちは帰るね。今日はごちそうさま! またよろしくね」
「「今日はありがとう!」」
私がケーキのお礼を言って帰ろうとすると、リオネルが私の前に立って話しかけてきた。
本能で動く彼の行動は本当に読めない……。
「アリス、今日は有意義だった。これからも参加してやるのと、お前は俺の妻に相応しいから娶ってやるから喜べ!」
あれだけ言われても、あっという間にいつものリオネルに戻っていた。彼のメンタルはいったいどうなってるのかと感心する。
「別に参加しなくても良いし、私はリオネルに娶ってもらう必要はないからさ、素直に『うん』と言ってくれる人を探してね」
「未来の王妃になれるのだぞ? どこに不満があるというのだ」
「どこって……、まぁ、リオネルだけは絶対にないかな? 壁に頭をぶつけてみたらどう? 少しはまともな思考になるかも知れないよ?」
「お、お前の俺に対する扱いは酷くないか?」
「だって、面倒なんだもん。本当に心を入れ替えるべきだと思うよ。じゃあね!」
「おい、アリス!」
話してるだけでストレスが溜まりそうなので、あとは無視してミネバの待つ馬車へと向かって帰路につこうとしていた。
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