閑話 フランシスコの願い
私はフランシスコ.ザヒール。七神女神教ユーザニア大聖堂で大司教を務めている。このユーザニアの地は七神女神教が誕生したと言われる聖地で、教皇となる者は必ずこの大聖堂で大司教を務めるのが慣習なのだ。
私は乳飲み子の頃に戦災孤児として教会に保護された。なので物心が付くまえから七神女神様を信仰して、人生の全てを信仰に捧げ続けてきたと自負している。そして気がつけばユーザニア大聖堂の大司教の地位まで上り詰めた。
いずれ教皇となる私は運命的な出会いを果たした。ある日のこと、私は祭壇で祈りを捧げたあとに執務室へ戻ろうしていた。すると1人の少女が従者を伴い祭壇へとやって来た。その少女こそがアリス様で、この時に目の当たりにした奇跡の出来事が、私の人生を大きく変えることになった。
神とは森羅万象を神格化したものであり、我々はそれを信仰することにより、身体と精神の安寧をもたらしてくれる。そのように解釈していたのだが、アリス様が我々の目の前で起こされた奇跡の事象に、これまでと違う信仰心が芽生えてきたのです。
アリス様はとても気さくな方で、身分に関係なく誰にでも同じスタンスで接してくださる。そして善には優しく接して、悪には厳格な態度で接して決してそれを許さない。
アリス様の考えでは、『悪意を持って過ちを犯した者は、どんなに導いても悪意が完全に消えることはない』と言われた。どれだけ努力をしても善には成りきれずに、不意に悪意が現れて過ちを繰り返すとのお考えだ。だからこの世から悪が消えることはなく、無益な争いが絶えないのだと仰っていた。
今の七神女神教の教義では、アリス様の考えが認められることは絶対にない。しかし、私はアリス様の考えこそが正しいのだと思えたのです。我々が布教活動で神の教えを説いても、この世で争いが絶えないのだから、悪は決して善には成らないのです。
アリス様は、これからも自分の思うままに進まれることでしょう。それがこの世界を正しい道へ導かれるものだと私は信じている。私は七神女神様ではなく、現人神であられるアリス様を信仰しようと心に決めたのです。
願わくば、私が信仰する現人神アリス様と、そのお考えをこの世に広めるべく布教活動を、残りの人生の全てをかけて、推し進めて行きたいと思ってるのです。
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