第四話
今日は第二話〜まとめて投稿しています。
第二話&第三話をお読みでない方は前に戻ってご覧ください(*^^*)
店に入ってきた時はまだ明るかったのに、もう薄暗くなってきた。
「お嬢様のためにも、早く戻らないと・・・」
すると、ぽつぽつと雨が降り出した。
「・・・ちょうどいい!薬を処理できる!」
鞄に常備している折りたたみ傘を開き、ドレスの裾が濡れないように気をつけて地面にしゃがむ。
雨が少し強まったタイミングを見計らって、「魅惑の毒」の薬蓋をとり、少しづつ中身を流す。
「よし、これで大丈夫だ。」
瓶は大切にしまう。
「じゃあ、急いで公爵家に戻らないと。ミリアお嬢様が戻ってくる前に・・・」
「おかえりなさいませ、ミリアお嬢様。」
「リナ、あのね・・・」
夜会から帰宅したミリアお嬢様が話しかけてくる。
「ヴィル王太子殿下が、急に『俺の婚約者にならないか?』と仰ったの。返事は問題ない程度にはぐらかしておいたけど・・・。」
「それは、すぐに公爵閣下にお伝えするべき案件ですね。・・・公爵閣下はお戻りのはずですから、執務室へ向かいましょう。」
なんてこった!
ゲーム内でヒロインに一番溺れて、ヒロインが王太子ルートに来たらミリアお嬢様に濡れ衣を着せてこっぴどく断罪して国外追放までしていたというあの王太子が婚約の打診・・・?!
「リナも途中まで着いてきて?」
「もちろんです、ミリアお嬢様。・・・ところで、ヴィル王太子殿下は、どのようなご様子でしたか?」
「わたくしには釣り合わないお方だったわ。とても元気に溢れていて、自由奔放でいらっしゃって・・・。わたくしも見習いたいぐらいです。」
「は、ははは・・・。それは大変ですね・・・」
つまり、ミリアお嬢様は王太子にいい感情を抱いていないということ。
元気に溢れる=言うことを聞かない
自由奔放=言うことを聞かない、迷惑をかける
ミリアお嬢様には『こう言い換えましょうね』と教えたからな・・・。
「差し出がましい質問をしてしまい申し訳ございません。・・・もし王太子殿下に正式に婚約を提案されたら、どうされるおつもりですか?」
「断るわ」
返事はやっ!そんなに嫌だったのね・・・。
頑張ったミリアお嬢様のために、メイド長にケーキでも焼いてもらおう。
「ではミリアお嬢様。公爵閣下にしっかりとお断りなさった方がよろしいかと。中途半端ですと、後で政略結婚・・・だなんてことが起こるかもしれません」
「王太子殿下の元には絶対に行かないわ。たとえ何があっても・・・」
「お嬢様、もう少しお言葉を選ばれた方がよろしいかと。いくら公爵邸とはいえ、王太子殿下が送り込んだ諜報が忍んでいるかもしれません。」
「そうね!・・・じゃあリナ、ここで待ってて」
「かしこまりました。」
しばらくすると、ミリアお嬢様が晴れ晴れした表情をして執務室を出てきた。