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6 結婚

これで最終回になります

 キャロラインは海辺のパン屋で働きながら、散歩をしたり時々海を眺めて過ごしていた。最初は耳障りで眠れなかった波の音にも慣れてきた。



忙しかった王都のパン屋と違いそこまで忙しくないので、時間がゆっくり流れていた。空いた時間でパン作りを教えて貰う事になった。

体を動かしていると嫌な事を考えなくて助かった。それに憧れだったパン作りを覚えられた。生地をこねて寝かせ形成してオーブンで焼いた。


オーナーのお父さんが師匠だ。色々なパンを自分で焼いて食べる事が出来るのは嬉しい経験だった。






焼いたパンと紅茶を持って浜辺で食べながら海を見ていた時懐かしい声がした。

「キャロ迎えに来たよ」

「カイト、カイト本物?会いたかった」


カイトは久しぶりに会ったキャロラインが穏やかな顔になっていることに安心して思わず抱きしめた。

「すっかり片付けたからね、もう安心していいよ、アラン先輩や周りの皆が味方をしてくれて事件の解決に力を貸してくれたんだ」

「皆さんに感謝しないと。迎えに来てくれてありがとう」

「キャロの顔が見れて安心した。少しは癒やされたようだね。守れなくてごめんよ」

「カイトは悪くないわ」

「もう言わなくていいよ、思い出さなくて良い。辛い思いをさせて悪かった。帰ったら結婚しよう。二人で住むアパートを見つけよう。キャロが好きな事を沢山しよう」

「嬉しい、ありがとう」

「ウエディングドレスもどんなのが良いか考えておいて。実家の商会が協力してくれると言っている」

「そんな事、贅沢過ぎないかしら」

「一生に一度だ、高いものは無理だけどキャロの好きなドレスを選んで欲しいんだ。今まで贅沢をしなかったのはその為なんだから。それに騎士の給料は割と良いんだよ」

「色々考えてくれていたのに信じてあげられなくてごめんなさい。具体的な事を聞かされて、嫌な事がじわじわと入って来て纏わりついて離れなかったの。嫌な方に考えがいってどうして良いか分からなくなってしまったの」

ぼろぼろと又涙が出てきた。カイトがぎゅうっと抱きしめてくれた。



暫くして海に癒された二人はパン屋に帰った。



二人はパン屋の夫婦に丁寧にお礼を言い、別れを告げて王都に帰ることにした。


 新居は新婚用のアパートを借りた。


式には二人の家族と騎士団の仲間、パン屋の皆とアパートの大家さんが来てくれ、温かなものになった。


会食は皆で町内のレストランから取り寄せた料理を食べたり飲んだりした。

片付けは両家がしてくれることになっていた。


予約しておいた高級ホテルに今日は泊まることになっていた。騎士団の皆がお祝いとしてスイートルームを取ってくれたのだ。

広い部屋にゆったりとしたお風呂とトイレが付いていて、五人は寝られそうな大きなベッドが目立っていた。

カイトは結婚式をするまでは手を出さないと決めていたので、今夜が二人にとっての初めてだった。



初めて会った時から結婚するならキャロラインが良いと思っていたのだ。騎士団でその手の話は聞いて知っていた。アランにもテクニックを教わってきた。キャロラインが痛くないように弱い塗る媚薬も手に入れた。


先にお風呂に入ったキャロラインをゆっくり待つ事にした。本当は一緒に入って洗ってあげたいがそこは理性で我慢をした。

お風呂上がりのキャロラインは石鹸のいい香りがした。おまけに夜着が透けている。これは実家の店の新作だろうか。兄に聞いてみようと考えた。

何とか急いで体を洗いお風呂から出ると新妻が窓の外を見ていた。たまらなくなったカイトは後ろから抱きしめた。



キャロラインは柔らかくいい香りがした。自分の方を向かせキスをした。最初は髪に、そして額に、頬、唇としている内にキスがたまらなく甘くなった。

角度を変え何度も小鳥の様に触れた。



我慢ができなくなったカイトはベッドにキャロラインを抱いて寝かせ深くキスをした。舌を入れると唾液が絡まって甘い。夢中になった。


身体中にキスをする頃にはキャロラインは色気が半端なかった。普段は清潔感の溢れる女性なのにベッドの上ではこれは反則だろう。

カイトはキャロラインに溺れていった。


キャロラインもカイトの色気にドキドキしていた。鍛えられた身体が自分を抱きしめている。元々好きな顔だったが近くで見ても好みで身体だった。

性格も大好きなのにどうして不安になったのだろう。もっと強くなりたい。そう思うのに与えられるキスで、頭がぼうっとして何も考えられなくなった。初めての快感が身体を突き刺抜けた。



こうして初めての夜は甘く激しく過ぎていった。






✠✠✠✠✠


キャロラインはパン屋の勤め時間を短くしてもらった。カイトの身の回りのことをしたくなったからだ。騎士の勤めは体力が勝負だ。料理にも力を入れたいし清潔にも気を配りたい。元々自分で何でもしてきたので、あまり気を使う必要は無かったが、キャロラインが世話を焼きたかった。



朝、食事を作りカイトと一緒にご飯を食べお弁当を作って送り出した。昼の間にパン屋で働き夕方カイトが迎えに来てくれる。大好きな人と生活できる嬉しさで胸が一杯になった。今日も夫の笑顔の迎えがあると思うと幸せで溢れてしまう。


パン屋の裏で待ってくれる夫は今日も凛々しい。



「お帰り、僕の奥さん。パンの良い匂いがする」

「ただいま、でお帰りなさい。食いしん坊の旦那様。今日は何が食べたいの」

「勿論キャロだよ、それとオムレツかな。一緒に作ろう」

「昼休憩にお肉を買っておいたから直ぐ出来るわ。サラダに豆とベーコンのスープでどうかしら」

「最高だよ」




いちゃいちゃは家に帰るまで続き、近所では恒例の風景になって生温かい目で見られていた。



ちなみに翌年には男の子が生まれ「かあさんとけっこんする」と言ってカイトと取り合いになり、次に生まれた女の子に「とうさんみたいなきしさまとけっこんする」と言われデレデレになるカイトの顔が見られる事をこの時の二人はまだ知らない。






















ここまで読んでいただきありがとうございました。

面白かったと思われたら下にあります☆や良いねをいただけると嬉しいです。これからの励みになりますのでよろしくお願いします。

又お会いできますよう願っています。

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