第67話 アルフォンスの怒り
ゼシカたちと出会った経緯を簡単に説明してると、3人とも懐かしそうに私の話を聞いていた。
メグ先生は、私の話を聞いて『ふむふむ』と頷きながらメモを取り、マリアンヌたちは私が1人で生き抜いてきたことに驚いていた。
「そんな……、この世に生を受けてからゼシカさんに出会うまでは、たった1人生き抜いてきたなんて、どれだけ過酷な人生を送ってきたのですか……」
「僕のこれまでの努力なんて生温かったよ。極限の状態で生き抜くことで、その強さを身に着けたんだね」
マリアンヌは涙を浮かべながら語り、アルフォンスも同じようなことを言っていた。マルクセスはなにも語らず2人の言葉に頷いていた。
「おい、お前たち! 我を放っておいてこんな所で何をしているのだ!」
しんみりとしていた場の空気が、バカの登場でガラリと変わった。
「なにって、見れば判るでしょ? みんなでケーキを食べながら楽しい時間を過ごしているんだけど?」
「なぜ我を誘わんのだ!」
「ん〜、偉そうでウザいからかな?」
「!?」
「「ぷっ……、あははははぁ〜」」
私の一言でリオネルの顔が真っ赤になると、その場に居たみんなが大笑いした。怖い顔をしたリオネルの付き人が、私に近づいてきて何かを言おうとすると、メグが席を立って付き人の行く手を阻んで警告をする。
「ここは学園内なのです。生徒たちは全てにおいて平等なのです。生徒同士の問題に介入しようとするのなら、学園の教師として見過ごすことはできないのです」
「なっ……、私は王子の付き人だぞ? 平民の女如きが、王子へあのような態度をとったのだ、見過ごせるわけがないだろう!」
「学園内では身分による上下はないのです。なので、リオネルはグリエル英傑学園の生徒中の一人にすぎないのです」
メグが学園内の平等を訴えると、付き人は激昂すると腰に手を当てて剣を抜こうとした。これはマズイと思った瞬間、アルフォンスが付き人に対して声を発した。普段の柔らかな感じではなく、完全に怒っている感じだ。
「お前が剣を抜けば、ヴァカルディア王国の王子へ剣を向けたことにする。これは大問題になるが構わないのだな?」
「同じく、テイタニア帝国の皇子に剣を向けたことにもなると思ってくれよ?」
アルフォンスに続いてマルクセスも、付き人に向かって同様に声をかけた。
「なっ、私はそこの平民に向かって」
付き人が言い切る前に言葉を遮って、怒りの言葉を言い放った。
「僕の友人にふざけたことを言うなよ? お前の国が作ったルールに従わないのなら、僕はヴァカルディア王国の王子としてグリエル王に抗議をさせてもらう」
「くっ……」
アルフォンスの言葉になにも言い返せない付き人は、無言のまま去って行こうとしたので、大きな声で付き人を呼び止めた。
「おい、何も言わずにこの場から去るなよ? 僕の友人に対してきちんと謝罪をしてから去るのが当たり前だろう!」
「くっ、申し訳ない……」
「次はないぞ? 判ったのなら僕の視界から消えろ」
「……」
リオネルの付き人は、悔しそうに歯を噛み締めながらカフェを去って行く。もしアルフォンスが間に入ってくれなかったら、私は拒絶を使って付き人に罰を与えていたと思う。なので、使わずに済んだことに感謝したの。
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